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映画 ブリッジ・オブ・スパイ(2015米) [日記(2016)]

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 冷戦下の1960年、アメリカとソ連のスパイ交換の物語(実話)です。
 1957年、画家ルドルフ・アベルがソ連のスパイとして捕まります。アベルは、後にソ連に帰りレーニン勲章を受章し切手にまでなっていますから、国家に貢献した切れ者のスパイだったのでしょう。この映画は、アベルと彼を弁護するジェームズ・ドノヴァンの物語ですから、スパイ活動は描かれません。

 ニュルンベルグ裁判で検事を務めた弁護士ドノバンに、アベル弁護の依頼が舞い込みます。スパイとはいえ弁護士を付けた裁判で裁くことが、人権を尊重するアメリカの正義ということです。裁判とはいえアベルの有罪は既定路線で、判事も有罪を想定している有り様。CIAから「大佐」と呼ばれるアベルは、一切の証言を拒みCIAからの二重スパイの要請も蹴り、スパイとしての信義を貫きます。この手の事件としてはローゼンバーグ事件が有名ですが、1953年に電気椅子で死刑となっています。アベルの態度に感銘を受けたドノバンは、アベルの死刑判決を回避すべく賢明の努力を続けます。押収された証拠は、不法滞在の容疑で押収されたものであり、ドノバンは証拠の無効を主張しますが判事は取り合いません。死刑を避ける人道的措置が、冷戦構造を変える道であり、アメリカのスパイが捕まった時の交換要員とするためにも、ドノバンの助命を主張します。ドノバンの弁護の甲斐あって、アベルは禁固30年の判決を受けます。

 1960年、高高度偵察機U2がソ連のミサイルに撃墜され、パイロットがソ連に拘束される事件が起きます。
 ドノバンの元に、東ドイツのアベルの妻から手紙が届きます。ソ連に拘束された U2機のパイロットとアベルを交換しようという非公式の提案と考えたアメリカ当局は、ドノバンにこの交渉を任せます。公式な外交交渉ではなく、何があっても「当局は一切関知しない」という民間人による交渉です。
 東西ドイツを分かつベルリンの壁が建設され、冷戦が激しさを増すなか、アメリカ留学生がスパイ容疑で東ドイツ当局に逮捕される事件が起きます。
 U2機のパイロットを拘束するソ連、留学生を拘束する東ドイツがそてぞれドノバンと交渉を始めます。パイロットを優先する政府は留学生を切り捨てようとしますが、ドノバンはワンセットの交換を成功させます。アベルを死刑から救ったことが見事に実を結んだわけです。

 司法は敵のスパイにも弁護士を付け、弁護士は政治や世論におもねることなく弁護し、スパイは国家に対する信義を貫く。冷戦と鉄のカーテンの時代にも、人は当たり前に人であったという物語です。
 スピルバーグにしては盛り上がりに欠ける映画です。

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス マーク・ライランス

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