SSブログ

映画 レイルウェイ 運命の旅路(2013英豪) [日記(2016)]

レイルウェイ 運命の旅路 [DVD]
 原題は”The Railway Man”=”鉄ちゃん”ですが、中身は「クワイ河マーチ」で有名な『戦場にかける橋』(デヴィッド・リーン)、泰緬鉄道建設に関わった英国人捕虜と日本人通訳の恩讐?の物語です。タイとビルマ(ミャンマー)を結ぶ泰緬鉄道は、太平洋戦争中に日本軍が現地人と連合国捕虜を使役し10万人を超える犠牲者を出して建設した鉄道、ということで有名です。
 映画は、この建設で捕虜となった英国人と捕虜虐待に関わった日本人、被害者と加害者の間に和解はあるのか?という話です。実話に基づく映画だそうです。

 鉄道オタク?のローマクス(コリン・ファース)と元看護師のパトリシア(ニコール・キッドマン)の中年の恋から始まります。映画にも登場する「シンガポール陥落」当時に兵士だったローマクスが中年ですから、映画の現在は1970~80年代でしょうか。ローマクスとパトリシアは結婚しますが、ローマクスはトラウマを抱えた問題夫?。パトリシアは、夫の情緒不安定の原因を探りトラウマを開放しようとする試みの中で、泰緬鉄道が登場します。ローマクスは日本軍の捕虜となって鉄道建設に駆り出され、そこで受けた虐待(拷問)の記憶を引きずっていたわけです。この事実をパトリシアに明かすのが同じ捕虜仲間のフィンレイ(ステラン・スカルスガルド)。フィンレイは、虐待に加担した憲兵隊通訳の永瀬(真田広之)が、戦後もタイのそれも泰緬鉄道建設現場で観光案内人として生きている事実をローマクスに告げ、自殺を図ります。ローマクス同様、フィンレイもまた戦後を”捕虜”(幽霊の軍隊と表現しています)として生き、自分の人生に決着を付けたことになります。

 永瀬の生存を知ったローマクスは、永瀬に会いにタイに出かけます。戦争が終わって、永瀬の舌を抜き目に箸を突き立てる妄想を抱いてきたロマークスにとって、本当の終戦は永瀬との決着を意味することになります。現在のローマクスの物語と若き日のローマクス、泰緬鉄道建設現場の物語が二重に進行し、ローマクスが虐待を受けた状況が明らかにされます。通信兵であったローマクスは、シンガポール陥落の際、無線機の真空管を密かに持ち出し、建設現場でラジオを作って本国の放送を受信して戦況を捕虜仲間に伝えていたのです。これが発覚し、日本軍はローマクスをスパイ容疑で逮捕し拷問を加えたのです。この取り調べ=拷問に通訳として加わったのが永瀬だったわけです。拷問を実行した将校ではなく、通訳(軍属)に過ぎない永瀬が復讐の対象となったことは不思議なことですが、恨みは、英語の話せなかった将校より直接言葉を交わした通訳に向かったのでしょう (この通訳の永瀬(隆)氏は実在の人物で、『ビルマの竪琴』の水島上等兵のような人です)。

 ローマクスと永瀬の再会が山場なのですが、予想通りローマクスは永瀬を許します。復讐が行われればドラマとして成り立ちませんから、それはそれでいいのですが、被害者と加害者(ではないです)がそんなにも簡単に和解してしまっていいの?。自らの戦争に自殺という決着をつけたフィンレイの存在はどうなったの?。通訳として加わった捕虜虐待を現地に留まることによって償おうとする永瀬の存在はどうするの?。
 アクションとお伽話ばかりの映画の中で、戦争捕虜、加害者と被害者という特異なテーマに取り組んだ点は評価できますが、ラストは少し安っぽいです。観て損はありませんが...。
レイルウェイ.jpg 実在のローマクスと永瀬隆
監督:ジョナサン・テプリツキー
出演:コリン・ファース ニコール・キッドマン 真田広之

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0