映画 ボーダー 二つの世界(2018スェーデン) [日記 (2021)]
主人公はティーナ、国内に持ち込まれる違法薬物等を摘発する女性税関吏。ティーナ(エヴァ・メランデル)は違法薬物を文字通り「嗅」ぎ分けて摘発します。薬物に限らず密輸される酒、児童ポルノが入っている携帯のメモリ!まで嗅ぎ分けます。彼女は「羞恥や罪悪感や怒りを嗅ぎとれる」と言っていますから、人の心を読む超能力です。
ティーナは人間離れした容貌魁偉なの女性で、人間が犬に変身する手塚治虫の『きりひと讃歌』を連想します。これがキモです。介護施設に入っている彼女の父親はごく普通の容貌ですから遺伝では無さそう。超能力を持った容貌魁偉なティーナは、いったい何者なのか?。
普通、映画には美男美女や個性的で魅力に富んだ人物が登場し、観客は彼・彼女に自己投影してストーリーを追うわけです。『ボーダー』では、この怪異な容貌が100分間ズッと画面を埋め尽くすわけで、ちょっとティーナに自己投影はできません。当然ティーナの容姿はメーキャップですから表情がよく分からず、心の移ろいみたいなものもうかがい知ることができません。ティーナに自己投影できず無表情、この辺りが映画を分かり辛くしています。もっともそれがこの映画の意図なのかも知れません。
臭いで人の感情を読む他、素足で森に入る、全裸で湖で水浴びをする、森の野生動物はティーナを警戒しないが飼い犬は吠えたてる等々、怪しさ満点。
ヴォーレ
ティーナは人間離れした容貌魁偉なの女性で、人間が犬に変身する手塚治虫の『きりひと讃歌』を連想します。これがキモです。介護施設に入っている彼女の父親はごく普通の容貌ですから遺伝では無さそう。超能力を持った容貌魁偉なティーナは、いったい何者なのか?。
普通、映画には美男美女や個性的で魅力に富んだ人物が登場し、観客は彼・彼女に自己投影してストーリーを追うわけです。『ボーダー』では、この怪異な容貌が100分間ズッと画面を埋め尽くすわけで、ちょっとティーナに自己投影はできません。当然ティーナの容姿はメーキャップですから表情がよく分からず、心の移ろいみたいなものもうかがい知ることができません。ティーナに自己投影できず無表情、この辺りが映画を分かり辛くしています。もっともそれがこの映画の意図なのかも知れません。
臭いで人の感情を読む他、素足で森に入る、全裸で湖で水浴びをする、森の野生動物はティーナを警戒しないが飼い犬は吠えたてる等々、怪しさ満点。
ヴォーレ
百発百中の超能力がヴォーレ(エーロ・ミロノフ)に通用しなかったことでストーリーが動きます。ヴォーレの容貌はティーナとソックリで、この二人は兄妹なのか?。ヴォーレのバッグからは昆虫や昆虫の孵卵器が出てきただけで、違法な物は発見されません(昆虫の孵卵器は相当怪しいですが)。彼を調べた税関吏曰く「あいつにはペニスがない、女性器があった。尾てい骨に傷がある」と、見かけは男性ですからトランスジェンダー?。ヴォーレは虫を食べ、アンタも食べたいだろうとティーナに勧めます。後の話ですが、何とヴォーレは赤ん坊を出産します。いったヴォーレとは何者なのか?。
ネタバレです。
ボーダー
ティーナとヴォーレは、実はトロール族の生き残り。トロールとは北欧の伝承に登場する妖精で、映画『ホビットの冒険』で太陽に当たって石になったあの怪物です。ふたりの容貌もトロールの特徴で、尾てい骨の傷はシッポを切断した痕です。『ボーダー』は、伝説の妖精トロールが実在し、人間世界の片隅で生きているという物語です。
タイトルの「ボーダー」は境界、文字通り人間とトロールの境界を意味しています。人間の世界があり、一方でヴォーレのトロールの世界があり、ティーナはその境界=ボーダーで生きています。タイトルに「二つ世界」とあるように、この映画のテーマは明確です。ヴォーレの存在からLGBTを連想することは容易で、人間とトロールに仮託した二つの世界の対立あるいは融和です。異なった世界とは、LGBTといってといいし、民族や宗教といってもいいし、異なった思想、考え方、認識といってもいいでしょう。世界のあらゆる場所にボーダーは存在します。
映画はこの対立にどう決着をつけるのか?、対立は融和へと向かうのか?。人と人、人とトロールは理解し合えるのか?。融和はあり得ないというわけにもいきませんから、映画では「答」らしきものは用意されてはいます。
トロールという発想は北欧映画ならではですが、ティーナの容貌には最後まで馴染めません。ラストで赤ん坊に微笑むティーナは分かるんですが(これが答えです)、やはりヒロインは「スピーシーズ」のシルの如くすべからず魅力的でなければ!w。原作者のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストは『モールス』で人間世界をさすらう吸血鬼を登場させました。次はどんな「怪物」を創造してくれるのでしょうか。
監督:アリ・アッバシ
タイトルの「ボーダー」は境界、文字通り人間とトロールの境界を意味しています。人間の世界があり、一方でヴォーレのトロールの世界があり、ティーナはその境界=ボーダーで生きています。タイトルに「二つ世界」とあるように、この映画のテーマは明確です。ヴォーレの存在からLGBTを連想することは容易で、人間とトロールに仮託した二つの世界の対立あるいは融和です。異なった世界とは、LGBTといってといいし、民族や宗教といってもいいし、異なった思想、考え方、認識といってもいいでしょう。世界のあらゆる場所にボーダーは存在します。
映画はこの対立にどう決着をつけるのか?、対立は融和へと向かうのか?。人と人、人とトロールは理解し合えるのか?。融和はあり得ないというわけにもいきませんから、映画では「答」らしきものは用意されてはいます。
トロールという発想は北欧映画ならではですが、ティーナの容貌には最後まで馴染めません。ラストで赤ん坊に微笑むティーナは分かるんですが(これが答えです)、やはりヒロインは「スピーシーズ」のシルの如くすべからず魅力的でなければ!w。原作者のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストは『モールス』で人間世界をさすらう吸血鬼を登場させました。次はどんな「怪物」を創造してくれるのでしょうか。
監督:アリ・アッバシ
出演:エヴァ・メランデル、エーロ・ミロノフ
タグ:映画
コメント 0