SSブログ

B級映画の楽しみ その2 西部劇 [日記(2014)]

PDVD_008.JPG PDVD_005.jpg

 こちらでその1を書きました。SF編みたいな選択でしたから、今度は西部劇編で、厳選の結果この7編。いくらB級と言っても、見て面白くないとC級になってしまいますから、見応え?のあるこれぞB級です。セルジオ・レオーネの「ドル箱3部作」も、言ってみればB級じゃないでしょうか。

群盗荒野を裂く(1967伊)】
 セルジオ・レオーネの『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』の悪役ジャン・マリア・ヴォロンテを主役に使ったマカロニ・ウェスタン。ヴォロンテですからヒーローになりようがなくて「群盗」。誰が悪役で誰が正義なのかさっぱり分かりませんが、それがマカロニ・ウェスタンのいいところです。謎のアメリカ青年が一枚噛んで、メキシコ革命軍を手玉に取って大金をせしめカリフォルニアに高飛び...。ラストのヒネリが利いています。アメリカ人ばかりが正義ではない、というマカロニ・ウェスタンの傑作?。

墓石と決闘(1967米)】
 ジョンスタージェスは、バート・ランカスター、カーク・ダグラスで『OK牧場の決斗』を撮っていますが、それに飽きたらず『決斗』の後日譚を描いたものです。ワイアット・アープにジェームズ・ガーナー、ドク・ホリデイにジェイソン・ロバーズを配した、ハードボイルドタッチの西部劇です。やたらと裁判シーンが出てくるのですが、これが伏線となっている辺りはさすが。「OK牧場の決闘」にはたくさんの映画がありますが、手堅くまとまった佳作です。ロバート・ライアンが悪役で登場するという贅沢もあります。

真昼の死闘(1970米)】
 監督ドン・シーゲル、音楽エンニオ・モリコーネのコメディタッチのマカロニウェスタン。見どころは、クリント・イーストウッド、シャーリー・マクレーンの凸凹コンビ。流れ者のイーストウッドが、シスター(尼さん)のマクレーンに頭が上がらないとという珍妙な道中を繰り広げます。何かと言うとイエスを持ち出す敬虔なシスターが、影でタバコやウィスキーをあおる破戒尼僧。このシスターは何者なんだという謎で引っ張ってゆきます。流れ者は金のため、シスターは信仰のために兵隊の乗った列車を谷に突き落とし、砦を襲って奪います。ドン・シーゲルですから、アクション、大活劇もあり楽しめます。変形マカロニ・ウェスタンの傑作?

 リー・マービンとジャック・パランスが老カウボーイに扮して、「西部」の落日を謳いあげます。ガンファイトも少なめで起伏に乏しい映画ですが、リー・マービンとジャック・パランスの演技で引っ張ってゆきます。仏女優ジャンヌ・モローが酒場の娼婦でリー・マービンにからみます。リー・マービンもジャック・パランスもジャンヌ・モローも、少しも格好よくないところがこの映画の持ち味です。カウボーイが活躍した「西部」は、こうやって消えていったのでしょうね。派手さはありませんが心を打つ西部劇?です。

 2000数千頭の牛を追って移動する『ローハイド』です。カウボーイの親玉がカルペッパー、よって原題はCulpepper Cattle Company →カルペッパー・カウボーイ商会です。
 カウボーイに憧れる16歳の少年が、カルペッパーに頼み込んでコックの助手として一行に加えてもらいます。カルペッパーの指揮のもとに牧童が牛を追い、最後尾を炊事道具一式を積み込んだ幌馬車がついて行く辺りは完全に『ローハイド』の世界です。ウシ泥棒、馬泥棒が現れ、派手な撃ち合いもあります。水と牧草を求めて争いに巻き込まれ、荒野を彷徨う開拓民に出会ったり、何だかんだあって、「男には牛より大事なものがある」と男の意地を賭けた銃撃戦。TVの『ローハイド』を知っている世代は郷愁でグッとくること請け合いです。
 importのDVDしか無かったのですが、2011年に発売されたようです。

ロング・ライダーズ(1980米)】
 伝説の「ジェッシー・ジェームズ強盗団」です。南北戦争終了後の混乱に乗じて銀行強盗を働く若者たちの無軌道振りを描き、「俺達に明日はない」の西部劇版です。面白いのは、強盗団が南北戦争で負けた南部の誇りを体現した「義賊」の衣をまとって、東部の金融資本に押し入る構図です。最後はこの金融資本に雇われたピンカートン探偵事務所という私設警察のような組織に潰されます。南北戦争終結後、私をもって戦われた南北戦争のようなものです。
 ジェームズ兄弟、ヤンガー兄弟、ミラー兄弟に、キース・キャラダインやデニス・クエイドなどの本物の兄弟を起用していることも面白いです(だからどうというもともないのですが)。最後の10分間の銃撃戦は必見、遅れてやってきたアメリカン・ニューシネマ!の傑作?。

ヤングガン(1988米)、ヤングガン2(1990米)】
 これも伝説のビリー・ザ・キッドの登場する有名な「リンカーン郡戦争」の話です。ビリー・ザ・キッドを描いた映画は、『左きゝの拳銃』など多数あるようですが、単独で描くのではなく、青春群像として描くほうが面白いと思います。彼らはリンカーン郡の派閥抗争に利用され、けっきょく大人の論理で殺されるあたりは、西部劇版「青春残酷物語」といえます。拳銃を頼みに地元のボスたちと戦ったYoung Gunsは、剣一振りで京洛の巷を駆け抜けた新選組を連想します。奇しくも同時代です。

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0