映画 夕陽に立つ保安官（1969米） 地平線から来た男（1971米） BSシネマ

　『夕陽に立つ保安官』（1969米）の原題は、SUPPORT YOUR LOCAL SHERIFF!、『地平線から来た男』の方はSUPPORT YOUR LOCAL GUNFIGHTER　LATIGOです。がんばれ保安官、頑張れガンマンのような雰囲で,

タイトルでタイトルを見ただけでシリアスな西部劇ではないことが見て取れます。どちらかというと「頑張れ（落ち目の）西部劇」というコメディ、パロディで、逆に西部劇の足を引っ張ったような気もします。B級度もここまで高くなると、もう笑うしか無いです。

　二作を通じて主演はジェームズ・ガーナー。脇役としてジャック・イーラム、ヘンリー・モーガンなどを配し、ヒロンインとしてジョーン・ハケット、スザンヌ・プレシェット、悪役としてウォルター・ブレナン、チャック・コナーズなど西部劇で名の売れた俳優を起用しています。

【夕陽に立つ保安官】

　『墓石と決闘』で渋いワイアット・アープを演じて見せたジェームズ・ガーナーが、今度は『真昼の決闘』『荒野の決闘』『OK牧場の決斗』を笑い飛ばすパロディーで保安官を演じます。どこが『夕陽に立つ保安官』なのかさっぱり分かりません。

　ゴールドラッシュに沸くツームストーンのような町にジェームズ・ガーナーが流れてくるわけです。この男は、オーストラリア移住を目論んでいるのですが、その前に少し稼ごうと景気のいいこの町にやってきたのです。金の採掘でもするのかと思ったら、安易に保安官の募集に応じます。前任の保安官3人は殺されるか逃げ出すかしたというので保安官は空席、町長にとっては渡りに船、即採用です。

　西部劇ですから悪役が必要となり、「クラントン一家」の替わりに親父＋3人の息子というダンビー一家が登場します。この親父がウォルター・ブレナン、保安官助手がジャック・イーラムといういずれも『真昼の決闘』『荒野の決闘』に出演歴のある俳優。米国人が見れば、これでパロディであることは一目瞭然なのでしょう。で、ジェームズ・ガーナーの保安官vs. ダンビー一家の『真昼の決闘』『荒野の決闘』が演じられることになりますが...。

　ヒロインも要るだろうということで、町長の娘が登場します。この娘は、冒頭で金鉱を発見していますから、町一番の大金持ち。ジェームズ・ガーナーは、色と欲に絡め取られて、オーストラリア移住計画も潰れてこの街に沈没するというお話です。

【地平線から来た男】

　西部劇にはガンマンがつきものですから、保安官に続きこちらにもエールを送っておこうと云うことでしょう。

　ゴールドラッシュに沸く町にジェームズ・ガーナーが流れてくるという設定は変わりません、この町では、ふたりの鉱山主が主鉱脈を掘り当てようとイガミ合い、一方が暗殺のためにガンマンを雇ったとう噂の最中にガーナーが現れます。如何にもガンマンと言った格好ですから、このガンマンに間違われたことからドタバタ劇が始まります。

　前作のヒロイン・ジョーン・ハケットは、泥まみれになって男たちと喧嘩をする勝ち気な市長の娘でした。今回のスザンヌ・プレシェットも気にいらないことがあるとライフルをぶっ放すオテンバ娘で、ワンパターンを狙っています。父親が鉱山主のヘンリー・モーガンというのも、よくわからないうちにジェームズ・ガーナーに惚れ込むところも同じです。もうひとつのワンパターンが、ガーナーの相棒、ジャック・イーラム。凄腕のガンマンと間違われたガーナーは、イーラムをガンマンに仕立て上げ一儲けをたくらみますが、本物のガンマン、チャック・コナーズが現れ...。

　‘SUPPORT YOUR LOCALナントカ’でシリーズ化を狙ったのでしょうが、2作に終わったところを見ると、あまりヒットしなかったのでしょう。ということで、同じジェームズ・ガーナーでも『墓石と決闘』はオススメですが、こちらはお薦めという程のことはありません。コメディということで、気楽に見て笑って何も残らない、ということではお薦めかも知れませんね。

監督：バート・ケネディ

出演：ジェームズ・ガーナー　ジャック・イーラム　ヘンリー・モーガン

　　　　ジョーン・ハケット　ウォルター・ブレナン（第1作）、スザンヌ・プレシェット　チャック・コナーズ（第2作）

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