SSブログ

映画 花嫁と角砂糖(2011イラン) BSシネマ [日記(2014)]

花嫁と角砂糖2.jpg 花嫁と角砂糖.jpg 
 イラン映画を初めてみました。イランというと、白色革命で国家の指導原理がイスラム教となった特殊な国だと思っていましたが、この映画を見ると当たり前の人間が当たり前に生活している国です。それこそ当たり前の話ですが。

 5人姉妹?の末娘パサンドの結婚が決まり、兄弟親族が集まってその祝の宴が催されます。結婚の相手は海外に出稼ぎに出て行っているようで、この映画の最初から最後まで登場しません。親族のひとりから英会話の教材を借りていますから、バサンドは、結婚と同時に海外に行くことになっているようです。ひょっとしたら、結婚式そのものも海外で挙げるのかもしれません。

 バサンドの4人の姉とその夫と子供、母親、叔父、祖母が繰り広げる宴会準備の喧騒は、そこがイランであることを忘れてしまいそうなほど何処にでもある光景です。夫と子供たちが液晶TVでサッカーを観戦し、スマートフォンが使われるシーンと、女性たちのスカーフと裳裾の長い伝統的な衣装とのコントラストは、やはり、ここはイランです。

 何事も起こらない前半に比べ、後半では事件が持ち上がります。虎と闘ったことを子供たちに自慢する叔父が、結婚を祝う宴会の翌朝、心臓発作で急死します。映画は一転、結婚から葬式に変じます。タイトルの『花嫁と角砂糖』が効いています。結婚の宴会に砂糖で作ったデコレーションを壊すシーンが登場し、叔父は翌朝その砂糖を食べてお茶を飲んでいる時に亡くなります。葬儀の後参会者に出す料理の数が足りない等と、親族一同てんやわんや。これもまたアリそうな光景です。

 そんな中、親族のひとりの青年(バサンドの従兄弟?)が軍隊から帰郷します。かたち通り叔父を悼み、バサンドは食事を運んで青年をもてなします。その夜、青年はバサンドに別れの挨拶もせず軍隊に帰ってゆきます。この唐突とも言えるエピソードは何を意味しているんでしょう。
 青年の行動を追うと、バサンドから叔父が朝食前に角砂糖を食べているお茶を飲んでいる時に亡くなったことを聞いた。青年は、徴兵義務に期間が過ぎたらこの村に帰ってきて暮らすとバサンドに言っている。叔父が壊れたと思っていたラジオを修理した。子供たちと遊んでいるいる時、偶然にバサンドの結婚を祝う菓子(ハート型に新郎新婦の名前を書いた菓子)を見て彼女の結婚を知った。その後軍隊に帰ります。これだけです。

 バサンドは青年を追いかけますが会えません。その翌朝、バサンドは青年が修理したラジオから流れる恋の歌に耳を傾け、今回の葬儀を彼女の婚約者の親族にどうやって報告したものかと問う母親?に、喪が明けたら私が説明すると答えます。バサンドと許婚者がどういう経緯で結婚することなったかは、映画では一言も触れられていません。彼女は、この青年の帰郷によって、自分の本心を知ったことになります。

 それだけ?という映画ですが、古い日本映画を見ているような味わいがあり新鮮です。NHK・BSで見たのですが、思わぬ拾い物です。

製作・監督・脚本:レザ・ミルキャリミ
出演:サイド・プールサミミ、ナガール・ジャワヘリアン、ソヘイラ・ラザウィ

タグ:BSシネマ
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0