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映画 マイルーム(1996米) [日記(2015)]

マイ・ルーム [DVD]
 原題、Marvin's Room。
 「幸福の形はいつも同じだが、不幸の形はそれぞれ違う。」とう文言があります(トルストイ)。
 介護、家族の確執、非行、難病、家庭内暴力とあらゆる不幸が詰まった家族の映画です。不幸が詰まっているから悲惨な映画かというと、これがほのぼのとした映画になっているところがこの映画の良さです。不幸をぎりぎりの所で支えているのが、メルリ・ストリープ、ダイアン・キートンの演技です。

 離婚してふたりの息子を抱えて懸命に生きるリー(メルリ・ストリープ)は、17歳の長男ハンク(レオナルド・ディカプリオ)の放火によって自宅を失い、ハンクは少年院に送られます。
 リーには20年音信不通となった姉ベッシー(ダイアン・キートン)がいます。ベッシーは、痴ほう症で寝たきりの父親とボケ気味の叔母を抱え、ふたりの世話に明け暮れるオールドミス。
 ベッシーが白血病に罹り、骨髄移植のドナーを探してリーに電話を入れたことで20年ぶりに姉妹が再会し、絵に書いたような不幸を背負うふたりの物語が始まります。

 リーが老いた父親の面倒を姉ベッシーに押し付けたことが不仲の原因です。そんなふたりの関係が如何に修復されるのか。レオナルド・ディカプリオ演じるハンクが重要な位置を占めます。ハンクは父親を失った悲しみを母親リーにぶつけ、リーもまた息子が理解できずいがみ合うという関係で、ハンクが自宅に放火した原因もそこにあります。ハンクは、痴ほう症でベットに横たわる祖父に会い、一心に介護するベッシーを見て次第に彼女に心を開くようになります。そして、リーの息子を見る目にもまた変化が現れ、ベッシーとリーも和解します。

 リーとふたりの息子も骨髄移植のドナーとしては不適格であることが分かり、ベッシーとリーを取り巻く環境は何の変化もありません。父親はベットに横たわり叔母はTVドラマの世界に生き、ベッシーの白血病も直る見込みはありません。リーも、息子との関係は幾分改善されたものの、オハイオ?に帰れば、またふたりの息子を抱えたシングルマザーの生活が始まります。ハンクも少年院に戻らねばならず、18歳を越えると刑務所に入ることになります。映画の冒頭とラストでは、何も変わっていません。
 外見上は何も変わっていませんが、3人は確実に変わったのです。ベッシーとリー、リーとハンクは和解し、ハンクは母親を許す気持ちになったのです。「愛されたから幸せ」なのではなく、「愛することが出来て幸せ」と言うベッシーの言葉がそれを物語っています。幸せというものは心の持ち様だ、と言ってしまっては味も蓋もありませんが、そういうことでしょう。
 原題は“ Marvin's Room ”。 Marvinというのは、寝たきりの父親の名前です。3人の心の変化は、実は Marvinによってもたらされたのかも知れません。ちなみに、この一言もセリフのないマーヴィンを演じているのは、『コクーン』に出ていたヒューム・クローニン(ジェシカ・タンディの旦那)です。

 ディカプリオのツッパッた不良ぶり、ところ構わずタバコをふかすストリーブのふて腐れた母親ぶりは絵になります。「愛することが出来て幸せ」というダイアン・キートンの演技は素晴らしい思います。製作に携わったロバート・デニーロが医師役で出演しています。

 全く地味で、殆ど会話で成り立っている映画ですが、お薦めです。

監督:ジェリー・ザックス
出演:メリル・ストリープ ダイアン・キートン レオナルド・ディカプリオ ロバート・デニーロ ヒューム・クローニン

タグ:BSシネマ
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