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映画 狩人の夜(1955米) [日記(2018)]

狩人の夜 [Blu-ray]  ファンタジーでかつ(フィルム)ノワールという不思議な映画です。
 1万ドルを奪った男が、金の隠し場所を自白せず死刑となります。刑務所で男と同房であったパウエル(ロバート・ミッチャム)はこの話を知り、金を得るため偽牧師に扮して遺族に近づきます。映画の魅力のひとつが『眼下の敵(1957)』『ライアンの娘(1970)』の名優ロバート・ミッチャムです。両手の指にLOVEとHATEの入れ墨をし、これを使った「説教」で人心を収攬する偽牧師パウェルです。賛美歌を歌いながら登場するパウェルはモノクロ映像と相まって不気味です。

 パウェルは、1万ドルの在りかを聞き出すために男の妻(シェリー・ウィンターズ)と結婚します。パウェルは牧師を騙って未亡人に近づき、財産を巻き上げては殺すという凶悪犯。妻が金の行方を知らないとなったらこれを殺害し、幼い兄妹に魔手を伸ばします。冒頭で明かされていますが、1万ドルはパールの人形に隠され、父親からは決して明かしてはならないと誓わされています。後半は、パウェルを信用せずその魔の手から逃れるジョンとパールの兄妹の逃亡劇。
 ボートで川を下る兄妹の逃亡は、影絵芝居のような美しい映像で描かれます。

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 ボートが流れ着いた先で、兄妹は孤児を育てる老婦人(リリアン・ギッシュ)に出会い引き取られます。実の子に見放された老婦人と、親を無くした子が身を寄せ合って暮らすという設定です。ところがと言うか当然パウェルが現れ、兄妹の引き渡しを要求します。老婦人は、パウェルを怪しみ銃で追い払い、納屋に閉じ込め、あっけなく捕まって死刑となります。
 脅威の去ったクリスマス、老婦人と孤児たちの間でささやかなプレゼントの交換が行われて幕。

 話としてはこれだけです。聖書や讃美歌が随所に顔を出し、教訓的かというとそうでもなく、偽牧師の怪しい説教、パウェルに騙され兄妹の母親と結婚させた近所のオバサン、牧師の影響で狂信的な信者となる母親、捕まったパウェルを「吊るせ!」と荒れ狂う民衆などを登場させ、聖と俗を見据えるのが幼い兄妹の視点です。

 ロバート・ミッチャムの怪演、幻想的な影絵の世界は一見の価値ありです。監督は、『情婦』で弁護士を演じたチャールズ・ロートン。惜しいことに監督はこれ一作のみです。シェリー・ウィンターズは、『ポセイドン・アドヴェンチャー』でジーン・ハックマンを水中から助け出しその直後心臓発作で死ぬ元水泳選手のオバサンです。リリアン・ギッシュは、無声映画の名女優だそうです。
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監督:チャールズ・ロートン
出演:ロバート・ミッチャム シェリー・ウィンタース リリアン・ギッシュ

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