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映画 隻眼の虎(2015韓国) [日記 (2022)]

隻眼の虎 [DVD] 原題:대호(大虎)。基本は猟師と伝説の「隻眼の虎」との死闘ですが、ちょっと変わった映画です。朝鮮半島に虎がいる?。そう言えば加藤清正の虎退治の伝説がありますから、いたんでしょう。検索すると、シベリアから中国東北部に生息するアムールトラのようです。

虎 vs. 日本軍
 舞台は、1925年、日本統治時代の朝鮮、智異山。全羅南道、北道、慶尚南道にまたがる山岳地帯で、標高1915mの智異山は韓国で2番目に高い山だそうです。この智異山に人を襲う虎が棲み、慶尚南道の日本軍が猟師団を使って虎退治を始めます。ナンデ軍が虎狩りするのか?。朝鮮を併合した日本は、道に配置された軍が警察権持っているわけで、人食い虎を駆除するのも仕事。

 猟師団では虎退治が出来ず、軍の出動となります。軍は「山の神」と呼ばれる隻眼の虎に翻弄され、多くの兵士が殺されます。この「日本兵」が虎に殺されるシーンが映画のハイライト。虎は朝鮮の象徴ですから、被征服者の朝鮮が征服者である日本を滅ぼすという構図かな?とも思うのですが、朝鮮は1910年に日本に併合されていますから、日本軍ではなく「朝鮮軍」で兵士は朝鮮人。朝鮮人の日本軍将校が登場しますから、ステレオタイプの「反日」映画というわけでは無さそう。智異山は「抵抗の地」だそうで、「甲午農民戦争では、蜂起した農民が山中にとどまり抵抗を続けたことで知られる。日韓併合に至る大韓帝国末期には、抗日闘争の拠点となった」そうですから、軍隊と闘う隻眼の虎は抵抗の象徴であることは確かです。
1.jpg 虎に例えた朝鮮半島
虎 vs. 猟師マンドク
 虎と闘う猟師のマンドク(チェ・ミンシク)がもうひとつのテーマ。朝鮮一の猟師と評判のマンドクは、事故で妻を射殺したため銃を捨て、今では薬草を採って息子と暮らしているという設定です。中盤で明かされますが、マンドクは猟師だった頃に子供を連れた母虎を殺したことがあります。マンドクは子供の虎を助け、自分で狩りが出来るまで獲物を運んでやります。その子供の虎が成長したのが「隻眼の虎」。映画の冒頭で、虎に出会ったマンドクが銃を空に向けて撃ち虎を追い払うシーンがあります。その裏には、こうした因縁があったわけです。
 マンドクの息子は、賞金のかかった虎を狩るために狩猟団に入り、虎に襲われて命を落とします。虎は息子の遺体をマンドクの小屋に運びます。子供の頃マンドクに助けられた恩に報いたわけでしょう。虎狩りで「隻眼の虎」のメスと子供が殺されています。息子を亡くしたマンドクは虎に語りかけます「お前も妻と子失って一人となったそうだな」と。虎は「決着をつけよう」とマンドクを誘い、智異山の山頂で闘い共に崖から転落して幕。虎とマンドクは闘う謂われないわけで、???。

 「虎と軍隊」、「虎と猟師」の2つのエピソードで、自然との「対立と共生」がテーマのようです。人を襲う虎を駆除しようという軍隊、肉親を虎に殺された猟師、虎を護ろうとするマンドクと、それなりによく出来ています。映画としては中途半端でそれほど面白くはありませんが、監督の意図に一票。日本軍人とマンドク等猟師たち、その上に虎が配置されたポスターが、何よりもこの映画を雄弁に物語っています。ちなみにこの日本軍人は大杉漣さんです。大杉漣を使うなら、もうちょっと工夫があってもよかった。

監督:パク・フンジョン
出演:チェ・ミンシクチョン、大杉漣

タグ:映画
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