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朝鮮日報は面白い (2) [日記 (2021)]

 朝鮮日報は日本の新聞よりはるかに面白いですね。

【萬物相】「お月様にささげる歌」
 文大統領の姓のアルファベット表記が「Moon」で、月は文大統領を意味する隠語だそうです。

青瓦台秘書官になった元議員は、ベートーベンのピアノソナタ『月光』を演奏しながら次の通り歌った。「穏やかな湖に映るほのかな月の光 文大統領の心根に似ていました」。「ささげる歌」としては選曲ミスだ。この曲を作った時のベートーベンは非常にうつの状態にあった。聴覚障害が始まり、恋愛も難航していた。ベートーベンの不幸が『月光』の所々にうかがえる。だから、ホラー映画のBGMとしてよく使われる。

 支持者たちは「月光騎士団」と称し、秋美愛前法務部長官は自分自身を「お星様」と呼んでほしいと言ったそうです。野党は文大統領が記者会見せず青瓦台の奥に隠れることを「お月が隠れてしまった」という表現するそうです。

ある評論家は「北には人民の太陽、南には国民のお月様がいらっしゃる」と皮肉った。

拍手!、権力をユーモアで批判するのは在野の特権です。

【コラム】お月様に向かって鳴き声を上げるフクロウはいない
 前項を受けての記事です。青瓦台には民情室というのがあって(タマネギ男で有名なチョ・グク元法務長官も在籍、文在寅大統領も盧武鉉政権の民情主席秘書官)、大統領の親族・側近管理もしているそうです。この民情室というのがフクロウです。なぜそんな管理が必要かというと、一族から権力者が出ると親族・側近が寄ってタカッテその権力を利用する、そこに不正が生まれるからだそうです。中韓の伝統、風土だそうです。同紙は、「大統領の家族の周辺には常に権力にたかる虫たちが渦を巻いている」と表現しています。
 金大中、盧武鉉、金泳三、李明博と歴代大統領は退任後に親族が逮捕され、朴槿恵は側近でつまずき罷免され、李明博と朴槿恵は現在塀の中です。政権を守るために大統領の親族・側近の管理が如何に大切かということなんですが、どうも過去のフクロウは失敗しているようです。
 で文在寅大統領はというと、息子には特別待遇疑惑があり、娘婿はタイで韓国系企業の要職に、李洛淵前首相の弟は韓国系企業の要職にあり、夫人と親しい実業家は公共用地買収で特別待遇を受けているといいます。

青瓦台はこの4年間、親族・側近の不正を監視する特別監察官の任命も先送りしてきた。そうしておきながら、「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)さえ設立すればすべて解決できる」と固執してきた。
・・・韓国の大統領の権力は5年間だ。今は権力機関を掌握し、無事であるかのように見えるが、いつまでも続く保護膜はない。歴代の大統領たちは全員、親族・側近の不正で退任前後に無事ではいられなかった。文大統領だけは例外だろうか。あらかじめ防がなければ悲劇は避けられない。

 朝鮮日報は青瓦台にも届いている筈ですから、文在寅大統領は当然を読んでいるでしょう。「言論改革法案」=讒謗律で対抗ですね。明治初期の日本の新聞で読んでいる既視感があります。日本の新聞もこれくらい書いてほしいものです。

 考えてみれば、朝鮮日報や中央日報が面白いのではなく、韓国が面白いのです。

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赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録① (2019岩波書店) [日記 (2021)]

ナウシカ考 風の谷の黙示録  宮崎駿のアニメは、最初に観たのが『トトロ』で、ジブリはトトロから始まると誤解していました。公開順に並べると、風の谷のナウシカ(1984)、→天空の城ラピュタ(1986)→トトロ(1988)→魔女の宅急便(1989)→紅の豚(1992)→もののけ姫(1997)→千と千尋の神隠し(2001)となり、『ナウシカ』が最初です。
 『ナウシカ』はアニメ版(1984)とコミック版(1994)があり、コミックを読んで驚いたのですがアニメとは全くの別物です。処女作に作家のすべてがあるという伝でゆけば、コミック版『ナウシカ』に宮崎アニメのエッセンスが詰まっているのかもし知れません。ナウシカは巨神兵にオーマ(エフタル語で無垢)という「名前」を与えナウシカは巨神兵の母となります。『千と千尋』で、千尋は湯ババから名前を取り上げられ「千」という名前を与えられて湯ババの支配下に入ります。『もののけ姫』で、ものけ姫の対抗軸「エボシ御前」は火の象徴「たたら場」で製造した石火矢を使います。

 1982~1994年と書き継がれたコミック版『ナウシカ』を読んでその構造はだいたい分かったのですが、前々から気になっていた解説本?『ナウシカ考 風の谷の黙示録』を読んでみました。著者は、東北学を提唱したこ民俗学者のようです。
 本書は、第一章:西域幻想、第二章:風の谷、第三章:腐海、第四章:黙示録、終章:宮崎駿の詩学へ、から成り立っています。壮大な「黙示録」ナウシカ世界が語られるのは第三、第四章です。
 マンガの書評というのは、『ナウシカ』の「絵」がイメージ出来ないとけっこう読み辛いです、この辺りが文字の本の書評と違うところです。

森の人
 人類はプロメテウスの火を獲得し使いこなすことで文明を築きます。ナウシカの世界は、「火の七日間」と呼ばれる最終戦争で文明が滅んだ後の世界です。『ナウシカ』は、この火の両義性で成り立っています。たとえば、

水と火をめぐる、呼びかけの決まり文句が三つの場面に姿を見せている。たとえば、土鬼の兵士たちに向かって、アスベルが右手を挙げながら、「火と水に調和を敵意はな い 」と呼びかけている。

 森の人は、「蟲使い」とともにアニメは登場しないキャラクターで、瘴気でマスク無しでは5分と生きられない腐海で暮らす種族です。 火を捨て人界をきらい、蟲の腸をまとい卵を食し体液を泡として腐海の奥深くに住む不思議な人々。最も高貴な血の一族であり蟲使いの祖だと言います。高貴な森の人、穢の民・蟲使いが表裏であるところが面白いです。蟲使いは、自分達穢の民の解放者としてナウシカに付き従いますが、森の人もナウシカを同類、この終末世界の救済者と見なして深く関わってきます。

セルム:ナウシカ 私と一緒に森へ来てくれませんか
 私達は森と共に生きる道を選んだ一族です
 あなたは私達と心を同じくする人だ
 私と共に生きて下さい

ナウシカ:ありがとう とてもうれしい
 でも あなたは生命の流れの中に身をおいておられます
 私はひとつひとつの生命とかかわってしまう…
 私はこちらの世界の人達を愛しすぎているのです
 人間の汚した たそがれの世界で 私は生きていきます(コミック6-97)

森の人セルムの恋の告白です。ナウシカは、私は森の人の同類ではない「こちらの世界」の住人だと申し出を拒絶します。『ナウシカ』で唯一の「恋」のシーンです。
 ナウシカは、ガンシップに乗って爆弾を投下し、火を吐く最終兵器・巨神兵を使い、土鬼の皇兄に、「結局はお前も火を使うのか」と皮肉られています。森の人は、祖を同じくするという「蟲使い」とセットで捉えたほうがよさそうです。では蟲使いとは何者か?、続きます

タグ:読書
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