SSブログ

嵐山光三郎 「不良中年」は楽しい [日記(2015)]

「不良中年」は楽しい (講談社文庫)
 光三郎センセイによる「不良中年ノススメ」です。『悪党芭蕉』『文人悪食』がセンセイの力業であるなら、本書は筆のすさび余技です。本書が出版された2000年頃は「不良中年」がブームだったようで、15年経った現在、その頃の中年は初老、「不良老年は楽しい」と読んでもいいかもしれません。

【博打は人生の教科書である】
 (その日)阿佐田さんはすべてのレースをはずした。びっくりしたのは、最終レースをはずしたとき、阿佐田さんが、嬉しそうに、ニンマリと笑ったことだった。そうして、こういった。
「今日はいい負けだった」
 プロのギャンブラーにして不良中年の鑑、阿佐田哲也(朝だ徹夜、色川武大)は、1日毎に勝敗をつけていたそうです。いいことがあれば1勝、悪いことがあれば1敗、5勝6敗であればその日は負け。勝ちの日が四日も5日も続くと阿佐田哲也は外出を控えたそうす(次は敗けがくる)。ツキというものは誰にでも訪れる、ギャンブルで勝つためにはツキの波を読む必要があり、勝つだけではなく負けるということも重要な要素です。だから「今日はいい負けだった」 と言えるわけです。ギャンブルもここまでやらなければ、立派な「不良中年」にはなれないようです。

【放浪は男の特権である】
 不良は健全な社会的秩序に従わず、安穏な市民生活を拒否し、天然の旅情にさそわれて、意のむくまま、好きなように生きていく存在である。
 光三郎センセイによると、これが不良の定義です。そして 西行、芭蕉、蕪村、一茶などの風狂の詩人の不良振りが披露され、曰く「一茶はワルだった」。

 と云うようなコラムが7、80納められています。要は、「男五十にして立て!」という「ダンディズムのススメ」です。これを読んで楽しい「不良中年」「不良ジジイ」になれるかは謎。
◆本書に登場する不良
永井荷風、芥川龍之介、太宰治、坂口安吾、川端康成、壇一雄、村松梢風、谷崎潤一郎、阿佐田哲也、
嵐勘寿郎、柳家三亀松
西行、芭蕉、蕪村、一茶、一休、木喰、山頭火
ゴーギャン、ボードレール、ランボー、ゲーテ、ヘミングウェイ、ドフトエフスキー、マルクス
 文人墨客に偏っていますね。『文人悪食』でも織田作之助は素通りされましたが、やはりこの人も入れていただきたい。

タグ:読書
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0