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映画 パンドラム (2009独米) [日記(2017)]

パンドラム コレクターズ・エディション [DVD]  B級SFですが面白いです。遥か未来、地球は増えすぎた人口を維持できず混乱の只中にあります。折から地球型惑星タニスが発見され、人類は地球を離れタニスへの移住を企てます(何処かで聞いたような設定)。そのタニスに向かう6万人の地球人を乗せた移民宇宙船エリジウム号の物語です。

恒星間飛行ですから、乗客もクルーも人工冬眠に入ります。何かの拍子でクルーのひとりバウアー伍長(ベン・フォスター)が冬眠から目覚めます。クルーは数名でチームを組み交代で宇宙船の管理にあたるわけですが、目覚めたのはヴァウアーひとりで引き継ぎを受ける前任のチームもいません。次いで目覚めるのがペイトン中尉(デニス・クエイド)。人工冬眠は記憶喪失を伴うという前提があり、バウアーはペイトンも”未知”の宇宙船で恐怖と遭遇するというサスペンスが売りです。
パンドラム2.jpg パンドラム1.jpg
だいたいこんな感じ           ハンター
 宇宙船エリジウムは、原子炉が不安定となりいつ停止してもおかしくない状況。技術者バウアーはペイトンの誘導で再起動のため原子炉を目指します。人口冬眠の6万人の人間を乗せた巨大宇宙船の闇の中をバウワーの冒険が始まります。
 その恐怖というのが”ハンター”と呼ばれる人間を「喰う」怪物。この怪物が宇宙船のクルーを食べてしまったため、バウアーが目覚めた時クルーはひとりもいなかったわけです。
 何処からともなく現れ、素早い動きで人間を襲う怪物 →『エイリアン』そっくりです。『エイリアン』を下敷きに『エイリアン』を越えるSF映画を作ろうというわけです。バウアー、ペイトン以外にも、女性科学者ナディア、農業労働者マン(英語が喋れない)、食人で生き延びていたコックのリーランドが登場し、原子炉を再起動するため暗闇の中を原子炉へ向かう冒険が始まり、ハンターと戦うアクションもあって見せ場はタップリ。『エイリアン』の二番煎じですが、これはこれで面白いです。
 『パンドラム』ではハンターとの戦いは大した意味を持ちません。テーマはタイトルともなっているパンドラムという宇宙旅行に伴う精神病、一種のパニック障害。パンドラムを病んだ乗組員が、5,000の冬眠カプセルを宇宙に放出して乗客を殺したという逸話が紹介されています。宇宙船エリジウムでは、パンドラムを病んだクルーが同僚を殺し、乗客を冷凍睡眠から目覚めさせて神となって権力を振るい、多くの乗客を閉じ込めサバイバルゲームさせて楽しむという惨劇を起こした過去が、リーランドによって語られます。このクルーは、惨劇に飽きて再び冬眠に入ったということですから、宇宙船の何処かに生きていることになります。また、このサバイバルゲームによって、人間を喰うハンターが生まれたことが明かされます。
 ハンターは、共食いの果に生き残った人間の末裔。つまり、パンドラムという精神障害が「パンドラの匣」の蓋を開け、中からパンドラムとなったクルーとハンターが飛び出したというわけです。『パンドラム』は、「パンドラの匣」の中にある人間の本性の話でもあります。これが一番のホラーかもしれません。
 バウアー達は、ハンターと戦いながら原子炉を再起動させ再び宇宙船を発信させます。宇宙船が正常に戻ったことで、123年で到着するはずの宇宙船は1,000年宇宙を漂っていたことことが明らかになります。では宇宙船は現在何処にいるのか?、これがオチになります。
 ひとつ?があります。バウワーが人工冬眠から目覚めた冒頭から、彼の回想に妻と思われる女性が何度も登場します。バウワーは、彼女も宇宙船に乗っていると思っていたのですが、やがて地球で別れたことを思い出し、妻と別れたことが惑星タニスを目指す宇宙船に乗り込む原因だったことが明かされます。回想の中で何度も登場するこの女性が、ストーリーに全く絡んで来ません。思わせぶりな映像はいったい何だったのか?。もうひとつ、ペイトン中尉の妻の冬眠カプセルを発見し、ペイトン中尉の正体を見破るシーンがあります。これも説明不足で謎。バウワーの妻とペイトン中尉の妻は繋がりがあるのか?。この辺りはよく分かりません。
 荒っぽい作りの映画ですが、ゴシック調?の宇宙船内の映像とパンドラムという発想は気に入っています。
監督:クリスチャン・アルヴァート
出演:ベン・フォスター デニス・クエイド

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