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映画 64(ロクヨン)(2016日) [日記(2017)]

64-ロクヨン-前編 通常版DVD 64-ロクヨン-後編 通常版DVD  横山秀夫『64(ロクヨン)』の映画化です。小説もすこぶる付きの面白さでしたが、映画の方も前後編4時間を一気に見せてくれます。64(ロクヨン)は、昭和天皇の崩御によりわずか1週間しか存在しなかった昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件に関わった人々を描くミステリです。

 ミステリというより、県警の広報官・三上の組織人としての孤独な闘いがテーマです。三上は、実名の発表を要求する記者クラブとの対立し、刑事部長の職を警察庁のキャリア職に置き換えようとする県警本部長、警務部長と対立します。警察組織のなかで、三上は如何にしてアイデンティティを保ったのか?、というところが見所ではないかと思います。
 三上は、誘拐事件の捜査に携わった元刑事。つまり元刑事部に所属し現在は警務部。平成14年、時効まで後1年と迫ったロクヨンの解決のために警察庁長官が県警を視察することとなり、三上は警務部長から誘拐された少女の父親・雨宮(永瀬正敏)と長官の会見をセットするよう命じられます。三上は、14年振りにロクヨンに関わるうちに「幸田メモ」の存在を知らされ、退職した幸田に張り付く刑事に出くわします。さらに、刑事部ではロクヨンがタブーとなていることを知ります。
 警察庁長官の視察は、ロクヨンを口実に警察庁からキャリアの官僚を刑事部長として送り込む策謀であり、「幸田メモ」は、歴代刑事部長が隠し続けてきたロクヨン捜査の失態だったことが明らかになります。
 県警本部長、警務部長に続いて刑事部長の職まで警察庁のキャリア組に乗っ取られては、県警刑事の士気と面子が潰れるわけで、刑事部からは猛反発が起き、三上も身体を張っての抗議となります。
 そうしたなか、ロクヨンをなぞった少女誘拐事件が起き、『64(ロクヨン)』の解決編とも言うべき後編へと突入します。
 この映画の見処は、誘拐殺人に端を発した人間ドラマです。娘を失い事件が風化するなかひとりで犯人追い続ける雨宮、警察の隠蔽体質を内部告発して辞職した幸田(吉岡秀隆)、捜査の失態の重圧から精神を患った日吉。三上もまた職務のため家庭を顧みず、ひとり娘が失踪するという不幸を抱えています。不幸の連鎖のなかで第二のロクヨン事件が起こります。第二の誘拐事件はロクヨンの経過を模倣し、人々を昭和64年1月へと引き戻します。
 原作を読んでいますが、佐藤浩市の熱演で一気に見せてくれます。『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』(こっちはDVD化されたNHKドラマがお薦め)など、単なるミステリに終わらないところが横山秀夫の上手いところです。お薦めの一本。
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市 永瀬正敏 奥田瑛二 瑛太

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