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映画 インターステラー(2014米) [日記(2017)]

  インターステラー [DVD] 地球は砂漠化して農作物は育たず、食料危機から人類は滅亡の危機に瀕しているという世界の物語です。食料生産が優先されるので軍事も宇宙開発もストップし、海兵隊もNASAも解散という世界です。もっともな話ですが何とも粗っぽい。

 地球の温暖化・砂漠化 →人類滅亡の危機 →宇宙へ植民という構図はSF映画の常道で、『インターステラー』でも、この常道を踏まえています。

 ブラックホール、ワームホール、相対性理論などがストーリーのキーワードとして頻出します。2017年に重力波の観測でノーベル賞を与えられた理論物理学者キップ・ソーンが監修者として参加しているようです。ワームホールなど恒星間飛行の便宜的設定でしょうが、著名な学者センセイが監修しているのだから嘘ではないぞと言いたいのでしょうか。5次元世界に至っては理解不能で、タイムトラベルの便法以外の何ものでもありません。
 現代物理学の成果を華麗に取り入れている映画のようですが、素人には、肉親の情は人類愛に勝る(早い話が、米映画の大好きな「家族」)という映画に過ぎません。映画の主軸は、宇宙飛行士クーパー(マシュー・マコノヒー)とマーフ(マッケンジー・フォイ、ジェシカ・チャスティン)の父娘愛です。マーフはクーパーが宇宙に行くことに猛反対(父に捨てられたと思っている)。クーパーはきっと帰ってくると約束して、宇宙への夢止みがたく宇宙船に乗り込むわけです。全編を通じてこの「きっと帰ってくる」が主題となります。家族愛vs.人類愛の表現のひとつが、プランAとプランB。

プランAは、植民可能な惑星を見つけ人類を移住させるというプラン。
プランBは、冷凍した精子と卵子をその惑星に送り込んで種を保存するというプラン。

よく考えれば、全人類を宇宙船で運ぶことは不可能で、生き残っている人類を少数移住させること(たぶん関係者の家族+α)も精子と卵子を送り込むことも大同小異だと思います。この植民星探査のプロジェクト・リーダーは、プランAの大義名分の元に本音はプランBで、人類を救うより種の保存を優先します。これに真っ向勝負がクーパーとマーフ。ちなみにマーフの本名は、「起こる可能性のある事は、いつか必ず起こる」という命題の「マーフィーの法則」のマーフィー。意味深な名前です。

 クーパーとマーフの家族愛を飾るのが、「光速で飛ぶ宇宙船の時間は地球の時間より遅れる」という相対性理論。宇宙旅行をして地球に戻ったクーパーは、娘のマーフより若いという「ウラシマ効果」です。クーパーは5次元空間を使って、成人して理論物理学者となったマーフの元に約束通り帰り、人類を救う重力の理論を伝えます(何ゆえこの理論が地球の砂漠化を防ぐのか、説明はありませんが)。
 この伝達手段というのが、何とモールス信号!(モールス符号に「∫」なんてありました?)。で、めでたく人類は絶滅から救われ、人類愛は家族愛を越えられない、という命題が実証され、同時に家族愛は人類を救うという命題が生まれます。

 ブラックホールや相対性理論の好きな人には面白いでしょうが、SF映画としては『オデッセイ』や『ゼロ・グラビティ』の方が、もっと言えばB級の『スノーピアサー』『パンドラム』の方がシンプルで面白いです。もうひとつ言えば、マット・デイモンやケイシー・アフレックがこの配役ではまことに勿体ない。

監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン マット・デイモン ケイシー・アフレック

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