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映画 ファミリー・プロット(1976米) [日記(2018)]

ファミリー・プロット [DVD]  ヒッチコック最後の作品です。ヒッチコックと言えばサスペンスですが、『ファミリー・プロット』はどちらかというとコメディに近いサスペンスです。

【プロット1】
 インチキ霊媒師ブランチ(バーバラ・ハリス)は、富豪の未亡人から只ひとりの身内で行方知れずの甥の捜索を依頼されます。この甥に遺産を譲ろうということです。成功報酬1万ドルに目の眩んだブランチと愛人のタクシー運転手ジョージ(ブルース・ダーン)の、この甥探しが映画のメインプロット。故にファミリー・プロットなんでしょう。このふたりの軽妙な演技が、ヒッチコックらしくないコメディを生み出しています。

【プロット2】
 ブランチとジョージの甥探しと平行して、アーサー(ウィリアム・ディヴェイン)とフラン(カレン・ブラック)による誘拐事件が描かれます。見ている方は、ジョージが探す甥=アーサーではなかろうかと想像できます、事実その通り。手の内がバレても、痛くも痒くもないということでしょうか。
 宝石商のアーサーは、富豪を誘拐して身代金に巨大なダイヤを要求し、ダイヤを細かく砕いて売り捌こうということです。誘拐実行犯がアーサーでダイヤの受け取りがフランという分担。ダイヤを受け取りに現れたフランの姿は、目の覚める様な長髪のブロンドにサングラス。金髪フェチで有名なヒッチコックですから、今回も金髪女優を起用...と思ったのですが、ダイヤを受け取った後、車の中でフランはサングラスを外し何とブロンドのカツラを脱ぎます。現れたのは黒髪の美女。金髪フェチの汚名?を晴らしたかったのかもしれません。ブランチの髪はシルバーでフランはブラック、ブロンド美女は何処に? →最後まで登場しません。これもヒッチコックが仕掛けたプロットなんでしょうか?。

【プロット3】
 富豪の甥に生まれたアーサーは、里子に出され、育ての親を火事で焼き殺し自身も死んだと見せかけて今の地位を手に入れた過去があります。ジョージがこの秘密に迫り、ブランチが探す甥がアーサーであることを突きとめます。このふたり、インチキ霊媒師は結婚を迫り、タクシー運転手は独身に未練があって腰が引けているというコンビで、とても名探偵という柄ではありません。対象的なのが、冷徹に犯罪を犯すアーサーとそれを助けるフラン。ジョージとブランチを狂言回しに、アーサーとフランの犯罪が暴かれるという構図です。
 アーサーは預かり知らぬことですが、富豪の甥として何億ドルもの遺産を相続する運命にあります。そのアーサーが誘拐という危険な綱渡りを演じ、最後は墓穴を掘るというのが、最後のプロット。奪ったダイヤの隠し場所がシャンデリアのガラス玉のなかで、玉石混淆というのも、ヒッチコックらしい皮肉です。

 今になっては、どうと言うこともない映画ですが、ヒッチコックの映画は安心して見ることができます。
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:バーバラ・ハリス ブルース・ダーン カレン・ブラック ウィリアム・ディヴェイン

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