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映画 南極料理人(2009日) [日記(2018)]

南極料理人 [DVD] 面白南極料理人 (新潮文庫)  南極の越冬隊の話といえば『遊星からの物体X』を連想しますが、残念ながら物体Xもペンギンも登場しません。代わりに、タイトル通り「料理」はたくさん登場します。料理の映画は、『深夜食堂』『かもめ食堂』『マーサの幸せレシピ』『バペットの晩餐会』等などけっこうありますね。「食」は人間生存の基本的な欲望ですから映画にならないわけはないです。

 南極ドーム基地で過ごす7人の隊員+料理人の「食」にかかわる、悲喜こもごもの物語です。海上保安庁の料理人・西村クン(堺雅人)は、同僚の代役として南極ドーム基地に派遣されます。この基地は、昭和基地から1000kmはなれた内陸にあり、富士山より高い標高3800m、平均気温-57℃でペンギン、アザラシはおろかウィルスさえ生存できない文字通りの極地。水は85℃で沸騰するためご飯もたけません。

 気象庁のタイチョー(きたろう)、極地研究所の本さん(生瀬勝久)平さん(小浜正寛)、大学院生の兄やん(高良健吾)、自動車会社出向の主任(古舘寛治)、通信社の盆さん(黒田大輔)、北海道の病院から来たドクター(豊原功補)、そして海上保安庁の西村クンの8人。娯楽も無い男ばかり8人の生活ですから、食べることが唯一の楽しみ。見ているとけっこう贅沢な食事です。

 前任者の残していった大きな伊勢海老が発見されますが、日本での貧しい?食生活を引きずる隊員のリクエストは「海老フライ」。ケッサクなのはラーメン。夜食に(インスタンント)ラーメンを食べ過ぎ、任期半ばで在庫が底を尽きます。無いと食べたいのが人情、身体がラーメンで出来ているというタイチョーの、見も世も無い嘆きは笑います。小麦粉も卵もあるが肝心のカンスイが無いため、西村さんでも作れません。ベーキングパウダーとカンスイの分子式が同じであること目をつけ、西村クンは手打ちのラーメンを作ります。出来上がったラーメンをすする隊員の顔は幸福そのもの、気象学者のタイチョウーは観測も忘れてラーメンに舌鼓を打ちます。

 原作は、西村淳のエッセイ『面白南極料理人』だそうです。随所にクスッと笑わせる隊員のユーモアが散りばめられています。1年以上南極に閉じ込められると、オッサンは少年に戻るようです。南極で苦労している隊員の家庭はどうかというと、「亭主元気で留守がイイ」。若い兄やんは、1年以上日本を離れていたため恋人に逃げられ、失意のあまりKDDのオペレーターの声に恋し「ケッコンして下さい!」。実際はもっと際どい困難があったはずですがサラリとかわし、happyendで終わります。人生を切り取る視点は色々ありますが、「食」という視点で切り取ればいずれもhappyendで終わります(飢餓は別として)。たまの日本映画もいいものです。映画が面白かったので、いずれ原作も読みたいものです。

監督:沖田修一
出演:堺雅人 生瀬勝久 きたろう 高良健吾 豊原功補

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