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映画 死の谷間 (2015 米、スイス、アイスランド、ニュージーランド) [日記 (2021)]

死の谷間 ブルーレイ & DVDセット [Blu-ray]  原題は”Z for Zachariah”、「ザカリアのZ」。ザガリアって何?、検索すると聖書に登場するユダヤ教の司祭、預言者で「洗礼者ヨハネ」の父親だそうで妻エリサベトとともにキリスト教に聖人です。

 放射能に汚染され人類が滅亡した世界の話で、よくあるデストピア映画。世界は放射能で死に絶えていますが、ヒロインの住む「谷間」だけは汚染を免れ清浄な水と空気と自然が残っているという設定です。これでは「死の谷間」ではなく楽園ではないのか?。聖書で楽園といえば「エデンの園」です。

 このエデンの園で、若い女性アン(マーゴット・ロビー)がひとりで農作物を育て狩りをし魚を獲って自給自足の生活をしています。汚染された世界の映像は一切ありませんから、「死の谷間」は楽園そのもの。その楽園に黒人のジョンが闖入します、『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォーです。アンは、放射能で息も絶え絶えのジョンを自宅に連れ帰り看病し、ジョンは谷間の住人となります。長い間ひとりで暮らして来たアンは、ジョンにモーションをかけますがジョンは何が障害となっているのかなかなか「なびき」ません。
 モヤモヤの積もるアンとつれないジョンの前に、ケイレブ(クリス・パイン)が現れます。若い白人女性、黒人男性、イケメンの白人青年の3人を隔絶された環境に置けばどうなるのか?、大体ストーリーは読めます。アン巡ってジョンとケイレブのバトル?...。

 死の谷間を「エデンの園」とすれば、アン=イヴであり、ジョンとケイレブのどちらかがアダムか蛇。イヴは蛇に誘惑され知恵の実(禁断の果実)を食べますから、どう見てもイケメンのケイレブが蛇。映画でもアンはケイレブの差し出す「禁断の果実」を食べます(つまりジョンがアダム)。イヴに促されてアダムもまた禁断の果実を食べ、ふたりは「原罪」を負って楽園を追放されるわけです。ヘビは何処へ行ったのか?、という宗教風サスペンス映画です。ジョンはアンの誘惑を退けますが、禁断の果実を食べることを恐れたのだと考えると辻褄があってきます →結局食べますがw。

5.jpg ウィリアム・ブレイク

 タイトルの”Z for Zachariah”に戻ります。 wikipediaによると、天使が長い間子供が生まれなかったザガリアにヨハネの誕生とその将来(イエスに洗礼を与えること)を予言します。ザガリアはこれを信じなかったため、ヨハネが誕生するまで口がきけなくなります。エリサベトがヨハネを産み、この子の名前は?と聞かれたザガリヤはヨハネだと文字に書くと、ザカリアは口が利けるようになった、・・・ユダヤの神とイエスをヨイショする話です。
 ヨハネはイエスに洗礼を与えますからキリスト教の生みの親。ザガリアとエリサベトからヨハネが生まれますから、アン=イヴ=エリサベス、ジョン=アダム=ザガリアとなります。Zはアルファベットの最後の文字と考え、Z for Zachariahとは「ザガリアの末裔」という意味だとするなら、この映画はアダムとイヴの楽園追放とキリスト教の誕生(洗礼者ヨハネの誕生)を重ね合わせていることになります。つまり「原罪」の誕生でもあるわけです。
 映画そのものより、アンとジョン、ケイレブのその後を想像する方が楽しいという映画ですw。

監督:クレイグ・ゾベル
出演:マーゴット・ロビー キウェテル・イジョフォー クリス・パイン

タグ:映画
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