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映画 チャーリング・クロス街84番地(1987米) [日記 (2023)]

チャーリング・クロス街84番地 [DVD]
 こちらの続きです。『チャリング・クロス街84番地』の映画化です。貧乏作家と古書店との往復書簡集、そんなもの映画になるのかと思ったのですが、それがなるんですね。1949年、NYに住む古本好きの作家へレーヌ(アン・バンクロフト)が、英国文学の絶版本をロンドンの古書専門店・マークス社に注文します。マークス社の所在がタイトルのチャーリング・クロス街84番地(本ではチャリング)。古書店のフランク(アンソニー・ホプキンズ)から返信が届き、古書の注文を通じて二人の交流が始まります。

アンバンクロフト.jpg 84-Charing-Cross-Road.jpg
 映画は、手紙のナレーションをバックにNYのヘレーヌとロンドンのフランクの日常が淡々描かれます。フランクは、ヘレーヌの要望する安価な古本を探し出し、それに応えるようにヘレーヌは食料不足のロンドンに缶詰などを送ります。1950年当時、イギリスは配給制度だったようです。食料品を送ったことで、従業員やフランクの妻(ジュディ・デンチ)とも文通の輪が広がります。

 二人の文通は20年にわたって続きます。その間、ロンドンではビートルズやミニスカートが流行り、NYでは民主化運動や学園紛争が起こり、フランクの子供達は巣立ち、ヘレーヌは作家としてささやかな成功をおさめます。会うこともないまま、突然フランクが亡くなり、ヘレーヌはチャーリング・クロス街84番地、閉店したマークス社を訪ねます。

 これだけの映画です。これだけの映画を、3人の名優、アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンズ、ジュディ・デンチが演じます。

 本に関わる映画です。世界の先端を走るNYには英国作家の古書がありません。手紙で問い合わせ、ロンドンから届く古風に装丁された、何人もの読者を経て我が手に届いた古本にヘレーヌは感動します。eメールや電子書籍として瞬時に手に入り昨今と違い、手間暇かけた手紙のやり取りが、そのままヘレーヌとフランクのゆったり流れる人生でもあるわけです。ドラマはありませんが、心にしみる映画です。
 
 アン・バンクロフトは、個人的には『卒業』のMrs.ロビンソンなのですが...。

監督:デビッド・ジョーンズ
出演:アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンズ、ジュディ・デンチ

タグ:映画
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ヘレーン・ハンフ チャリング・クロス街84番地(2021中公文庫) [日記 (2023)]

チャリング・クロス街84番地-増補版 (中公文庫, ハ6-2)ニューヨーク、ロンドン
 NYの作家ヘレーンとロンドン・マークス古書店のフランクとの往復書簡集です。ヘレーンがこんな本を読みたいと発信し、探し出して送ったよとフランクが返信。こんな本があるけど要る?、是非送って!、というやり取りもあります。出てくる書名の大半は馴染みのない18~19世紀のイギリス文学で、現代文学や新刊書は一切出てきません。ヘレーンは、ペーパーバックで文化や思想を「消費」するアメリカ文明に背を向けるかのように、英国文学の古書をロンドンのフランクに注文するわけです。ヘレーンの手紙に出てくる書名で知っているのは『釣魚大全』、『高慢と偏見』程度。『ピープスの日記』や『トリストラム・シャンディ』など、つい「読んでみようかな」と思わせる読書案内でもあります。

 ヘレーンがマークス書店にベーコンの缶詰や卵を送ったことで、従業員やフランクの奥さんとも文通の輪が広がり、本書が生まれます。1950年当時イギリスでは食糧は配給制で、肉は1週間に1世帯当り60g足らず、卵は1ヶ月に1人1個なのだそうです。これに同情したヘレーンはデンマークの業者を通じて食料品を届けたわけです。

 ヘレーンはTVドラマの脚本を書いて生計を立てています。

ところで、エラリー・クイーンの作品を元にして、いささか気どった殺人事件のテレビ・ドラマを書いてること、お話ししましたっけ?・・・あなたに敬意を表して、いつか稀覯本を扱う商売を背景に使って、台本を一本物してみるわ。あなた、人殺しの役と殺される役とだったら、どっちになりたい?。

 ヘレーンは、エリザベス女王の戴冠式の見学を兼ねてロンドン旅行を計画します。ところが歯の治療、

歯冠をかぶせてもらうことにしました。でも、費用が天文学的数字でものす ごいんです。だから、エリザベス女王の戴冠式には行けないの。むこう二年間、冠を戴くのはわたしの歯だけなのだわ。

等など、本の注文の注文にユーモアに満ちた一文を付け加えます。

古書偏愛
 マークス社から古書がとどきます

まるで発行当時そのままのように新しくて、一見だれの手にも触れられたことがないみたいですが、じつはちゃんと読んだ人がいるのです。というのは、この本の中でいちばん楽しい個所が何個所か、パラッと自然に開くのです。まるで、前の所有者の霊が私の読んだことのない詩を教えてくれているようです。

本は、読者から読者へと読み継がれてゆくべきものだと言うのです。また、

あなた方にさしあげたプレゼント(食料品)は一週間もすれば食べ尽くしてしまって、新年までには、その跡形すら消えてしまうのです。ところが私のほうは、死ぬ日まで手もとにおいておけて――しかも、この本を愛してくれるだれかほかの人のためにあとに残すことを承知のうえで死んでいくのですから、私、しあわせです。 本の中じゅうあちこちに鉛筆で薄くしるしをつけて、だれか後世の愛書家のために、いちばんよく書けているくだりを教えてあげることにしましょう。

本は、食物のように「消費」されるのではなく、愛書家から愛書家へと受け継がれる人間の知恵だと言います。

 本書は1970年にアメリカで出版され、1972年に江藤淳の訳で日本で出版、1984年に文庫化され、2021年に再版されています。
 映画化されているようなので、探してみます。
IMG_20230706_0001.jpgマークス古書店(1969)

タグ:読書
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映画 アバター ウェイ・オブ・ウォーター(2022米) [日記 (2023)]

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
1.jpg トゥルクン

 『アバター2』 です。続編というのは面白くないと言うのが(個人的に)通り相場なんですが、さぁどんなもんでしょう。

  地球人が先住民《ナヴィ》との戦いに負けて惑星パンドラを去った10年後、植民地計画が復活し再びパンドラに侵攻します。ウクライナは元々ロシアの領土だと攻め入ったプーチンみたいなものですw。
 『アバター1』で明らかなように、肉体から抜け出した精神がハイブリッド・ナヴィに乗り移り移るから「アバター」=化身です。この肉体を引きずった精神の分離というのが面白かったのですが、『アバター2』ではこれがスッポリ抜け落ち、人間とナヴィの合体版ハイブリッド・ナヴィが登場します。死んだ筈の「大佐」はハイブリッド・ナヴィとなって復活し、

《地球人vs.ナヴィ》 → 《ハイブリッド・ナヴィvs.ナヴィ》

 の戦いとなります。

 ジェイクはナヴィの指導者となり、ネイティリの間に2男1女、男女二人の養子もある7人家族の主。『2』ではこの家族が主題となります。面白いのはふたりの養子。スパイダーはジェイクと対立した大佐の息子、もうひとりのキリはアバター計画を率いたオーガスティン博士(シガニー・ウィバー)の娘。スパイダーは人間ですが、キリはナヴィと人間の混血。敵対した二人の子供がジェイクの家族となっているということです。これキモです。
 地球人の侵攻が始まり、大佐は因縁のジェイクを付け狙い、ジェイクは家族を護るため、一家と共に海洋ナヴィ族の村に身を隠します、「家族こそが最後の砦だ」と。最新のSF映画も一皮剥けば、ハリウッドが好んで描く伝統のファミリー映画、『ゴッドファーザー』です。

 舞台が海に移るから『ウェイ・オブ・ウォーター』。後は、海を舞台にしたナヴィvs.地球人=ハイブリッド・ナヴィの活劇です。翼竜や空中に浮かぶ島の「パンドラ世界」は『1』で堪能しましたから、何が出てきても感動は薄いです、というか二番煎じ。『2』の目玉?は、高度な知能を持つと言う巨大海洋生物トゥルクン。地球人が、人間の老化を防ぐ物質を採取するためトゥルクンを捕獲・虐殺する辺りは「反捕鯨」。グリーンピース協賛という映画ですw。SF映画ですから最先端のメカがたくさん登場し、地球人はこれらを使ってナヴィを攻撃し、一方のナヴィは6本脚の馬で地を駆け翼竜に乗って空を飛び、武器は弓矢に槍にナイフ。地球人を白人、ナヴィをアメリカ先住民に置き換えれば、「西部劇」です。

 『2』は、人間が殆んど登場しないCGの映画です。サム・ワーシントンはナヴィ(CG)として登場しますが、生身の本人は全く登場しません(声のみ)。映画は、生身の俳優が「演技」をして成立します。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は「映画」ではなく「電気紙芝居」ではないかと思います。この映画の延長線上には、AIを使ったスティーブ・マックィーンやイングリッド・バーグマンなど往年の名優が蘇る映画が想像できます。それは最早映画ではなく「電気紙芝居」だと思います。
 スティーヴン・ラング演じる「大佐」は存在感のあるキャラクターですが、大佐のアバターはどう頑張ってもスティーヴン・ラングの「大佐」には及びません。映画を観る楽しみのひとつは、俳優の表情、セリフの言い回し、身振りなど生身の肉体の演技にあると思うのですが...。

監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング

タグ:映画
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ヒマワリ [日記 (2023)]

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 4月上旬に種を蒔いたヒマワリが、2mになって花が咲きました!。
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4/9ヒマワリ発芽            6/4、子供と背比べ
IMG_20230807_174417 (1).jpg 08/08 2mになった!

タグ:絵日記
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Evernoteで「読書」index(著者別) [日記 (2023)]

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 こちらの続きです。読書感想文はEvernoteで作成し、blogにupしてEvernoteからは消しています。スマホではblogの検索が面倒なので、Evernoteにindexを作り、《ページ内検索》→blogに跳ぶようにしました。スマホで読書のblog検索が楽になりました。
 
 著者名は、日本人の場合は問題ないのですが、外国人の場合は厄介。ジョン・スタインベックは「ス」にいれますが、『特捜部Q』のユッシ・エーズラ・オールスンはの場合は「ゆ」。たいてい「特捜部Q」で検索するので問題はありません。浅田次郎、司馬遼太郎、村上春樹がbest3でリンボウ先生、半藤一利、高村薫がこれに続きます。
 藤村の『夜明けまえ』が第一部で止まっている、『源氏』は宇治十帖が未読だ、等々と利用できます。使い勝手がいいので「映画index」も作ってみます。

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タグ:読書
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