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ドラマ 沈黙の艦隊 東京湾大海戦 (2)(2023日) [日記 (2024)]

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頭脳戦
 潜水艦映画の代表作『Uボート』『眼下の敵』を観ると、潜水艦はソナーを頼りに航行し敵艦と戦います。武器は魚雷。ソナーを頼りに状況を把握し、相手の行動を読み、頭の中で戦闘を組み立てる頭脳戦です。『沈黙の艦隊』を観ても、水中発射のミサイル(SLBM)は登場しますが、この状況はUボートの時代とあまり変わっていない様です(もっとも軍事機密ですから真相は不明ですが)。艦長の統率力も戦闘を左右し、艦長の能力が大きくものを言います。『沈黙の艦隊』では、艦長・海江田がその卓越した作戦能力と統率力で第七艦隊を翻弄します。

圧壊と酸素
 潜水艦が潜れる深さはせいぜい500m(Uボートは200m)で、それを超えると水圧で押しつぶされ(圧壊)てしてしまいます。限界を超えると船体が悲鳴をあげ、パイプから海水が吹き出しボルトが飛びます。圧壊の恐怖、これも潜水艦映画の面白さです。『沈黙の艦隊』では、ロープでヤマトを捕獲した第七艦隊の原潜を、1000m近い深海に引きづり込みこれを圧壊させます。

 もう一つが酸素。Uボートが水中滞在時間は2日程ですが、原潜は艦内で酸素を発生させるため数ヶ月?が可能だそうです。ヤマトを護衛する自衛隊のディーゼル潜水艦「たつなみ」が第七艦隊の攻撃を受け航行不能となって東京湾の海底に沈みます。ヘドロに埋まって浮上出来なくなり、刻一刻と酸欠死が近付く恐怖が描かれます。とこの辺りが潜水艦映画の面白さです。

 ヤマトは日本政府と同盟を結ぶために東京湾に入り、浮ドッグ・サザンクロスに入梁して補給を受けます。第七艦隊は浦賀水道で東京湾を封鎖し、補給を受けるヤマトに魚雷を撃ち込みサザンクロスは沈没。ヤマトはサザンクロスが海底に着く一瞬のスキを突いて脱出します。と書くと何でも無い脱出ですが、並みいる空母、潜水艦の目をくらましての脱出は手に汗を握ります。
 圧壊も酸欠も潜水艦映画の「定番中の定番」と分かっていてもハラハラ、ドキドキでドラマを盛り上げ、潜水艦映画の醍醐味がモレなく詰まっています。

ヤマトは核を積んでいる?
 『沈黙の艦隊』の面白さはやはり核です。日本には非核三原則があり、核を搭載したヤマトはが東京湾に入ることは出来ません。海江田は核は搭載していないと言って東京湾に入ります。米軍の原潜も核不搭載と言い、日本はその言葉を信じて臨検せず佐世保入港を許しています。核を搭載していないなど誰も信じていないにもかかわらずです。
 ヤマトは核を積んでいるのかいないのか?、これがストーリーに大きく関わって来ます。女性のニュースキャスターが登場しこの問題を非公式に海江田に問います。海江田の答えはyes、核搭載を明言します。政府は、ニュースキャスターにこの海江田の答えを放送させ、日本の核武装が公になりますが真相は藪の中。ヤマトが核を搭載しているかも知れないという疑念=恐怖が抑止力となって第七艦隊は東京湾から去り、一触触発の「東京湾大海戦」の危機は回避されます。ロシアのウクライナ侵攻でも、核が抑止力となってアメリカの武器供与は進んでいません。核は恐怖という目に見えない威力で戦局を左右するわけです。

 『沈黙の艦隊』は骨太の国際政治ドラマ、潜水艦の戦争映画として楽しめます。CG多用ですが、艦内のセットなど「さもありなん」と結構リアルです。なにしろ「特別協力、防衛省・海上自衛隊」ですからw。シーズン1ですから、シーズン2もあるんでしょうね。

監督:吉野耕平
原作:かわぐちかいじ
出演:大沢たかお、玉木宏、上戸彩、笹野高史、江口洋介

タグ:映画
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