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映画 バベル(2006米) [日記(2010)]

バベル スタンダードエディション [DVD] 『バベル』とはいい視点です。バベルの塔は、人間の思い上がりの象徴であり、神の怒りにふれ人類は民族と言語を異にする現在の世界になったという旧約聖書の故事です。言葉が通じないことで意志疎通が図れず、民族がそれぞれ孤立し、誤解を生み相い争うようになったわけで、世界混乱の原初のイメージです。

 舞台はモロッコ、メキシコ・カリフォルニア、日本。バベルの塔崩壊後の、言語も文化も異なった3(実質4)つの地域で、アラビア語、スペイン語、英語、日本語の4つの言語で物語は進行します。

《モロッコ》
 コヨーテ撃退用にライフルを買った遊牧民の少年によって、モロッコ旅行中の米国人夫婦が撃たれます。少年の試射が米国人婦人に当たってしまったわけです。この米国人夫婦(ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット)は最近幼い子供を亡くし、傷心を癒すためあるいは壊れかかった夫婦関係を修復するために旅に出たようです。被害に遭ったのは砂漠の真ん中、救急車も来ず医者と云えば獣医しかいない村に運び込まれ、救援を待つわけですが、この試練で夫婦の絆がふたたび確認される様です。
 一方、撃った兄弟はモロッコ警察に追い詰められ、兄は警察官の銃弾に斃れます。

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映画 スパイダーウィックの謎(2008米) [日記(2010)]

スパイダーウィックの謎 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] こういう肩のこらないファンタジーは、土曜の午後の暇つぶしにはもってこいです。そこそこ有名な児童書の映画化の様です。

 双子の少年と姉、母親がNYから古いスパイダーウィック屋敷に引っ越して来ます。父親がいませんが、(米映画おなじみの)離婚して子供は母親が引き取ったという設定です。今や児童書の主人公も離婚した母子なんですねぇ。

 古い屋敷ですから当然『出ます!』。双子の兄ジャレッドが隠し部屋を発見し、そこで妖精(どっちかと云うとオーク、ゴブリンの縮小版)に出会います。隠し部屋は、80年前にスパイダーウィック氏(ジャレット達の大叔父)が一冊の書物とともに封印し、書物の守護をこの妖精に託したのです。

 定石通りこの書物をめぐって、ゴブリン+怪獣 vs.双子の兄弟+姉の争奪戦が繰り広げられます。ゴブリン、怪獣を倒す武器がトマトジュースだったりして笑え、小さい子供にも安心してみ見せることができます。

 途中で父親が助けに駆けつけます。お前達を放っておいてゴメン愛してるよ、などと云いますが、この父親は怪獣が化けていたんです。これには笑います。『スパイダーウィックの謎』では、父親=怪獣です。おまけに、離婚の原因は父親の女性問題であることが、姉から明かされますから、踏んだり蹴ったり。最後は父親もそろってハッピーエンドかと思うのですが、それはありません、父親=怪獣の映画です。
 この辺りは、小さい子供にも安心してみ見せることができるかどうか、ビミョーです(笑。離婚されたオトーサンが頑張ると言うのが『宇宙戦争』だったり『2012』だったりします。

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こういう妖精やモンスターが登場         猪八戒か、お前は

監督:マーク・ウォーターズ
出演者:フレディ・ハイモア

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映画 チェンジリング(2008米) [日記(2010)]

チェンジリング [DVD] クリント・イーストウッドは、2008年に『グラン・トリノ』『チェンジリング』と2本も公開し1本は主演しているんですから、映画への情熱には頭が下がります。

 『チェンジリング』は母性を軸にした社会派映画です。そのバックボーンとなる母性をアンジェリーナ・ジョリーが演じますが、アンジェリーナ・ジョリーというと、『Mr.&Mrsスミス』や『ウォンティッド』のイメージが強いんですが、『アレキサンダー』でアブナイ母親やってますから、できるんでしょう。

 物語は1928年のロサンゼルス。母親が仕事で家を空けている間に、一人息子が行方不明となります。失踪の5ヶ月後少年は発見され、母親の元に送り返されますが、戻ってきた少年は他人だった。ここから、息子を捜す母親とロス市警の闘いが始まります。

 何故赤の他人が息子として戻って来たのか?、事件解決を焦ったロス市警のフライングなわけです。失態の続くロス市警としては、一旦解決した事件を『間違ってました』と元にもどすわけにはいかず、すべてを母親の神経症のせいにし、臭いものに蓋とばかり精神病院に入れてしまいます。
 失敗を取り繕う間に失敗がどんどん傷口を広げてゆく、権力と組織の自己防衛が虚構に虚構を積み重ねてゆく恐怖が伝わってきます。

 戻ってきた少年が息子であると認めれば病院から出すという申し出を、母親は頑として拒み続けます。周りを見ると、警察に逆らったために精神病院に隔離された女性ばかり。この母性と権力の格闘が一番の見せ場でしょう。アンジェリーナ・ジョリーの演技もさることながら、脚本の勝利です。

 後はジョン・マルコヴィッチの神父が救援に駆けつけて、実在の連続誘拐殺人事件が絡んで、なかなかよくできています。
 ジョン・マルコヴィッチの神父はもったいないでしょう。連続誘拐殺人事件の犯人か、ロス市警の体面を保つために母親を精神病院に放り込む警部をやってほしかった。

監督:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー ジョン・マルコヴィッチ

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Sony ReaderStore [日記(2010)]

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 Google eBookStoreに続いてSonyのReaderStoreがオープンしました。仕事そっちのけで、店内をぶらぶら。やはり米国の本屋さんと日本の本屋さんは、雰囲気違いますねぇ。リブリエのsonyなんで、かなり期待してのぞいて見ました。

 最大の不満は、ぶらり立ち読みが出来ない!当然どんな本が並んでいるのか気になります。↓の様にジャンル別に分かれているのですが、中分類がなく、どんな本が並んでいるのかザッと見るには不便です。小説(国内)、小説(海外)、ミステリー/推理/サスペンス(国内)・・・と中分類がありますが、現在リンクされていません。文学ジャンル7,000冊を新着順や著者別に眺めてちょっとねぇ。作品名か著者名で検索は出来ますが、村上春樹、髙村薫は当然の如くヒットしません。村上龍はiPhone、iPadで先行していますから、こちらには顔を出していません。
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Google eBookstore [日記(2010)]

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300万タイトルでスタートしましたねぇ。Google Editionはどうなったんだろうと思っていたんですが、Google eBookstoreでスタートです。全米図書館の本をスキャンしているとか云う噂もありましたが(裁判にもなってました)、300万冊のうち280万冊が版権切れ(パブリックドメイン)だそうです。有料版は米国内だけの販売ですが、freeはダウンロードが可能、来年には日本でもスタートするようですから楽しみです。

 さっそく行ってみました。

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このミス2011年 ベスト10(海外版) [日記(2010)]

愛おしい骨 (創元推理文庫)

愛おしい骨 (創元推理文庫)

  • 作者: キャロル・オコンネル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/09/11
  • メディア: 文庫

*1位 愛おしい骨(キャロル・オコンネル)
*2位 音もなく少女は(ボストン・テラン)
*3位 卵をめぐる祖父の戦争(デイヴィッド・ベニオフ)
*4位 フランキー・マシーンの冬(ドン・ウィンズロウ)
*5位 ラストチャイルド(ジョン・ハート)
 6位 エコー・パーク(マイクル・コナリー)
*7位 エアーズ家の没落(サラ・ウォーターズ)
 8位 陸軍士官学校の死(ルイス・ベイヤード)
*9位 ロードサイド・クロス(ジェフリー・ディーヴァー)
*10位 英雄たちの朝 ファージングⅠ(ジョー・ウォルトン)

*は週刊文春ベスト10とのダブリです。

 8冊がダブリでベテラン勢揃い、なんとマイクル・コナリーまではいっています。『卵をめぐる祖父の戦争』はこっちでは第3位。
こっちに2000年からのまとめがあります。さらにこのミス+文春合体版もあります。


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映画 ピエロの赤い鼻(2003仏) [日記(2010)]

ピエロの赤い鼻 [DVD]
 クリクリのいた夏のジャン・ベッケル、ジャック・ヴィルレのコンビです。
フランスの片田舎で教師をするジャック(ジャック・ヴィルレ)は素人芸でピエロとして舞台に立つのが趣味。彼の息子は、そんな父親を苦々しく思っています。そうですよね、スポーツが得意とかだったら自慢の父親にもなるでしょうが、赤い鼻を付けて皆の前で道化を演じるのですから、息子としては複雑な心境にもなろうというものです。そんな彼に、父親の友人で帽子屋のアンドレ(アンドレ・デュソリエ)が、父親ジャックがピエロとなったいわれを語って聞かせます。

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映画 パリは霧にぬれて(1970仏) [日記(2010)]

パリは霧にぬれて [DVD] 原題はLa Maison Sous les Arbresで『木の下の家』?。どんな意味があるのか分かりませんが、配給会社がヒネリにヒネッた邦題『パリは霧にぬれて』からは、映画の中身はまったく想像できません。それと、ロンドンやサンフランシスコなら分かるのですが、パリも霧の名所なんですか?確かに映画の冒頭は霧のシーンですが。
 雨の訪問者狼は天使の匂い同様洒落たサスペンスです(不思議の国のアリスからの引用はありませんが)。主演は『俺たちに明日はない』のボニー、フェイ・ダナウェイ。

 パリに住む若いアメリカ人夫妻、ジル(フェイ・ダナウェイ)とフィリップ(フランク・ランジェラ)。ジルは仕事にのめり込む夫とのすれ違いや異国で暮らす心労から神経症気味。夫の会社に勝手に辞職の電話を入れたり、同じ服を二度買ったり、傘を借りた事実が思い出せなかったりで、医者のカウンセリングを受けています。
 映画は、少し精神に変調をきたしたジルとふたりの子供の日常をゆっくりと追います。特に若い母親と幼い息子の交情は見ていて微笑ましいです。事件が起こるまでのこの部分が長いですが、後半のミステリを盛り上げる伏線ですから我慢して見ましょう(笑。フェイ・ダナウェイのソフトフォーカスの映像は、彼女の精神を病んだ?美しさをあますところなく捉えています。

 サーカスを見に行った帰り、ジルが眼を離したすきにふたりの子供が行方不明となり、やっとストーリーが動き出します。警察は、誘拐と精神を病んだ母親による殺人の両面から捜査を開始します。子供を誘拐したのは誰なのか?はたまた子供は母親に殺されたのか?サスペンスですからこの辺りでstop・・・。

 ストーリーが動き出すまでが長い、サスペンスにしては緊張感が足りない等々映画として冗長なところもありますが、欠点を補って余りあるのがフェイ・ダナウェイ。若い母親の優しさと不安を好演しています。

『太陽がいっぱい』(アラン・ドロン)
雨の訪問者』(チャールズ・ブロンソン)
狼は天使の匂い』(ロバート・ライアン)
『パリは霧にぬれて』(フェイ・ダナウェイ)

サスペンスに走ってからのルネ・クレマンは何故かハリウッド・スターを使ってますねぇ。ハリウッド資本が仕掛けているんでしょうが、見事に当たっていますね。

監督:ルネ・クレマン
出演:フェイ・ダナウェイ、フランク・ランジェラ

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映画 カサブランカ(1942米) [日記(2010)]

カサブランカ 特別版 [DVD]映画 カサブランカ(1942米)

 『第三の男』もそうですが、名画ベスト10みたいなものには必ず顔を出す定番中の定番です。何処が名画なんだ?ということで見てみましたが、ナルホド。
ひとつは、ヒーローのかっこよさす。何処がカッコイイかと云うと、

1.決めセリフ
 リックに惚れた女が昨晩は何処へ行っていたんだとなじります。
 ⇒(女性)昨夜はどこに?(リック)もう忘れたよ。(女性)今夜会える?(リック)先の事は分からない。『君の瞳に乾杯』・・・これはボギーだから通用するんでしょうね。

2.謎に包まれた正体
 ⇒はっきりしているのはNY生まれのアメリカ人、37歳、後は謎。何があったか不明ですが、どうも国外追放の憂き目に合い、フランスに渡り、パリ陥落後ナチを嫌ってカサブランカに流れてきたようです。

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週刊文春ミステリーベスト10 2010年度 [日記(2010)]

卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))

卵をめぐる祖父の戦争 ((ハヤカワ・ポケット・ミステリ1838))

  • 作者: デイヴィッド・ベニオフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/08/06
  • メディア: 新書
『このミス』と『文春』のベスト10は毎年12月の恒例で古本漁りの参考にしています。

1.ラスト・チャイルド(ジョン・ハート)
2.ファージング I・II・III(ジョー・ウォルトン)
3.ロードサイド・クロス(ジェフリー・ディーヴァー)
4.愛おしい骨(キャロル・オコンネル)
5.音もなく少女は(ボストン・テラン)
6.沼地の記憶(トマス・H・クック)
7.エアーズ家の没落(サラ・ウォーターズ)
8.ノンストップ!(サイモン・カーニック)
9.フランキー・マシーンの夜(ドン・ウィンズロウ)
10.卵をめぐる祖父の戦争(デイヴィッド・ベニオフ)

ジェフリー・ディーヴァー、キャロル・オコンネル、ボストン・テラン、トマス・H・クック、サラ・ウォーターズ、ドン・ウィンズロウ、デイヴィッド・ベニオフと10人中7人がベテランというのはどうなんでしょう。『卵をめぐる祖父の戦争』だけ読みましたが、ミステリかなと思います。ミステリ・ジャンルでベスト10に挙がって読者が増えるのは大賛成です。『音もなく少女は』は評判よさそうなので『釣果』候補です。テキスト・データにしてスマホに入れて古本漁りをします。

 2009年度ベスト10は、犬の力、グラーグ57ユダヤ警官同盟リンカーン弁護士と4冊も読んでしまいましたが、みなそれなりに面白いです。好みで云うとチャイルド44、グラーグ57のトム・ロブ・スミスです。第1位のミレニアムは第2部だけ押さえてあるんですが・・・(笑。

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