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BSシネマ 映画 モンゴル(2007独カザフスタン露モンゴル) [日記(2012)]

モンゴル [DVD]
 チンギス・ハーンが蒙古草原を颯爽と駆け抜ける映画を想像していたのですが、大半がハーンになるまでのテムジン(浅野忠信)の波乱万丈とテムジンと妻ボルテとの一風変わったラブストーリーです。教科書に載る「チンギス・ハーン」もモンゴル帝国を建ててユーラシア大陸の大半を領土とするまでには、こうした物語があったんですね。族長の息子として生まれ、軍団を率いて勢力を広げてモンゴルを統一したと思っていたのですが、映画「モンゴル」によると、若き日のテムジンは苦難の連続だったようです。

 有力部族の長イェスゲイの長男として生まれ、9歳の時に父親とともに嫁選びの旅に出てボルテ(ホラン・チョローン)と出会います。本当は別の部族の娘を選ぶはずだったのですが、一歳年上のボルテがテムジンを見初め、私を妻に選べ、みたいな出会いがあって、ボルテはテムジンの許嫁となります。この絆が映画「モンゴル」の基調をなしていると言ってもいいでしょう。

 父イェスゲイが毒殺されたことによってテムジンの苦難が始まります。イェスゲイの後を襲った族長は、テムジンが成人することに脅威を感じて「首輪」を付け幽閉しすが、逃亡をはかってボルテと再開し結婚。いやぁよかったよかった...と安心したところ好事魔多し、敵対する部族に襲われてボルテを奪われてしまいます。この時テムジンを助けるのが、かつて義兄弟の契りを結んだジャムカ(スン・ホンレイ)。ジャムカの支援で無事ボルテを取り戻します。
 この女性の略奪というのは当たり前のことだったようで、テムジンの母親も父イェスゲイが他部族から略奪してきた女性だったそうです。テムジンがボルテを取り戻した時、ボルテは身ごもっていますが、俺の子だみたいな、わりとアッケラカンとしています。

 後にジャムカと袂を分かち「十三翼の戦い」が起こり、テムジンは破れて奴隷とし西夏に売られます。テムジンを助けるのがボルテ。隊商の商人の妻となって砂漠を越えて西夏に入り、監禁されているテムジンを助けるんですが、ここまで来ると、通常のラブストリーを超越しています。10歳でテムジンを見初めて許嫁となった、ボルテとテムジンの強い絆でしょうか。この時ボルテには商人との間に生まれた娘がいますが、テムジンはこの娘も自分の子供として受け入れています。

 映画として緊張感があるのはこの辺りまでで、この後テムジンはジャムカを破りモンゴル統一を成し遂げていくわけですが、付け足しのようなものです。映画は、おそらく『元朝秘史』の主なエピソードをつなげているのでしょうが、ここにあるのはモンゴルの歴史などではなく、テムジンとボルテの男女の強い絆、テムジンとジャムカの友情と男の意地、モンゴルの草原を駆け抜けた三人の人間ドラマです。

 浅野忠信という俳優は初めて見たのですが、特異な風貌で異彩を放っています、いいですね。ボルテを演じたスン・ホンレイ、典型的はモンゴロイド顔で美人じゃないですがピッタリ。ホラン・チョローンも含めて、キャスティングは成功だと思います。浅野忠信は、髙村薫の「黄金を抱いて跳べ」(2012年11月公開)に出るらしいですが、日本語でどんな演技をするのか見てみたいです。

監督:セルゲイ・ボドロフ
出演:浅野忠信 スン・ホンレイ ホラン・チョローン

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