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映画 ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994米) [日記(2013)]

ナチュラル・ボーン・キラーズ 特別版 [DVD]
 ワハハな映画が続きます。『RED』は、素直にワハハでしたが、この映画は、ワハハと笑うしかないです。圧倒的な暴力描写と、刑務所脱獄の銃撃戦という荒唐無稽にあきれ果てて、ワハハです。大抵の映画は、(当たっているかいないかは別にして)ここが面白い、ここがイマイチだなどと勝手な感想を書くことができるのですが、この映画だけはさっぱり分かりません。ほかのサイトをのぞいても、似たり寄ったりです。自分の眼も頭も衰えてきたんですかね。以下駄文です(何時も駄文ですが)。

 ミッキー(ウディ・ハレルソン)とその妻マロリー(ジュリエット・ルイス)の無軌道な青春?を描いているという意味では新手のボニーとクライド(俺たちに明日はない)なのかとも思うのですが...。ボニーとクライドは、最期には警官に蜂の巣にされますが、この映画はラストは、ミッキーとマロリーがふたりの子供とともにキャンピングカーで楽しそうに走っているシーンにエンドロールがかぶって終わります。ご丁寧に、マロリーのお腹には3人目がいるようで、何コレ?です。俺たちに明日はある?。

 おおまかに言うと、3ヶ月に52件の殺人を犯す前半と、刑務所から脱走する後半から成り立っています。
 父親から性的虐待を受けているマロリーは、肉屋の店員ミッキーと両親を殺して駆け落ち。というと昏いイメージですが、マロリーの一家を描くのに、観客が笑う「ルーシー・ショウ」の手法を使ってサラリとかわし、駆け落ちの果ての殺人も、成り行きで殺す、気が向いたから殺す、まさにタイトル通りの「生まれながらの殺人鬼」です。これも面白いのは、殺人に悲壮感も道徳感も罪悪感も何もありません。ふたりはゲームのように殺します。だいたい、銃で3ヶ月に52人殺せるわけがないですから、製作者の方もこれはお伽話だよと言っているようなものです。
 世界中のメディアがミッキーとマロリーを書きたて、若者は彼等を熱狂的に支持します。このあたりも「ボニーとクライド」の焼き直しです。
 
 まぁ捕まるわけです。捕まって刑務所に収監されます。前半は、飽き飽きした日常からの逃亡だったわけですが、今度は刑務所からの逃亡。ここで、前半でも顔を出している刑事トム・サイズモア、ニュースキャスター・ロバート・ダウニー・Jrが登場し、新たに刑務所長トミー・リー・ジョーンズが登場します。刑事は、ミッキーとマロリー逮捕を本に書いて一儲けと昇進を、ニュースキャスターは刑務所内から二人の単独インタビューを世界に流してスター記者の地位を、刑務所長はTVに出てこれも有名になることを、それぞれに目論みます。刑事は買った娼婦に暴力を振るい、キャスターは利己主義の目立ちたがり屋、所長は刑務所内で拷問を行う独裁者。この三人はいわば世俗の悪を代表しているわけでしょう。

 ミッキーのTVインタビューに扇動され囚人が暴れだし、これに乗じてミッキはー銃を奪って看守を殺し脱獄。こうなると52人を殺した「ナチュラル・ボーン・キラーズ」ですからお手のもので、この様子をキャスターが実況中継するわで、完全な“スラップスティック”。ロバート・ダウニー・Jrは混乱に乗じて拳銃を乱射し、最後の一線を超えるありさま。誰だ、“バイオレンス”だと言ったのは?これは完全な“コメディー”です。
 鼻の下を伸ばしてマロリーに迫ったトム・サイズモアは射殺され、所長は荒れ狂う囚人の波に飲まれ、ミッキーとともに脱獄したロバート・ダウニー・Jrは、あっさりと殺されます。命乞いするキャスターにふたりのショットガンが火を吹きます...TheEnd。

 R指定ですが、このコメディー映画見て暴力に走る少年少女はいないでしょう。この映画の毒は、もっと深いところで少年少女を侵し、大人に牙をむくかもしれません。オリバー・ストーンですが、この映画を「社会派」の文脈で見ても意味が無さそうです。あるいは、クエンティン・タランティーノの原案を借りて、「社会派」のレッテルを剥がしたかったのかもしれません。
 ということで、フツーの映画好きにはあまりお薦めできません。個人的には、クエンティン・タランティーノとは相性が悪いです。

監督:オリバー・ストーン
原案:クエンティン・タランティーノ
出演:ウディ・ハレルソン  ジュリエット・ルイス ロバート・ダウニー・Jr トミー・リー・ジョーンズ トム・サイズモア

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