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映画 マッチポイント(2005英) [日記(2016)]

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 このシーンがすべてです。左はテニスボール、右は分かりにくいですが金の指輪。
 テニスボールがネット当たった時、相手のコートに落ちれば勝ち、自分のコートに落ちれば負け。まぁ人生もそんなもんではないかという映画です。
 ウッディ・アレンのミステリですが、ミステリというより「悲喜劇」。BGMがオペラ、小道具にドストエフスキーの『罪と罰』、ポップアートが使われるという懲りよう。

 テニスのトーナメントプロからレッスンプロに転じたクリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)のドラマです。テニススクールで、大企業オーナーの息子トム・ヒューイット(マシュー・グッド)を教えるようになったことで、クリスの運命は大きく変わります。トムは、妹のクロエ(エミリー・モーティマー)にもレッスンを受けさせ、クロエはクリスにゾッコンとなり、クリスはヒューイット家に深く食い込むことになります。オペラが縁でトムの父親に気に入られたわけです。ヒューイット家は大企業のオーナーであり富豪。別荘にはポロ用の馬が列び、趣味は乗馬、狩猟、オペラというセレブ。

 クリスは、クロエとの結婚を前提にヒューイットの会社に入社します。アイルランドの貧乏青年が、ロンドンのセレブの仲間入りを果たしたことになります。 

マッチポイント [DVD] スタンダールの『赤と黒』を連想させる展開です。 『赤と黒』は、木こりの子ジュリアン・ソレルが、雇い主の妻レナール夫人と道ならぬ恋に落ち、貴族の令嬢マチルドと結婚してセレブに成り上がり、最後は死刑台の露と消える物語です。不倫の相手がトムの婚約者でアメリカ人のノラ(スカーレット・ヨハンソン)、マチルドに当たるのがクロエでしょう。

 クリスはクロエと結婚して父親が所有する大企業の役員となり、一方ではノラとの不倫という優雅な生活。ところが「好事魔多し」で、子供のほしいクロエには妊娠の兆候が現れず、皮肉にもノラが妊娠してしまいます。ノラは当然の如く結婚を迫ります。クリスは、クロエを選択し上流階級に留まるか、ノラと結婚して元の貧乏な青年に戻るかの岐路に立ちます。つまり、”ネットに捕まったボール”という冒頭のシーンとなります。ボールは相手のコートに落ちるのか自分のコートに落ちるのか?。

 『罪と罰』と『赤と黒』を足して2で割って、味付けはウディ・アレンという映画です。果たして、クリスはジュリアン・ソレルのように死刑台の露と消えるのか?。ウディ・アレンには、『人生万歳!(2009)』というコメディがあります。人世なんてものは偶然なんだ、運なんだ、「何でもあり」なんだ! という映画です、おすすめ。
 
監督:ウディ・アレン
出演:ジョナサン・リース=マイヤーズ スカーレット・ヨハンソン

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