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映画 奇跡の丘(1964伊仏) [日記(2017)]

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 伝説のパゾリーニを初めて観ました。『奇跡の丘』は、原題The Gospel According to St. Matthewで「マタイによる福音書」に基づいたイエスの一生を描いたものです。パゾリーニですから、イエスの存在に新しい解釈を施すのかと思ったのですが、全編セリフは「マタイ伝」のようです。「心貧しきものは幸いである」のような、聖書をまともに読んだことのない私でも知っている言葉が頻出します。

 ストーリーは、マリアの処女懐妊から始まってヨハネによる洗礼、荒野の誘惑、イエスの起こした数々の奇跡、律法学者・パリサイ人との軋轢を経てゴルゴダの丘での処刑と復活と、ごく普通に続きます。ユダの裏切りを肯定するマーティン・スコセッシの『最後の誘惑』や、サディステックにイエスの拷問と処刑を描いた『パッション』のようなセンセーションはありません。『奇跡の丘』は、「ナザレのイエス」をリアルに描きます。イエスを取り巻くパレスチナの庶民の表情を何人も何人もアップで写すことで、イエスその人の存在に実在感を与えます。この映画がドキュメント的と言われる所以でしょう。マリアは、どんな絵画にも勝る「聖母マリア像」です。パゾリーニは、『マタイ伝』を借りて史的イエスを描いたのでしょう。

 律法学者・パリサイ人への呪詛と神の国の到来を説く「山上の説法」は、まさにアジテーション。宗教者と云うより「革命家イエス」です。キリスト教徒でもない人間は、この辺りで感動するしかありません。

監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
出演:エンリケ・イラソキ
奇跡の丘 ニューマスター版[DVD]

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