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映画 神様メール (2015 ベルギー 仏 ルクセンブルグ) [日記(2017)]

神様メール [DVD]  神様は実在しておりブリュッセルのマンションに住んでいるという、何とも人を喰ったような映画です、但し面白い!。この神様(ブノワ・ポールヴールド)というのが、頭の薄いサエナイ中年で妻子あり。奥さん(ヨランド・モロー)はというと、女神なんでしょうが、刺繍と野球カードが趣味。息子は家出して人間世界でイエス・キリストとなり磔になってます(一応理屈に合ってます)。10歳の娘(ピリ・グロイン)は父親(神様)に反感を抱く反抗期の少女。神といえど、家庭のシガラミは人間と同じという皮肉。神様は、日がなパソコンに向かって「天地創造」にいそしみ、人間世界をアレコレ弄り回して楽しんでいるというのですから笑わせます。どっかの親父みたいです。


 娘というのは難儀なもので、確たる理由もなく父親を毛嫌いするものです(笑。もっとも、この父親=神様は尊敬できるところも威厳も何もありませんから、仕方がないです、というか多かれ少なかれ父親はそうしたもの?。娘のエア(ピリ・グロワーヌ)は、この生活から抜け出したくたまらない。兄のJC(イエス・キリストの略、JCヴァンダムじゃないのかというギャグが出てきます)は一足早く人間世界に抜け出して、奇跡を起こし12使徒と供にキリスト教を創始し、聖書という言行録まで出来上がっています。


 エアは兄にならって、人間世界で新たな使徒を獲得し「新・新約聖書」を書くために、家出します。家出の置き土産に、エアは神様のパソコンから個々人の余命をメールで送りつけ、パソコンにウィルスをインストールするという念の入れよう。つまり、神しか知り得ない情報を人間に与えることは、父親=神への復讐になるわけです。天界から火を盗んだプロメテウスみたいなものです。ついでに、神のキャビネットから使徒候補の六人のプロファイルを持ち出します。何故6人なのか?。十二使徒+六人=18人なら2チームに分かれて野球ができる!。

 自分の寿命を知った人間が如何なる行動を起こすか?ということがこの映画のテーマらしく、神様一家はテーマを導き出すお膳立てのようです。原題が「新・新約聖書」ですから、「新約聖書」を換骨奪胎、神を笑い飛ばすこともテーマです。洗濯機を伝って自分の作った人間世界に来た神様は、その唯我独尊振りが災いして、徹底して人間に虐められます。このあたりの神様のドジ振りも見どころのひとつです。

 置き土産を残したエアは、出入り口の無い神の家(マンション)から洗濯機のドラムを伝って人間世界に脱出し、六人の使徒を訪ねます。
 余命が分かってしまえば人間はどう振る舞うか?。エアは六人の使徒を訪ね、人間世界で最初に出会ったホームレスのヴィクトールに「新・新約聖書」を記録させます。

第一の使徒 オーレリーによる福音書
 →今までの生活を変わり無く続ける

第二の使徒 ジャン=クロードによる福音書
 →仕事を辞めて小鳥を追うナチュラリストになる

第三の使徒 性的妄想者マルクによる福音書
 →貯金を全て解約して性的快楽にふける

第四の使徒 殺し屋フランソワによる福音書
 →家族との偽りの生活に気付き恋人のもとに走る

第五の使徒 マルティーヌによる福音書
 →偽りの夫婦生活に見切りを付け新しい恋人を見つける

第六の使徒 ウィリーによる福音書
 →人生最後の希は、女の子になりたい!

 と列記すれば如何にもという感じですが、六つのエピソードは幻想的且つコメディタッチで描かれます(『アメリ』に似ています)。第五の使徒 マルティーヌの新しい恋人は何とサーカスのゴリラ!。性的妄想者マルクは金が続かなくなりAVの声優に転身。そこで出会った女性と恋に落ち、殺し屋フランソワの恋の相手は第一の使徒 オーレリー。

 余命の尽きたはずのウィリーは、何故か死にません。実は、女神が神のパソコンを掃除のついでに再起動してしまい、全てがリセットされたというオチです。

 文字で書いてもこの映画の面白さは伝わりません。何がドウと言うことは無いのですが、面白いです。お薦めです。

監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演: ピリ・グロワーヌ ブノワ・ポールヴールド トリーヌ・ドヌーヴ ヨランド・モロー

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