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映画 メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬(2005米) [日記(2017)]

  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 スペシャル・エディション [DVD] トランプ大統領がメキシコ国境に壁を作ると言ったその「国境」の話です。一人あたりGDPが57,000ドルの国と8,500ドルの国が国境線を挟んで隣り合っているわけですから、富と成功を求めメキシコ人はアメリカに流れ込みます。『 メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』は、その流れに逆行するかのようにアメリカからメキシコへ越境するアメリカ人の物語です。

 舞台はメキシコ国境に近いテキサスの田舎町。カウボーイのピート(トミー・リー・ジョーンズ)は、不法移民と知ってメキシコ人のメルキアデス・エストラーダを雇い入れます。メルキアデスは、家畜を襲うコヨーテをライフルで撃ち、襲われたと勘違いした国境警備のマイク(バリー・ペッパー)はメルキアデスを射殺します。
 メルキアデスを殺されたピートは、マイクを拉致し、遺体を掘り返してメルキアデスの故郷ヒメネスに向かいます。メルキアデスは、故郷の美しさを語り妻と子供の写真を見せて、死ぬようなことがあったらヒメネスに埋葬して欲しいとピートに頼み、その約束を果たすためにピートはヒメネスに向かうわけです。

 アメリカに越境するメキシコ人、アメリカ人、それぞれの人生があります。帰郷と家族を持つ「不法移民」メルキアデスに対し、家族もないピートは人妻との快楽に束の間の慰めを求め、国境警備隊のマイクの妻は夫への不満からこれも浮気に走ります。不法入国のメキシコ人とアメリカ人のどちらが全うで幸せなのか?。

 ピートは、メルキアデスとの約束を果たすため、遺体とマイクの3人?で馬で国境を超えヒメネスを目指します。これも不法入国です。拉致誘拐ですから保安官と国境警備隊が動き出し、途中で盲目の一人暮らしの老人に食事を振る舞われ、逃亡を図るマイクがガラガラ蛇に噛まれと、色々あります。
 目的地に着きますが、誰もヒメネスもメルキアデスとその家族を知らず、写真の妻は別人。メルキアデスの書いた地図の先にあった廃墟をヒメネスとし、メルキアデス・エストラーダの3度目の埋葬をします。
 これだけの話です。映画の主題はメキシコ国境です。メキシコからアメリカへ越境する時代に、ヒメネスというパラダイスを求めてアメリカからメキシコへ越境する逆説もまた「有り」なのだということです。誰かが土地に線を引き、ここからはオレの土地だからオマエたち入ってくるな!、と言って境界が生まれ国境が生まれ領海が生まれたに過ぎません。トランプが壁を作ると言った10年も前に、壁の存在を覆す映画が作られていたわけです。
 トミー・リー・ジョーンズの初監督作品のようです。

バリー・ペッパーさん、お疲れさまでした。

監督:トミー・リー・ジョーンズ
出演:トミー・リー・ジョーンズ バリー・ペッパー

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