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呉 善花 韓国併合への道 完全版 ③ (2012文春新書) [日記 (2020)]

韓国併合への道 完全版 (文春新書 870)  続きです。著者は、日韓併合に至る李朝末期の歴史に、「日本の統治は悪だったのか?」「反日政策と従軍慰安」の二編を加えて「完全版」としています。この二編について見てゆきます。

日本の統治は悪だったのか?
 著者は、日本の統治が西洋列強の植民地統治と大きく性格の異なったものであった、と次の4点を揚げます。
1)収奪によって内地(日本)を潤すという政策が執られなかった
 日本の投資:80億ドル、財政赤字17.7億円(1911~1941)は日本からの交付金等で賄われた
 米生産量:1000万石(1911)→1700万石(1933)→2200万石(1940)
 人口:1312万(1910)→2512万(1944)
 工業生産:3億円1927~33 →6億円1935→18億円1940
 工業成長率:年平均5.3%(1914~27)→12.4%(1928~40)
 一人あたりGDP成長率:1920~30年代の年間4%
2)武力的な威圧による統治政策を執らなかった
 3・1独立運動以降、武断政治を改め抵抗運動はなかった
3)文化・社会・教育の近代化を強力に推し進めた
 小学校数:100(1910)→5960(19443)、就学率:1945年には男子76%,女子33%
 識字率:6%(1910)→22%(1943)
4)本土人(日本人)への同化(一体化を)目指した
 選挙権、被選挙権:但し日本本土在住が条件、1945年に朝鮮本土在住者に選挙権
 創氏改名:夫婦別姓を解消し家族制度の導入、強制ではなかった。これも同化の意図です

 莫大な投資をして産業を育成し、学校を建てて教育を行い、敗戦で実施できなかったとはいえ普通選挙を施行しようというのですから、日本は本気で半島の一体化を目指していたのではないかと思います。

 朝鮮の土地を40%奪ったと教科書に記載されている、悪名高い土地調査事業です。目的は、所有権の公認と土地制度、租税制度の確立、税負担の公正化、土地紛争の解決。これによって全土の土地は442万町歩と確定されます。総督府の接収した所有権不明の土地は3%、東洋拓殖㈱の所有は1920年代初頭で7.3万町歩、終戦時でも25万町歩で、40%の数字は「白髪三千丈」の世界です。さすがバツが悪かったのか、私の読んだ高校教科書(2006版)からは数字は消えていました。そもそも李朝は土地調査などやっていなかったのでは?。
 朝鮮総督府の上の数字を見ると、第11章のタイトル「日本の統治は悪だったのか?」も頷けます。この辺りは、『反日種族主義』でも詳しいです。

反日政策と従軍慰安
 教科書の言う「10~20万人の従軍慰安婦」がいたか?という話ではなく、「反日民族主義という『歴史認識』」の話です。

韓国の反日主義では、日本の朝鮮統治は「不当な政治支配」に止まるものではない。それは、日本民族に固有な歴史的性格に由来する「反韓民族的犯罪」にほかならない。つまり、反日主義の根拠は「植民地支配をしたこと」それ自体にあるのではなく、そうした事態を招くまでに至った日本人の「侵略的かつ野蛮な民族的資質」にあるーーのである。
・・・韓国の反日民族主義の目的は、「植民地化をもたらした日本民族の資質」を「日本人に自覚させ直させる」ことにある。「植民地化という悪」をもたらしたのは、そもそも日本民族の資質である、それは古代、中世、近世、近代を通じて、現在に至るまで延々と生き続けてきた侵略的で野蛮な資質であり、歴史的に根深い朝鮮劣等視・蔑視の民族意識であるーーこれが韓国の正統的な反日民族主義の考えである。(下線は引用者)

 「性格が悪い!」と言われているわけで、元韓国人の著者が仰るのですから、そうなんでしょうが、そのまま倍返しも可能と思われます(笑。「棚ぼた」で独立を果たした韓国大統領・李承晩は、かつて民族を纏めた「小中華」思想の代わりに「反日」を民族求心の政策としたといいますが...。

経済援助
 1965年の「日韓基本条約」で、日本は無償3億ドル有償2億ドルを拠出し、民間の経済協力3億ドルと合わせて8億ドル援助が実施されました。1965年の日本の外貨準備高は18億ドル、韓国の国庫予算は3.5億ドルですから、この8億ドルは小さな金額ではありません。この援助資金を使って韓国は「漢江の奇蹟」をなしとげ(教科書では自力で成し遂げたという記述です)、今日の繁栄を築くに至ります。これでは終わらず、

以後の日韓経済協力は年間190億円ベースの借款を中心に実施された。1983年には全斗煥政権の要求を受けて、新たに7年間で18.5億ドル(4186億円)の円借款と、輸銀融資枠21.5億ドル(4864億円)が表明され円借款では累計3281億円が供与された。

 日韓併合時代に注入されたいわれる80億ドルを加えると、日本が韓国につぎ込んだ資本は膨大な金額となります。著者が「国民に知らされない経済援助」の項を立てたのは、韓国の正統的な反日民族主義への皮肉です。

盧武鉉政権
 文在寅は盧武鉉の政策を受け継ぐ大統領だと考えられています。本書でも盧武鉉政権の反日政策が記されます。

親日派を国内から一掃するために制定されたのが、2004年3月に成立した「日帝強占下親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」である。盧武鉉政権はこの法律に基づき、大統領直轄の「親日反民族行為真相究明委員会」を設置し、「植民地統治下の親日嫌疑者の選定や調査、報告書作成、資料編纂の遂行など」を推し進めていったのである。

・・・2005年3月 当時の野党は・・・(前述「特別法」の)親日犯罪または親日反民族行為に規定している行為を、擁護したり賞賛したりしたものを処罰できる「日帝侵略行為歪曲および擁護防止法」を新設したいと述べ・・・これは簡単にいえば、日本統治にプラスの評価をした者を、言論の自由の枠を超えたものとして処罰できる法律である。

 つまり「親日」は「公序良俗」に反するというわけです。金完燮の『親日派のための弁明』は「青少年有害図書」の指定を受け、金完燮は、閔妃暗殺を美化している、金九(大韓民国臨時政府の元主席)の名誉を毀損したとして起訴されています。『反日種族主義』の李栄薫も言論を批判されて慰安婦に謝罪させられ、日本の雑誌に親日の論文を掲載した韓昇助は高麗大学名誉教授職を奪われています。正統が異端を狩る「魔女狩り」を連想します。

 著者によると、反日は時の政権に巧妙に利用されているといいます。政権危機にある李明博は、2011年、元従軍慰安婦の賠償請求権を日本に認めさせる政策に転換し(背後には憲法裁判所の判決があった)、日本大使館前に慰安婦像を建てること(ウィーン条約違反)を黙認します。この対日強硬姿勢によって政権支持率は回復し、翌2012年の総選挙で李明博の支持基盤は第一党の座を確保します。従軍慰安婦を元徴用工に置き換えれば、これは今日の文在寅政権そのままです。 やっと終わり。

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