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映画 暗殺(2015韓) [日記 (2020)]

暗殺 [DVD]  日本統治下の京城(ソウル)を舞台に、朝鮮独立派や殺し屋が暗躍するアクション映画です。韓国映画で「日韓併合」と「朝鮮独立運動」がどう描かれているのか興味があったので観ました。
 韓国の俳優に馴染みがないうえ、字幕の人名がカタカナため、誰が誰か分かり辛い。例えば、映画に登場する大韓民国臨時政府の代表キム・グは金九のことです。ムン・ジェイン大統領は文在寅の方がピンときます、キム・ジョンウンはやはり金大恩でしょう。
 なかなか凝った設定です。1910年の日韓併合と韓国近代史を知っていると楽しめます。

1911年 京城
 京城(ソウル)で、朝鮮総督府総督の寺内正毅暗殺未遂事件が起こります。親日実業家カン・イングクはこの事件の暗殺者を匿った妻を殺害し、この時カンの双子の子供が朝鮮と満州に離別します。姉がカンの娘・満子、妹は韓国独立軍の狙撃手オンギュ(チョン・ジヒョン)に成長し、オンギュは父であるカンの暗殺を企てます。
 寺内の暗殺を企てたヨム・ソンチク(イ・ジョンジェ)は警察(=日本軍)に捕まり、脱獄して満州の独立運動組織に加わります。これは偽装で、ヨムは日本軍に寝返ってスパイとして独立運動組織に戻り、二重スパイとして杭州の「大韓民国臨時政府」の警務部に潜り込みます。
 大韓民国臨時政府というと大層なものですが、朝鮮独立運動の一派が中国に亡命して「臨時政府」の看板を揚げただけのもの。韓国の教科書にも載り、文在寅もこの「聖地」を「参拝」しています。帝国主義に飲み込まれ、日本の敗戦で独立した韓国にとっては、この臨時政府は「独立を自ら勝ち取った」というの国家的証(あかし)です。

1933年 杭州、上海、京城
 杭州の「臨時政府」は、朝鮮人を虐殺した朝鮮駐屯軍司令官・川口と親日実業家のカン・イングクの暗殺を企てます。選ばれたのは韓国独立軍の狙撃手オギュン爆弾男のファン・ドクサム、速射砲のチュ・サンオクの3人。この3人を招集するのが二重スパイのヨム・ソンチク。この特異なキャラクターのヨムがストーリーを引っ張ってゆきます。
 二重スパイのヨムは、オギュン等3人の暗殺を阻止するため殺し屋を雇います。ヨムは、臨時政府の警務隊長として川口とカン・イングクの暗殺を企て、一方で警察の密偵としてこの暗殺を阻止するという、マッチポンプです。この殺し屋が通称”ハワイ・ピストル”と”爺や”のふたり一方で、ヨムを二重スパイと疑う臨時政府も刺客を差し向け、さらにオギュンの双子の姉まで登場します。もつれた糸を解きほぐし如何に決着を着けるのか?。

 この映画の背景は、日本帝国主義に支配された朝鮮です。登場人物達が日本の支配をどう捉えているか、興味深いです。
親日実業家カン・イングクの妻は親日派の夫を批判します、
日本は戦争もせずにこの国を奪った あなたのような人が差し出したのよ

二重スパイのヨムは、
韓国独立党、韓国革命党、朝鮮革命党、義烈団、30以上の団体の派閥争いが独立運動か?
カネの入り口が違うからバラバラになる、みんな泥棒だ、どいつもこいつも泥棒だ

殺し屋ハワイ・ピストルは、川口と親日実業家のンを殺せば朝鮮の独立が実現するのか?と韓国独立軍のオギュンに問います。オギュンは、
二人を殺せば独立できるか?、わからない、戦い続けていることを(国民に)伝えないと

速射砲のチュ・サンオクと刺客のハワイ・ピストルの会話では、
最近の朝鮮のブタが美味い理由を知っているか?
タマを落とすから、タマを切ると穏やかになり肉も軟らかくなる、だがブタもタマを守りたいよな
日本人は朝鮮人のタマを落としているみたいだ

 いずれも、昨今の日韓関係のファナティックな言動とは一線を画したセリフで、少々驚かされます。そしてストーリーはというと、「日帝」などというスローガンや暗殺の陰惨さが吹っ飛ぶ程に痛快なアクションの連続。
 チョゴリを着た女性や韓国風の帽子を被った男性が行き交う、日本統治下の京城の町並みを背景に、爆弾が炸裂し銃弾が飛び交います。この映像は新鮮です。

暗殺3jpg.jpg 暗殺4jpg.jpg
1949年 ソウル
 「反民族行為 特別調査委員会」の法廷。韓国警察の高官となったヨム・ソンチクは、独立軍の3人を日本軍に売ったことにより民族を迫害した罪で起訴されます。傍聴席からは靴が投げられ「売国奴」の声が上がります。ヨムは衣服を脱ぎ、滔々とまくし立てます、
私の身体には、日本人に受けた銃弾が6つもある。1911年、寺内総督暗殺未遂事件ではここ、1922年上海、1927年ハバロフスク、1932年出雲号爆破未遂、心臓の横の傷は1933年
私が同朋人を売った?、3人を選んだのは私だ。あの若き青年たちの気持ちが分かるか?、分かるはずがない。私がどんな気持ちで送り出したか。

 判決は、証拠不十分で棄却、ヨムは無罪となります。観客は、ヨムの転向と裏切りを知っていますから、「国民情緒法」によって猟奇的な彼女(オンギュ)によるが裁きが下ります。
  観客動員1270万人、韓国映画歴代TOP10入りの大ヒット作だそうです。 

監督:チェ・ドンフン
出演:チョン・ジヒョン イ・ジョンジェ ハ・ジョンウ オ・ダルス チョ・ジヌン

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