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映画  The Guilty/ギルティ(2018デンマーク) [日記 (2021)]

THE GUILTY ギルティ[DVD]  舞台は警察の緊急ダイヤル・センター、登場人物はオペレーターたった一人、その他の出演者はすべて音声だけという奇抜な映画です。

 緊急ダイヤル・センターですから、酔っぱらいの相手、強盗の通報から救急車手配まで雑多な電話が舞い込みます。オペレーターのアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)にイーベンから電話が掛かります。離婚した元夫に拉致され助けを求める電話です。アスガーは、恐怖で混乱したイーベンをなだめて状況を把握し、所轄の警察にパトカーを要請、イーベンと元夫の履歴を照会し、イーベンの自宅に警官を派遣し残された幼い子供を保護しまします。アスガーの手際のよさにに、冒頭からストーリーに引き込まれます。

 イーベンはこの映画の重要な配役なのでが、出演は電話の声だけ。声だけですが、息づかいから彼女の恐怖が伝わり、イーベンを落ち着かせ状況把握に努めるふたりのやり取りは緊迫感があります。イーベンを拉致した元夫ミケル、イーベンの幼い娘マチルデ、アスガーに協力する同僚刑事ラシッド、アスガーの元上司ボーなどドラマの登場人物も声だけ。
 アスガーは恐怖に震えるイーベンを励まし、イーベンを拉致したミケルと交渉し、母親を恋しがるマチルデをなだめます。会話だけでドラマを作るわけです。つまり、観客の想像力がドラマを補完するというわけで、会話と効果音で成り立つラジオドラマに似ています。

 拉致事件とともに、アスガー本人が抱える問題が浮かび上がります。刑事ラシッド、元上司のボーとの会話から、アスガーとラシッドの内部監査(聴聞)が開かれること、アスガーが現場(刑事)に戻れるかこのまま緊急ダイヤル・センターのオペレーターで終わるのかは、その聴聞会に懸かっているらしい。つまりアスガーは何かの事件を起こして「現場」を外され、緊急ダイヤル・センターに島流しされていることが分かります。その事件が原因かどうかイーベンの妻は家を出たらしい。アスガーはオペレーターの職責を越えて事件の解決に挑みます、自分は単なる電話オペレーターではなく刑事なんだというアスガーの自負です。

 電話による会話だけでドラマは進行します。イーベンの自宅に向かった警官によってマチルデの弟の死体が発見され、元夫によるイーベンの拉致事件が殺人事件に発展します。殺害犯は元夫ミケルなのか?。アスガーはアームチェア・ディテクテブ(安楽椅子探偵)よろしく緊急ダイヤル・センターのデスクに座ったまま犯人を突き止めます。そして、この殺人事件がアスガーの「事件」を炙り出します。この結末がタイトルの『The Guilty』と結びついているというオチです。85分の短いドラマの中に、元妻を拉致しなければなかった夫婦の悲劇と、拉致の通報を受けた緊急ダイヤル・センターのオペレーターの過去が凝縮されています。
 ネタバレになるので書けませんが、イーベン、ミゲル、アスガーの3人の起こした犯罪は『Guilty/有罪』なのか?というのが、この映画のテーマなのでしょう。面白いのですが、その辺りがチョッと弱い。

 デンマークの警察映画というと『特捜部Q』を思い出します。こっちも面白いです。ハリウッドでリメイクが企画されているようです、オススメの一本。

監督:グスタフ・モーラー
出演:ヤコブ・セーダーグレン

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