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映画 ジョジョ・ラビット(2019米) [日記 (2023)]

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 1945年、敗戦の色濃いドイツ、たぶんベルリン。10歳のヒトラーユーゲントの少年、ジョジョ・ベッツラー(ローマン・グリフィン・デイヴィス)の話です。ナチス支配下のベルリンですから、暗い映画化と思ったのですが、これがコメディ。

 ジョジョは父親が出征し母親(スカーレット・ヨハンソン)と二人暮らし。靴のヒモが結べず友達もいない10歳の少年。熱烈なナチス信奉者で、ちょび髭のルドルフ(タイカ・ワイティティ)という友人を心に飼っています。絶対者ヒトラーを想像し彼と会話することで、孤独で臆病という現実から逃避しているわけです。タイカ・ワイティティ演じるルドルフもまたヒトラーのカリカチュアですが、ジョジョも第一次世界大戦に負けて多額の賠償金と世界不況に喘ぐドイツ国民のカリカチュアかも知れません。

 ヒトラーユーゲントのキャンプでウサギを殺せなかったため「ジョジョ・ラビット」というアダ名が付きます。ジョジョは、母親が屋根裏の隠し部屋に匿っているユダヤの少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)を発見し、ストーリーが動き出します。
 ジョジョは、ユダヤ人を見分ける研究と称してエルサの元を頻繁に訪れます。エルサは、両親は収容所に送られ、彼女はゲシュタポの手を逃れて支援者の家庭を転々としてジョジョの家にたどり着いたと言います。ジョジョはユダヤ人エルサと交流する間に、ナチスに蔑まれるユダヤ人もドイツ人と変わりが無いことに気づき、次第に彼女に好意を抱くようようになります。10歳の少年が17歳のお姉さんに”I Love You”、エルサも「私も愛している、弟よ」となります。
 ジョジョの母親はドイツ解放を謳うビラを撒いていますからレジスタンスの一員で、逮捕され処刑された様です。この逮捕と処刑は描かれません。友人が悔やみを述べ、母親の靴を履いた遺体が広場に吊るされ、ジョジョが遺体にすがるシーンで暗示されます。コメディですから、スカーレット・ヨハンソンの処刑シーンは無粋というものです。

 ジョジョはドイツが負けヒトラーが自殺したことを聞かされ、ルドルフを心から蹴り出します。連合軍がベルリンに攻め入り、エルサとジョジョは解放された街に出て自由を謳歌するようにダンスに興じ →幕。ナチス圧政下の暮らしを、声高に反戦を謳うのではなく、10歳の少年の眼を通して描いたコメディ、且つジョジョのビルドゥングス・ロマンです。オススメ。

監督:タイカ・ワイティティ
出演:ローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン

タグ:映画
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