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千住 博, 野地 秩嘉 ニューヨーク美術案内 光文社新書 [日記(2005)]

ニューヨーク美術案内

ニューヨーク美術案内

  • 作者: 千住 博, 野地 秩嘉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/10/14
  • メディア: 新書

 NYに出張した上司から勧められた一冊。画家・千住博とノンフィクションライター野路秩嘉が案内役をつとめるニューヨークの美術案内書.
案内されるのは,メトロポリタン美術館,ニューヨーク近代美術館,チェルシーのギャラリー,フリックコレクション.作家はフェルメール,ゴッホ,モネ,ルノワールからピカソ,アンディ・ウォールフォール,ジャコメッティなど多岐にわたる.ニューヨークの美術館案内というより,美術(アート)の案内(見方)書といういったほうがふさわしい.
 画家・千住博からは,画家ならではの楽しみ方が,野路秩嘉からは,ニューヨークのアートビジネスについて教えられる.読後「今度美術館に行ったら耳を見てみよう」と思うこと必定である.
 作品に50㎝まで近づいて作家の目線で鑑賞するという手法も機会があったら是非試してみたい.9月に京都美術館で「ルーヴル美術館展」を催していたので観にいったが,とても「50㎝まで近づ」けるような状態ではなかった.薄暗い中でスポットが当たった絵を人垣の後ろから「鑑賞」しただけであった.フェルメールをみにいった時は,確か立ち止まらないで下さいみたなこと云われたような気がする.10年ほど前に仕事の途中に抜け出してメトロポリタン美術館に行ったことがあるが,ガードマンも居ず絵の前のロープもなく,広くゆったりとした展示室でくつろいで鑑賞することができた.教科書に載っていたあの絵が手を触れる距離でみることができることに感激した.
 傑作なのは,デミアン・ハーストの作品である.1991年に制作された213㎝×640㎝×213㎝のその作品の組成は,なんと「ガラス,スチール,シリコン」ここまでは普通である.加えて「ホルマリン,サメ」である.なんと6メートルの水槽に入ったホルマリン漬けの「鮫」である.題ががしゃれている「The Physical Impossibility of Death in the Mind of Someone Living 」.この作品が800万ドルで売れた,買ったのは30代の金融マンでヘッジファンドの開発が仕事であるという,理由は・・・.
 もう一つNYのパフォーマンスアート熊のぬいぐるみ「ピム」の話も心暖まるエピソードである.
メトロポリタン美術館→http://www.metmuseum.org/
NY近代美術館 →http://www.moma.org/
フリック・コレクション→http://www.frick.org/

あまりに簡単に読め、投資効果が薄いので★★★☆☆