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李 栄薫 反日種族主義との闘争 ② (文藝春秋2020) [日記 (2020)]

反日種族主義との闘争 続きです。
朝鮮民事令、朝鮮刑事令
 本書は『反日種族主義』に対する批判を、李栄薫はじめ「落星台経済研究所」グループが実証的に論破してゆく構成をとっています。「16.韓国史において近代はどのように出発したか(李栄薫)」は唯一の例外で、いきなり、

ある社会や国家が近代化するにおいて最も明白な指標は、〝法のもとでの平等〟であると考えます。民法の表現を借りれば、〝私権の主体〟としての〝個人〟の成立とも言えます。

 著者は、検事が集まった研修会で、韓国の民法は何時成立したのかと問い、1958年という返答をえます。正解は1912年。その年、朝鮮総督府は朝鮮民事令を発布し、日本の民法を朝鮮でも施行し始めます。1958年にその民法を土台にして現行民法が制定され、二つの民法には大きな差がないそうです。

1912年の民法の施行と共に、朝鮮ではあらゆる種類の私有財産権が包括的に成立しました。それに従い、植民地朝鮮の経済は〝近代的経済成長〟の道に入って行きました。

 同年には刑法(朝鮮刑事令)も施行され、証拠主義、罪刑法定主義などの近代刑法の基本が導入されます。拷問による自白が証拠となり、裁判は役人の恣意性と賄賂によって左右されたという朝鮮に、朝鮮総督府は基本的人権を持ち込んだことになります。
 「植民地近代化論」は、農業生産高の向上、産業構造の変化、就学率・識字率などで語られますが、そうした近代化の基礎には、1912年に制定された制令(朝鮮民事令朝鮮刑事令)があり、朝鮮の近代化は1912年から始まったと著者h言います。イザベラ・バードが「吸血鬼」と呼んだ両班、常人の身分制がなくなり、奴婢や 白丁などの賤民が解放され、近代国家の基礎となる自由で平等な社会を目指して離陸します。

 問題は、こうした近代化過程が、中・高等学校の歴史と社会科の教科書に一行の記載もないことです。著者は、この「歴史認識の空白」、が歪んだ「反日」の元となっているといいます。

研究者や教育者は長い間、この国の近代文明の植民地的起源に対し、口をつぐんで来ました。それは禁忌の領域でした。その結果、実に大きな認識の空白が生まれ、ありとあらゆる形態の中世的幻想と狂信が、そこを埋めているのが実情です。

中世的幻想と狂信」とは、李朝末期は、「甲午農民戦争」「甲午改革」の朝鮮民族の輝かしい独立運動の時代であり、高宋や閔妃は抵日の王族であった。朝鮮の近代化、資本主義が始まろうとした萌芽を、日帝が潰した。という幻想です。

 韓国の「歴史教科書」を読みましたが、高宋や大院君は改革派とされ、李朝末期の混乱というものは一言も触れらていません。ましてや「朝鮮民事令」の記載はなく、日本植民地時代は「収奪」の時代だったということになっています。韓国の教育で、基本的人権の発展はどのように教えているのでしょうね。

日韓併合は悪
 所謂「徴用工訴訟」で、原告らが自ら進んで工員に応募して日本に行ったこと、支払われなかったという給与は日本側の資料でが支払われていたこと、が明らかになっています。原告は2002年に日本で賠償請求を起こし、大阪高裁はこれを棄却。2005年に韓国で起こされた訴訟も、地方法院と高等法院で敗訴。2018年、大法院は彼らの個人賠償請求権を認めます。徴用ではなかったこと、給与は支払われていることが明らかになっているにも関わらず

大法院は、労務動員が日本の不法な植民支配の結果であるため、その実態のいかんにかかわらず「反人道的不法行為」であり、慰謝料を請求できる、としました。つまり、大法院の判決の最終根拠は、植民支配の不法性です。

 判決の根拠は、韓国併合=悪という「国民情緒法」です。本書の第2章 戦時動員で、4人の被告の証言が虚偽であることが実証されます。李栄薫は、「嘘」がまかり通りこれに司法が加担する国の実態に、1904年に李承晩が漢城監獄で執筆した『独立精神』をぶつけます。

今日大韓と清国をここまで滅茶苦茶にしている一番大きな原因は一体何なのかと言えば、噓をつくこと、それがまず第一だと言うことができる。・・・上の者は下の者を騙し、子供は親を騙すが、他人を上手に騙す者を賢いとか聡明だと言い、騙せない者をできそこないだの間抜けなどと言う。
・・・噓で家庭を治め、噓で友人と付き合い、噓で国を治め、噓で世界と交渉するが、自分が話すときは肚を見せずに語り、他人の話はうわのそらで聞いているのだから、他人の公明正大な言葉も噓に聞こえ、私の真実な言葉もまた真っ直ぐには伝わらず、たった二人の間の私的なことも議論できないというのに、どうして国の重大な問題を語り、決定することができるだろうか。(1904李承晩『独立精神』)

 著者は「徴用工訴訟」を嘘の行進と激しく非難します。

 呉善花によると、朝鮮民族の「嘘」の根源は韓国の儒教文化の伝統にあるといいます(『韓国を蝕む儒教の怨念』)。儒教で道徳の第一は「孝」であり、この孝が親→親族→民族へと敷延され、朝鮮民族は血の繋がるひとつの「家族」という共同幻想となります。李朝が堕落していたから日韓併合を招いたという考えは成り立ち得ず、日韓併合は日帝の侵略であり悪となり、そこから「従軍慰安婦」「徴用工」が導き出されます。何よりも身内が優先されますから、身内(民族、国家)を護るためには嘘をつくことも孝として認められ、歴史の改竄・捏造も正義であるといいます。

韓国人の反日民族主義は、日本統治時代の実際的な歴史体験を通して形づくられたものではありません。どのようにして形づくられたのかというと、「日本統治は不正義=悪」という価値認識に合致するよう、史実を都合よく 改竄・捏造し、国民的規模の教化・訓育(教育)をもって、その歴史を真実と信じこませることで形づくられたのです。(呉善花 『韓国を蝕む儒教の怨念』第三章「虚言癖ー盗用癖」の民族病理)

 韓国人の李承晩、李栄薫氏、呉善花氏がそう仰るのですからそうなんでしょう。儒教文化では、道徳観・倫理観の高さこそ人間として最も誇るべき徳目とされます。道徳的倫理的であるためには噓をついても恥とはならない、噓よりもよりメンツ(ここでは朝鮮民族の優越性)の方が大事だ、ということになります。
 日本は、手ごわい国を相手にしていることになります。(この項終わり)

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