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万葉集の花・秋 (2) [日記 (2021)]

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ニラ(くくらみ)
伎波都久(きはつく)の 岡の茎韮(くくみら) 我れ摘めど  籠(こ)に満(み)たなふ 背なと摘まさね(作者不詳)
 →伎波都久(きわつく)の岡でニラを摘むんだけれど、ちっとも籠いっぱいにならない。それじゃ、アンタのいい人と一緒にお摘みなさい
「伎波都久の岡」の正確な場所は不明(茨城県真壁郡とも)、「背な」は「背子」で夫や恋人の意味らしいです。この歌の面白いとこは、「ニラを摘んだけれどなかなか一杯にならないワ」という愚痴に、「それならアンタのいい人に手伝って貰えば」という問答が詠い込まれていることです。



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クヌギ(橡。つるばみ)
紅は うつろふものぞ 橡(つるはみ)の なれにし衣に なほ及(し)かめやも(大伴家持)
 →紅花で染めた衣は華やかで美しいけれどもすぐに色褪せます、「つるばみ染」めは地味ですが着慣れたほうが良いですね。年若い恋人より糟糠の妻だよ、という意味らしいです。橡(つるばみ)はクヌギのことで、布を染める染料だそうです、ベージュに染まるらしい。

クリ(普通に”栗”)
瓜食めば子ども思ほゆ、栗食めばまして偲はゆ、いづくより来りしものぞ、眼交(まなかひ)にもとなかかりて、安寐(やすい)し寝(な)さぬ(山上憶良)

 →瓜を食べれば子供たちのことを思い出し、栗を食べてもいよいよ子供たちのことが偲ばれる。子供たちはいったい何処からやって来たんだろう。目の前に子どもの姿がちらついて、安眠できないよ。
@教科書で習った有名な長歌ですね、反歌もあります、
銀も金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも
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モミジ(モミジ、紅葉、黄葉)
黄葉(もみちば)を、散らす時雨に、濡れて来て、君が黄葉を、かざしつるかも(久米女王)
 →モミジを散らす時雨に濡れてやって来ましたよ、あなたがくださったモミジを髪飾りにて
@逢引の歌?。万葉集ではモミジは「黄葉」の用例が多いそうです。紅葉=黄葉=イチョウという解釈も。

イチョウ
ちちの実の 父の命 ははそ葉の 母の命 おほろかに 心尽して 思ふらむ その子なれやも 大夫や 空しくあるべき 梓弓 末振り起し 投矢持ち 千尋射わたし 剣大刀 腰に取り佩き あしひきの 八つ峰踏み越え さしまくる 心障らず 後の世の 語り継ぐべく 名を立つべしも(大伴家持)
 →父上や母上はいい加減な気持ちでわれわれを育てたのだろうか。決してそうではあるまい。だから男子たる者、無為に時を送ってはならない。梓弓(あずさゆみ)の末を振り立てるような、投げ矢を持って射通すような気迫を持たなければなるまい。剣大刀(つるぎたち)を腰に帯び、いくつもの山々を越えた地で任務につくように任命された大君の心に違わぬように、後の世の語りぐさとなるように名を立てなければならない。(万葉ナビ
「ちちの実」は銀杏の実で父にかかる枕詞、「ははそ葉」はクヌギなどブナ科の総称で母にかかる枕詞らしいです。
IMG_20231003_114612.jpg 女郎花


万葉集の花 夏(1)夏(2)秋(1)、秋(2)

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