SSブログ

映画 禁じられた遊び(1952仏) [日記 (2023)]

禁じられた遊び [DVD]
 原題、Jeux interdits。今さらですが『禁じられた遊び』を観ました。観てないが、ナルシソ・イエペスのギターは知っている、粗筋は知っているという有名な映画です。パリから来た5歳の戦争孤児ポーレットと土地の少年ミシェルの「禁じられた遊び」の話です。
 冒頭、ドイツ軍から逃れる途中、機銃掃射でポーレットの父母と愛犬が殺されます。孤児となったポーレットはミシェルと出会い、ミシェルはポーレットを自宅に連れ帰ります。貧しい農民がドイツ軍によって両親を殺された孤児を家族同様に養うという、戦争の残酷さと人の情けです。

 「禁じられた遊び」がはじまります。ポーレットは廃屋の水車小屋に犬を葬り、ミシェルが隣にモグラやヒヨコの死体を埋め、ふたりは十字架を建てて墓地をつくる遊びに熱中します。戦争で日常となった死と弔いが、5歳の少女と少年の「遊び」の目線で描かれます。戦争による死が動物の死に代替されるわけで、ルネ・クレマンの企みです。これが『禁じられた遊び』が反戦映画と目される所以ですが、戦争による死は冒頭のポーレットの父母の死だけです。

 ミシェルは教会や墓地から「墓」に建てる十字架を盗み、これが父親バレて問い詰められますが、ミシェルとポーレットは十字架のあり場所を白状しません。やがて大人の世界がふたりの「禁じられた遊び」の世界を侵し出します。父親はポーレットを孤児として警察に引き渡します。ミシェル家の貧しさを考えると致し方のない判断でしょう。ミシェルは、十字架のある場所を教えるから連れていかなでくれと頼みますが、ポーレットは赤十字に送られます。

 赤十字で一人になったポーレットは、「ミシェル」と呼ぶ声を聞きます(ミシェルはありふれた名)。彼女は「ミシェル」「ママ」と叫びながら声の後を追います。気丈にもポーレットはここまで「ママ」とは一言も弱音を吐きませんでした、ここで映画は”FIN”。

 ルネ・クレマンは、フランスの農村を舞台に孤児のポーレットとミシェルの「禁じられた遊び」が大人の世界に飲み込まれてゆく様を詩情ゆたかに描いたことになります。それにしてもルネ・クレマンはずるい。いたいけない子供を正面に据えれば、誰だってポーレットとミシェルに振りかかった運命=戦争を呪うことになります。
 音楽はかの有名なナルシソ・イエペスの「愛のロマンス」。聞くところよると、予算不足で全編ギターだけになったそうですが、映画にとってもこれが幸いしたようです。

1.jpg 2.jpg
監督:ルネ・クレマン
音楽:ナルシソ・イエペス
出演:ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー

当blogのルネ・クレマン
海の牙(1947)・・・uボートの話です、潜水艦映画にハズレなし?。
禁じられた遊び(1952)・・・このページ
太陽がいっぱい(1960)・・・アラン・ドロン
危険がいっぱい(1964)・・・アラン・ドロン
雨の訪問者(1969)・・・チャールズ・ブロンソン
パリは霧にぬれて(1970) ・・・フェイ・ダナウェイ
狼は天使の匂い(1973)・・・ロバート・ライアン
予定 →鉄路の斗い(1945年)、鉄格子の彼方(1949年)、パリは燃えているか(1966年)

タグ:映画
nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。