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絵日記 庭も紅葉 [日記(2019)]

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銀杏も紅葉(笑

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古田博司 東アジアの思想風景(1998岩波書店) [日記(2019)]

東アジアの思想風景
 元筑波大学の東洋史(政治思想史)の先生による東アジア3カ国(中国、韓国、北朝鮮)にまつろうエッセイです。擬古文調、古典漢文の言辞にあふれる文章で、広辞苑とwikipediaが必携かも知れません。著者はソウルで「淫蕩懶惰の日々」を送り、「青楼一覚の夢に酔い痴れ、微醺を漂わせつつ、暮靄蒼然とした町を徘徊」するわけです。何のことはない、酒色にふける怠惰な生活を送り、娼家で遊んで酔っ払って夕暮れの町を徘徊するわけです。こうした文章に抵抗がなければ、「読書」を満喫できます。

天皇制とコタツ
 著者は、1980~1986の6年間、韓国延世大学に招かれて日本語講師を努めます。当時、韓国人の眼に日本人はでどのように写っていたか。
 朝鮮は、陽明学すら異端としてこれを退けたほどの、朱子学を国教とした儒教国家です。16世紀に明国を訪れた朝鮮の使節は、当時の明を「陽明学の流行する鄙賎な国」、「禽獣に近い国」としてこれを日記に記しているらしい。明は、李氏朝鮮が夷狄と蔑む満州族に滅ぼされ、征服王朝・清が誕生します。李朝は自らを明の後裔と認じて「小中華」を自称、夷狄の清国からは一切の学術を学ぶこと拒否したということです。

李承晩政権以来、儒教教育復興が叫ばれ、日本植民地期を卑属倭敵に対する民族闘争史観で輝かしく塗り込めた韓国。その韓国に、20世紀後葉訪れた私に付けられた新たなる名前は、すなわち「夷狄」であり、「倭奴(ウェノム)」であった。

著者は日本を棄てる気持ちで渡った韓国で、夷狄、倭奴の扱いを受けることになります。

夷狄には夷狄らしい振る舞いがあてがわれる。・・・日本文化について一言でも発しようなものなら、学生たちは苛立たしそうに耳を塞いだ。・・・日本にあるのは、すべて朝鮮文化の流出といった亜流である。彼らはそう答えた。私は否といった。天皇制とコタツだけは朝鮮には無いぞ。コタツと天皇制だけは日本独自である。しかし彼らは日本天皇制すら否定した。それは韓国人の祖先が、めくるめく古代の曙に、日本に渡って作ったものだ、と。私の「民族主義」を支えるものは、もはやコタツしか残されていなかった。

 鬱屈した著者は「淫蕩懶惰の日々」を送り、「青楼一覚の夢に酔い痴れ、微醺を漂わせつつ、暮靄蒼然とした町を徘徊」するわけです。

朱子学
 1997年、韓国は通貨危機に陥りIMFに救済を要請します。韓国メディアはIMFの支援を屈辱とし、背後には日本とアメリカがあり、経済とともに政治・社会・文化まで侵犯された、と報じた話から

自己を中華と措定し、まわりを夷狄、禽獣と見、まわりが強ければ悪人、弱ければ牛馬と見なす意識を朝鮮のインテリたちに教えたのは、実は女真族やモンゴルの異民族に押しまくられていた頃の、宋の人、朱氏その人であった。この宋儒の固陋な伝統が彼らの国民国家形成をうながし、云々。

 半島国家朝鮮は、安全保障上中国の国教である儒教を選択せざる得なかったわけでしょう。司馬遼太郎によると、朱子学というのは、考証や訓詁といった実証性よりも、大義と名分を重んじ、それについての異同を飽くなくたたかわせる、極度にイデオロギー色の強い体系だということのようです。

大義名分論というのは、何が正で何が邪かということを論議することだが、こういう神学論争は年代を経てゆくと、正の幅が狭く鋭くなり、ついには針の先端の面積ほども無くなってしまう。その面積以外は、邪なのである。(司馬遼太郎の『耽羅紀行』)

 「科挙」のためにこの朱子学を頭に詰め込み、大義名分論で、オレが正しいオマエは間違っているという議論を戦わせ、派閥闘争を繰り返してきたのが李朝500年。朱子学も小中華も政治を支えた官僚=両班(全人口の3%)の世界の話。97%の庶民は無関係だったと思うのですが、500年儒教で統治されれば庶民も朱子学の小中華に染まるのでしょうか。朱子学と小中華思想の尾を引く韓国は、通貨危機でもIMFを非難し、またも日本が侵略を目論んでいると考えたわけです。韓国は日韓通貨スワップ協議を再開したいでしょうが、夷狄に頭を下げることはしないでしょう。

楼妓
 夷狄、倭奴の扱いを受ける著者は、韓国という国と儒教を非難しますが、一方で下宿の下女や「青楼」の妓には温かい眼差しを向けます。

知識はないが聡明であり、野ではあるが卑ではなかった。韓国のインテリたちに牛馬同然に扱われ、店の搾取で一飯食にも事欠いてはいたが、舌鋒鋭く彼らと国を非難していた。当時、世人はナショナリズムの痙攣を繰り返していたが、妓たちは、「韓国の文化なぞ、まわりの侵略者がやってきて、その置き忘れが溜まったものよ」などと平然と言って憚らなかったものである。韓服は蒙古服だし、唐辛子は秀吉が持ってきた。どこで習ったかと問うと、学校の教科書にみんな書いてあるという。

 「青楼一覚の夢に酔い痴れ」る自らを「濹東」に彷徨った永井荷風に重ね、儒教の国には荷風のような文人墨客は絶無であること、紙幣に描かれる李退渓や李栗谷などの儒家も妾を囲っていたことなどに思いを馳せます。荷風が出ましたから、本書にも『濹東綺譚』があります。1997年、著者は失われた時を求めてソウルの城北洞を訪れ白日夢を見ます。ちょっと長いですが引用、著者渾身の一文です。

すでに道は夜明皎々、きらきらと輝き、傍らを蒼ぬめり川が静かに流れている。と、一閣の尼寺。木の扉は風雨に曝され・・・戸の隙間より身を滑らせて境内に入ると、浅茅が宿の有様・・・と、突然本堂より榔々たる木魚の声。
 はっと、振り返ると白い韓服の女が門外からこちらを手招きしている。

これは荷風ではなく鏡花です。一室に招き入れられ

ふと見ると薄紅梅の韓服、おじぎをする女、鼈甲の簪、髪の分け際、カルマも麗し、チマのひらりと片膝にかかり、広げた両手は川蝉の羽のごと蟬翼羅、衣通る腕のしなやかさ・・・目はほんのりと腫眼縁、手を取れば夜気に馴染んでひんやりと、この世のものか、あの世のものか。蛾眉秀で、切れ長の眼にちょっと検。
 やがては朝の雲となり、暮れては雨となる巫山の仙女、蒼海原はいつしか桑畠と化し、桑中に卿、卿、卿とよぶ声、女はいう鶏鳴と、男はいう昧旦(まだくらし)と。

 男女の姿は、いつの時代もどの国も変わることはありません。
 著者愛憎の韓国です。後で知ったのですが、著者は「韓国を助けるな、教えるな、関わるなの『否韓三原則』」を唱えた人だそうです。本書はその辺りの「嫌韓」本とはちょっと違います。お薦めです。


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手作り X'masリース [日記(2019)]

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 少し早いですがX'masリースを作りました。近くの公園に行って、枯れた蔓を採ってきてリースの土台にします、これがミソ。完全に枯れていないので、簡単に輪っかになります。デコレーションは百均。接着はホットグルーと針がね、最後に百均のLEDライトを付けて完成。子供らがワイワイ言って作っても1時間ほど。5~6百円でリッパなX'masリースができます。ダイソーのLEDライトは点滅しないのが難。
 ドングリと松ぼっくりを拾ってきて付けたのですが、これもgood。
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映画 イコライザー(2014米)、イコライザー2(2018米) [日記(2019)]

イコライザー [AmazonDVDコレクション] イコライザー2 [AmazonDVDコレクション] イコライザー
 原題" The Equalizer"。ホームセンターの店員マッコール(デンゼル・ワシントン)の勧善懲悪の物語。マッコールは、ナプキンの角を揃えて折るような几帳面な性格で、生活はシンプルで菜食主義?という修道士の様な生活。夜半ダイナーに出掛けて読書、それも亡くなった奥さんの影響で「読むべき100冊」という定番の本を91冊まで読み進めたいう教養主義。
 マッコールは、ダイナーで歌手を目指すロシア人の売春婦アリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)と出会います。きっかけはマッコールの読んでいた『老人と海』。マッコールは、アリーナを売春組織から救い出すため、ロシア・マフィアと戦い、28秒で5人の男を倒します。このマッコールの”静”と彼が振るう暴力の落差が『イコライザー』魅力です。並外れた格闘技と殺人技術を持つマッコールは、実はCIAの元エージェント。5人の男を殺されたマフィアは幹部(マートン・ソーカス)をアメリカに派遣し、マッコールvs.ロシア・マフィアの抗争の幕が開きます。両者の対決が、マッコールの勤務先、ホームセンターというところは面白い。但し、決戦の場をマッコールのホームグランドに選んだのはマフィアの失敗。ホームセンターには人を殺傷する武器が沢山あるわけで、最後は釘打機を使ってマフィアの幹部にトドメを刺さします。
 『イコライザー』の面白さは、静と動の落差とともに、CIAの元エージェントとホームセンターの店員という落差です。街の鍼灸師”藤枝梅安”が裏では暗殺を請け負う仕事人だった、という面白さです。

イコライザー2
 『イコライザー』でホームセンターの店員だったマッコールは、続編ではタクシーの運転手。ここでも世の為人の為、せっせと悪を退治します。トルコまで出かけて誘拐犯から子供を取り戻すんですが、そこまでやる?みたいなところもあります...。脇役として”1”では警備員を目指す同僚が登場しストーリーを飾りますが、"2"ではこの役目は同じアパートに住む悪の道に踏み込もうという高校生。相変わらず本は手放せず、今度は『失われた時を求めて』。
 ”1”で登場したCIAの元同僚スーザン(メリッサ・レオ)が殺され、その犯人探しと敵討ちが"2"の主なストーリー。この事件でマッコールの過去が明らかになります。マッコールはスーザン殺害の真相を探るためCIAの元同僚デイブ(ペドロ・パスカル)と接触します。デイブはマッコールはとともに作戦に従事し、マッコールは爆発事件で殉職を偽装してCIAを抜けたことが明かされます。
 マッコールは、スーザンのIDを使ってCIAから彼女の殺人に関する調書をダウンロードし調査を始めます。犯人を操る黒幕が浮かび上がり、マッコールにも暗殺の手が伸びます。
 続編というのは難しいです。敵役も、”1”の全身に刺青を入れ暴力の塊のようなマフィアの幹部テディに比べ、CIAの殺し屋デイブはスケールが小さい。スーザン暗殺からマッコールの過去を引き出し、CIAのハ殺し屋デイブに繋げる辺りはナルホドと思うのですが、マッコール暗殺の動機が保身とは軽すぎます。

 アクション好きにはまぁまぁお薦め。さて『イコライザー3』はあるのか?。

監督:アントワーン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン

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高村 薫 我らが少女A (2019毎日新聞出版) [日記(2019)]

我らが少女A 髙村薫 我らが少女A 挿画集  高(髙)村 薫の最新作にして待望の合田雄一郎シリーズです。合田雄一郎は2011年『冷血』で警視庁第二特殊犯捜査係の係長以来、7年振りの登場となりま。本書の2017年の時点では、捜査の現場から外れ警察大学校の教授に転出しています。『マークスの山』で登場した合田も還暦まであと3年の57歳、ヒーローも、作者も、そして読者も歳を重ねたことになります。

 発端は、2005年、三鷹、小金井、調布にまたがる野川公園で、府中市に住む元中学校美術教師・栂野節子が撲殺された迷宮入り事件。12年後の2017年、栂野節子が開いていた水彩画教室の生徒上田朱美が都内で同棲相手に殺されます。朱美が栂野節子殺害現場で拾った絵具のチューブを持っていた、という同棲相手の証言から、迷宮入り事件の再捜査が開始されます。上田朱美の殺人事件は、栂野節子殺人事件の捜査指揮をとった合田に伝わり、合田が乗降する西武多摩川線多摩駅に勤務する小野雄太、朱美の友人で節子の孫真弓、朱美をストーカーするADHD(注意欠如多動性障害)の浅井忍たち当時15歳だった少年少女たちを覚醒させ、真弓の母雪子、朱美の母亜沙子までもが覚醒します。

 上田朱美が殺され、彼らのなかに朱美の存在が影を投げかけます。朱美とは何者だったのか?。朱美は、”前方宙返り”と”回し蹴り”が得意で長身でやせ形、いつもウィンドブレーカー、ジーンズにスニーカー、ショートカットでボーイッシュ、眼に力があるらしい。20年若かったら確実に惚れていたと合田は言い、加納は「この娘!『愛の嵐』のころのシャーロット・ランプリングだー」と言う。”援交”や下着を売って小遣いを稼ぐ不良少女朱美は、死んでもなおエロスの磁場で男どもを絡め取り、朱美の扇情的な写真が”少女A”としてSNSで拡散します。栂野節子殺人事件から12年、雄太が、真弓が、忍が、雪子が、亜沙子が、そして合田雄一郎が、記憶の彼方から蘇った朱美はという太陽の周りを朱美の光を反射する惑星となって廻り始めます。

 本書の特徴のひとつはネット世界。『冷血』では、ネットの求人サイトで知り合った男たちが企む犯罪でした。『我らが少女A』の背景はスマホゲーム、facebook、twitter、lineの電脳世界。メールが飛び交い、タイムラインが流れ、ぷよぷやドラクエXⅢやカードゲームがスマホの画面を埋め、ゲームのキャラクターが現実を侵す世界。警察もまたSNSを凝視し、公用照会でフォロワーの素性を割り出すという世界。
 ハッシュタグで検索し、見知らぬ誰かとネットワークが広がる世界がありますが、facebookやtwiterは使わない人間にとっては、この世界は埒外。ましてや、本書の主人公のひとり浅井忍がのめり込むオンラインゲームやeゲームの世界はチンプンカンプン。御年60半ばの高村センセイ、よくここまで調べましたね、と脱帽。
もうひとつの特徴が作者の視点、例えば

(栂野節子が殺された)武蔵野に2005年12月25日の夜明けが来る・・・
上田亜沙子は結局、イブの骨付きチキンなどを並べたまま、こたつの座椅子で短い眠りに落ち・・・
栂野雪子は、まるで大脳皮質のどこかが待ち構えていたかのように、階段を降りてゆく母の足音を聞きつけて目覚め・・・
早く起きなさい!朝練に行くんでしょ! 母親に布団をはがされて小野雄太はやっと起き出し・・・
また浅井忍は、夜明け前に忽然と目覚める。知らない部屋の知らない男子たちの雑魚寝なかから、這うようにして外に転がりでたが・・・

 武蔵野の半径数kmを舞台に、事件を俯瞰するように殺人事件の関係者は等質に描かれます。殺人犯を追い詰めるのでもなく、犯人がシッポを出すわけでもなく、彼らは上田朱美に囚われながらも、それぞれがそれぞれの2005年と2017年の日常を生きるだけ。合田や特命班は『栂野節子の人生と生活』という名のジグソーパズルを埋め、ダイヤグラムに関係者一人ひとりの行動を記しますが、パズルは拡散し、ダイヤグラムは栂野節子に行き着きません。犯人は誰か、動機は何かは明かされず、作者が描いたのは殺人事件に纏う事実の諸相だったことになります。作者の意図を真弓が代弁します、

小説や映画で、名探偵が得々として真犯人はおまえだと言い放つのとは違って、本ものの事件が暴く事実の一つひとつ、現実の一つひとつが自分たち身近な人間の皮膚を剥ぎ、臓腑をえぐる。何か新しい事実が分かっても、少しも嬉しくない。真相など分からないほうがいい。

 犯人も動機もどうでもいいわけです。ミステリーを書いたつもりはない、という作者の声が聞こえてきそうです。
 しかしながら、犯人が不明だとやはり欲求不満が残ります。朱美は節子が早朝にスケッチに行くことを知っています。節子に話があると手紙で呼び出されていますから、12月25日の早朝、家に帰るついでに節子と会い、諍いを起こして殺害に至ったと見ることも出来ます。亜沙子は、帰ってきた朱美から血の匂いを嗅ぎとっています。亜沙子は朱美の犯行を知って野川に出かけ、虫の息の節子を発見し、朱美を守るために頭部に致命傷を負わせた、というのが私の推理。勝手にホザケ、と作者にいわれそうですが...。

 久々の高村薫、合田雄一郎で面白かったです。『土の記』が未読なので、年内読んでみます。

タグ:読書
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映画 死霊館のシスター(2018米) [日記(2019)]

死霊館のシスター [DVD]  『死霊館』繋がりです、原題は”The Nun”修道女。死霊館シリーズのスピンオフ作品で、『死霊館 エンフィールド事件』に登場した悪魔のシスター「ヴァラク」のルーツに迫る前日譚らしいです。『死霊館』で登場したウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガ)がチラッと登場します。その関係か、ヒロインの修道女アイリーンを演じるタイッサ・ファーミガはヴェラ・ファーミガの妹とのことです。

 ルーマニアの修道院で修道女が自殺します。ルーマニアは「吸血鬼ドラキュラ」の故郷ですから、悪魔が出るには相応しい場所かも知れません。聖職者の自殺という由々しき事態に、バチカンの教皇庁は、調査のためバーク神父(デミアン・ビチル)と見習いの修道女アイリーン(タイッサ・ファーミガ)を派遣します。この修道院というのが中世に城主が悪魔降臨の儀式を行い、後にキリストの血で封印されますが、戦争の爆撃で封印が破られたという曰くつきの修道院。バーク神父は、悪魔祓いを専門とするエクソシスト。アイリーンは土地勘があるというので選ばれたのですが、ルーマニアに行ったことは無く、何故選ばれたのかは最後まで謎。
シスター アイリーン          悪魔降臨
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 自殺した修道女を発見した村の青年フレンチー(ジョナ・ブロケ)の案内で、ふたりは修道院に向かいます。この青年は、ルーマニア人の方が相応しいと思うのですが、何故かフランス系カナダ人。故に通称"フレンチー"と呼ばれるわけですが、何故フランス系カナダ人なのかは謎。悪魔に「フランス野郎」と呼ばれ、おれは「フランス系カナダ人だ」と啖呵をきりますがこのシーンのため?。笑わせるシーンがもう一箇所、アイリーン、バーク神父、フレンチーの三人がいよいよ悪魔と対決しようかというシーンで、フレンチーは「こういう時はお祈りとかした方がいいんじゃない?」、バーク神父は「今は神頼みをしている時ではない!行動あるのみだ」、「いざって時の神頼みはやはり必要だよ」、ナンダそれは。
 この三人で悪魔をやっつけ、地獄の扉をキリストの血で封印して一件落着となります。「キリストの血」そういうものがこの世には存在する?。『インディー・ジョーンズ』に登場する聖櫃、聖杯とか聖骸布など「聖遺物」の話です。それにしても血ねぇ、と思うのですが、日本にも「仏舎利」というのがありますから笑ってはいけません。で、悪魔は地獄に戻ったのか?、フレンチーの首に”逆さ十字”が浮かび上がり悪魔はフレンチーに憑依して修道院を抜け出したわけです、ホラーの定石で幕。

 中世から建つ曰く付きの修道院に修道女の幽霊が現れ、死体が生き返り、悪魔が登場します。いずれも黒の修道服姿。これを迎え撃つのが、白い修道服の若い見習い修道女アイリーン。”The Nun”のタイトルに相応しく全編これ「修道女」です。中世の修道院に幽霊や悪魔が現れるわけですから、ゴシック・ホラー、ゴシック・ホラー ファンにはお薦めの一編。

監督:コリン・ハーディ
出演:タイッサ・ファーミガ デミアン・ビチル

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百均で盆栽 [日記(2019)]

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 盆栽など老人の趣味と思っていたのですが、今やワールドワイルドな園芸なんですね。鉢を買うと数百円するので、百均の陶器を流用してみました。底に水はけの穴が無いので、ドリルで挑戦したところ失敗。磁器ですから硬い。折れたドリルの刃、いちおう東芝ダンガロイと金槌で穴を開けます。散歩の途中雑木林で採集した極々小さい松、たぶん赤松と、庭に生えている苔で掌に乗る盆栽未満をでっち上げました、見えます?。

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李栄薫 反日種族主義 日韓危機の根源 ② (2019文藝春秋) [日記(2019)]

反日種族主義 日韓危機の根源続きです。
日韓請求権協定
 「元徴用工」が日本企業への賠償請求訴訟を起こし、韓国の大法院がこれを認めました。個人請求権と外交保護権は消滅しないことを認め、日韓併合は不法行為であるとしたのです。日本は1965年の日韓請求権協定を盾にこれを拒否しました。徴用工問題の法的側面「日韓請求権協定」を論じています。


日本の日本が韓半島に残して行った財産は1964年の価格で52億ドルを超え、韓半島の総財産の85パーセントに達しており、そのうち22億ドルが南韓にありました。


というのが前提です。サンフランシスコ平和条約(1951)で、この22億ドルを日本が放棄し連合国は22億ドルを韓国に譲渡します。韓国に残していった日本の財貨を韓国政府が受け取ることでチャラにしようということでしょう。

この平和条約で韓国は、日本に対する戦勝国でも、日本の植民地被害国でもありませんでした。ただ「日本から分離された地域」でした。このことはとても重要です。
・・・戦勝国や植民地被害国であったなら、一方的賠償を要求できたでしょう。しかし、韓国は過去日本の一部であり、日本の敗戦によって分離されたものだったので、両国国家と国民の間で財産及び請求権を相互整理することになりました。
韓国と日本は相互に民事上の財産の返還、債務の返済を処理すべし、というのがサンフランシスコ条約でいうところの「特別調整」の意味です。韓国だけが請求権を持っていたのではなく、日本にも請求権がありました。

 つまり、韓国は過去日本の一部であった地域が「日本から分離された」ものであり、連合国(戦勝国)の一員ではなく、植民地被害国もないため、戦時賠償できないと主張します。残るのは、日本が朝鮮半島から勝手に持ち出した民事上の財産で、韓国は7億ドル、日本は7,000万ドルを主張し、決着がつかないまま両国は、 金鍾泌 ─大平正芳会談(1962)で、日本が経済協力金無償3億ドルと有償2億ドルを払うことで決着し、日韓基本条約(請求権協定を含む 1965)の締結に至ります。請求権協定には、

請求権協定文第二条三項には「今後韓日両国とその国民はいかなる請求権主張もできない」と明白に規定しました。また、韓国政府はこの協定で、個人請求権が消滅したことを何度も明らかにしました。

 これが、日本が元徴用工の損害賠償請求を請求権協定を盾に拒否するに至る経緯です。韓国の大法院は、

日本の企業がその徴用労務者の精神的被害に対し慰謝料を支払うよう判決を下しました。請求権協定は財産上の債権債務関係だけを扱い、「損害と苦痛」に伴う請求権問題は扱わなかったため、個人の請求権は有効だ

と言うわけです。国家間の請求権はカタがついていますから、矛先は日本企業です。張勉政権、朴政権下でこの精神的肉体的苦痛に対する賠償請求がなされますが、日本は、日本人の徴用工生存者に補償はしなかったため、当時日本人であった韓国徴用工も同様としこれを拒否します。この問題を解決しないまま日韓基本条約が結ばれ、大法院はその隙きを突いてきたとも言えます。「徴用工」が徴用ではなく単なる「出稼ぎ」だっとすれば、「精神的肉体的苦痛」もないわけですが…。

長い期間をかけて両国政府が合意し国民が同意し、その後数十年間遵守して来たことを、司法府の何人かの裁判官が覆すのは正当なことでしょうか?
・・・国際的な外交問題においては、司法府はそのようなことはしてはならない、という「司法自制の原則」が広く用いられています。

司法自制の原則」とは、裁判所の判決が政府の立場と違う場合には、政府の立場が優先される、という原則だそうです。英米仏独など先進国では、外交問題は裁判所(司法府)が政府(行政府)の立場を尊重するこの原則が生きています。著者の結論は、

韓国は、何か受け取ってないものがあるから、日本はもっと出さなければいけない、などと主張することはできません。韓国人は、1965年の請求権協定で日本との過去史の始末がつけられたこと、過去史が清算されたことを認めなければなりません。これがグローバル・スタンダードです。

 面白いのは「日本が韓半島に残して行った財産は1964年の価格で52億ドルを超え、韓半島の総財産の85パーセントに達しており、そのうち22億ドルが南韓にありました。」の一文。とすると、残りの30億ドルは北朝鮮にあることなり、北朝鮮と国交が正常化されれば、この30億ドルと賠償請求で大モメにモメることになります。金正恩委員長は、元徴用工問題、慰安婦問題をジッと眺めて戦略を建てているんでしょうね。それを考えれば、日本政府もハイハイと妥協するわけにはいきません。

慰安婦問題

  『反日種族主義』は3部構成で、第3部をまるまる費やし「種族主義の牙城、慰安婦」と題してこの問題を検証しています。今日では、「慰安婦狩り説」「強制連行説」「性奴隷説」「韓国慰安婦20万人説」などはほぼ虚偽ということになっています。著者は、慰安婦の1日の顧客数を数え、彼女の預金通帳、慰安所の番頭の日記を発掘し、

つまり慰安婦の生活は、あくまでも彼女たちの選択と意思によるものであるということです。職業としての慰安婦は、慰安所という場所で営まれた個人の営業だったのです。


 解放後、慰安婦は韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦の形態で存続し、朝鮮戦争の混乱もあり韓国の売春婦数は、日帝時代の10倍になるという隆盛を極めます。じゃぁ当時「慰安婦問題」があったのかというと殆ど皆無。この問題が浮上したのは、1983年に吉田清治が『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』という本を出版し「慰安婦狩り」を証言し(この証言は後に否定されます)、それを韓国のマスコミが取り上げてから生まれます。

(慰安婦問題を取り上げる)彼らが本当の人道主義者であれば、彼らが本当の女性主義者であれば、彼らは解放後の韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦に対しても、彼女たちは性奴隷だったと主張し、韓国男性、国家、米軍に責任を問うべきでした。しかし、彼らはそうはしませんでした。彼らは、貧困階層の女性たちに強要された売春の長い歴史の中で1937~45年の日本軍慰安婦だけを切り離し、日本国家の責任を追及しました。

韓国軍慰安婦、米軍慰安婦は問題とせず、日本軍の慰安婦だけをやり玉にあげるわけです。これはトライバリズムの「自分たちの人種、民族、宗教、国家、政治信条というものを第一に考え、そうでないものとの歩み寄りを拒否して、むしろそうした人たちを強引に屈服させていこうという」特徴に当てはまります。文永弘安の役で国土を蹂躙し35年にわたって国家と民族を搾取した日本に対する恨(ハン)でしょう。著者は「慰安婦問題」をこう結論づけます、

この28年間、日本との関係を最悪の水準に導いている慰安婦の問題について、もう一度言及しておこうと思います。何人かのアマチュア社会学者たちが、何人かの職業的運動家たちが、この国の外交を左右しました。全国民が彼らの精神的捕虜となりました。全国が、彼らが巫女となって繰り広げる鎮魂グッ(死霊祭) の会場になりました。シャーマニズムの賑やかなお祭りでした。至るところに慰安婦を形象化した少女像が建てられました。誰も犯すことのできない神聖なトーテムでした。

序文に
『反日種族主義』日本語版の刊行には、韓国語版の企画段階からそのような提案をされて来られた産経新聞の久保田るり子記者(編集委員) の役割が重要でした。久保田氏の案内で文藝春秋の小田慶郎氏がソウルまで来られ、日本語版の自社出版を提案され、結局そのように実現しました。
とあり、本書の企画段階から産経新聞の関与あったようです。産経新聞は、当初から日本語版を予定して、自社の論調に見合った本書を企画したと思われます。なかなか手の込んだプロパガンダとも言えます。ともあれ、韓国で、韓国人としてこうした発言をした著者たちの勇気には、感心させられます。

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kindle paperwhite 挿画と注 [日記(2019)]

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 最近は図書館利用で本を買うことは稀になりました。買う時はkindle版にしています。紙に比べて少し安価、かつ本棚に溜まらない、メモが出来て書抜き(ハイライト)も出来るし、検索ができるのが便利です。使っているのがkindle paperwhite第1世代と古いので遅いですが、”読む”ということに関してはまぁ用が足りています。タブレットもあるのですが、軽くて眼に優しいので読書はもっぱらpaperwhite。paperwhiteのおかげで『源氏物語』(林望の謹訳)が読破できました。

 ここからが本題。久々にkindle版を買って読んでいたのですが、挿画やグラフがあるんですね。ピンチすれば拡大できるのですが、これだと読書を続けるには又元に戻す必要がある。長押しすると画像だけ拡大できることが分かって一件落着、なるほど便利。もう1件、”注”というのがあります。大抵巻末を参照するわけですが、これがハイパーリンクとなっている!。当たり前と言えば当たり前なのですが、ちょっと感動しました(笑。
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秋風秋雨人を愁殺す -秋瑾- [日記(2019)]

秋瑾 [DVD]  タイトルに凝ってみました(笑。中国の女性革命家・秋瑾を描いた『秋瑾 競雄女侠』(2011香港)という映画の話です。「秋風秋雨人を愁殺す」は、学生の頃出会った一句で、何処でどうやって知ったものかも忘れましたが、以来ン十年前、頭の隅に眠っていた言葉です。『秋瑾』を観て、これが秋瑾の辞世句だということを初めて知りました。武田泰淳に秋瑾を描いた小説があるらしいですが、書かしめたのはこの言葉の持つ魔力でしょう、タイトルも『秋風秋雨人を愁殺す 秋瑾女士伝』。

 秋瑾は、1875年は福建省の廈門に生まれ、1907年に武装蜂起計画が発覚して処刑されます。映画は、その処刑シーンから始まり、31年の女性革命家の生涯を描きます。中国映画ですからカンフーあり剣技ありで、女性革命家の映画というよりアクション映画の趣もあります。
 秋瑾は、纏足を拒否し詩文と格闘技に熱中する女性として描かれます。名家の王と結婚し王が売官で役人の地位を得たため北京に移住。この夫が、当時の役人の例にもれず遊んでばかりいるなまくら亭主。夫とふたりの子供を残して単身日本に留学します。秋瑾の生きた時代は、阿片戦争、日清戦争の敗北により国は疲弊し、戊戌の変法などの改革運動とそれを潰す保守派が入り乱れる清朝末期。秋瑾は、憂国と虐げられる女性のフェミニズムに突き動かされ日本に留学します。
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 当時の日本は、亡命した孫文を宮崎滔天、頭山満等が支援し、辛亥革命前夜という気運にあります。秋瑾は、その気運の中で孫文の革命団体「中国同盟会」に参加し革命思想を先鋭化させます。短刀を持つ和服姿の秋瑾の写真が残っています。短刀は、国と人民を喰い物にする清朝と女を虐げる男性に向けられたもの?、何とも凄まじい「女侠」の姿です。帰国した秋瑾は紹興で革命のための軍事訓組織「練大通学堂」を作り、日本で知り合った徐錫麟の蜂起に連座して死刑となります。孫文の辛亥革命の3年前のことです。

 映画を観て同情するのは、秋瑾よりもその夫・王と秋瑾を処刑した浙江省の県令ではないかと思います。王は秋瑾を妻としなければ安穏な一生が遅れたはずです。県令も辞世の詩を後世に伝えた程ですから秋瑾の意を汲みながら立場上処刑したことになります。イエスを処刑したローマ総督ピラトみたいなもの。

 映画として面白いかといえば、女性革命家の伝記をカンフーで味付けしたアクション映画に過ぎません。個人的は、「秋風秋雨人を愁殺す」の謂れが分かって大満足、いずれ武田泰淳の小説を読んでみます。

監督: ハーマン・ヤオ
出演:ホアン・イー

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