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映画 パッセンジャー(2016米) [日記(2017)]

パッセンジャー [DVD]  舞台は5000人を乗せた移民宇宙船。乗客(パッセンジャーズ)のひとりジム(クリス・プラット)が人工冬眠から目覚めます。広い宇宙船の中を仲間を探し回りますが、乗客乗員は誰もいず目覚めたのはジムひとり。おまけに、目的地に到着するのは90年後。地球との通信は、返事が帰って来るのに50年かかる始末。再び人工冬眠に入ることも出来ず、アンドロイドのバーテンダー、アーサー(マイケル・シーン)を話し相手に、この宇宙船で90年間孤独に暮らしていかなければならないという設定です。

 『パンドラム』と似たような設定ですが、『パッセンジャーズ』には怪物は登場しません。宇宙船の中は快適の一言。食事は出るしバーもある。プールもあり宇宙遊泳もできるという至れり尽くせり。なに不自由なく快適に暮らせると言っても、90年は長過ぎます。
 『パンドラム』では、唯ひとり目覚めたクルーは乗客を次々に目覚めさせ、彼等の上に君臨して「王国」を作ったのですが、ジムも似たようなことを考えます。とびきっりの美女オーロラ(ジェニファー・ローレンス)を目覚めさせ、孤独を癒そうとします。美女数十人を目覚めさせてハーレムを作らなかったところが、この映画の軟弱なところ(笑。おまけに、オーロラが事故で目覚めた様に装い、アーサーにもナイショにしてくれと頼むのですから、主人公のジムはいい人です。
 若い男女が二人きりで生活するわけですから、なるようになります。コレSF映画じゃなかったの?という展開で、どう始末を付けるんだろうエイリアンでも登場するのか?。
 好事魔多しで、アーサーの口から秘密がバレます →当然破局。破局を修復してSF調ラブロマンスに終わらせると言うのが、この映画のミソです。出だしはそこそこ面白いのですが、途中からダラけます。SFを期待する方は見ない方がいいですね。個人的には『パンドラム』の方が好きです。
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:クリス・プラット ジェニファー・ローレンス マイケル・シーン ローレンス・フィッシュバーン

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映画 インターステラー(2014米) [日記(2017)]

  インターステラー [DVD] 地球は砂漠化して農作物は育たず、食料危機から人類は滅亡の危機に瀕しているという世界の物語です。食料生産が優先されるので軍事も宇宙開発もストップし、海兵隊もNASAも解散という世界です。もっともな話ですが何とも粗っぽい。

 地球の温暖化・砂漠化 →人類滅亡の危機 →宇宙へ植民という構図はSF映画の常道で、『インターステラー』でも、この常道を踏まえています。

 ブラックホール、ワームホール、相対性理論などがストーリーのキーワードとして頻出します。2017年に重力波の観測でノーベル賞を与えられた理論物理学者キップ・ソーンが監修者として参加しているようです。ワームホールなど恒星間飛行の便宜的設定でしょうが、著名な学者センセイが監修しているのだから嘘ではないぞと言いたいのでしょうか。5次元世界に至っては理解不能で、タイムトラベルの便法以外の何ものでもありません。
 現代物理学の成果を華麗に取り入れている映画のようですが、素人には、肉親の情は人類愛に勝る(早い話が、米映画の大好きな「家族」)という映画に過ぎません。映画の主軸は、宇宙飛行士クーパー(マシュー・マコノヒー)とマーフ(マッケンジー・フォイ、ジェシカ・チャスティン)の父娘愛です。マーフはクーパーが宇宙に行くことに猛反対(父に捨てられたと思っている)。クーパーはきっと帰ってくると約束して、宇宙への夢止みがたく宇宙船に乗り込むわけです。全編を通じてこの「きっと帰ってくる」が主題となります。家族愛vs.人類愛の表現のひとつが、プランAとプランB。

プランAは、植民可能な惑星を見つけ人類を移住させるというプラン。
プランBは、冷凍した精子と卵子をその惑星に送り込んで種を保存するというプラン。

よく考えれば、全人類を宇宙船で運ぶことは不可能で、生き残っている人類を少数移住させること(たぶん関係者の家族+α)も精子と卵子を送り込むことも大同小異だと思います。この植民星探査のプロジェクト・リーダーは、プランAの大義名分の元に本音はプランBで、人類を救うより種の保存を優先します。これに真っ向勝負がクーパーとマーフ。ちなみにマーフの本名は、「起こる可能性のある事は、いつか必ず起こる」という命題の「マーフィーの法則」のマーフィー。意味深な名前です。

 クーパーとマーフの家族愛を飾るのが、「光速で飛ぶ宇宙船の時間は地球の時間より遅れる」という相対性理論。宇宙旅行をして地球に戻ったクーパーは、娘のマーフより若いという「ウラシマ効果」です。クーパーは5次元空間を使って、成人して理論物理学者となったマーフの元に約束通り帰り、人類を救う重力の理論を伝えます(何ゆえこの理論が地球の砂漠化を防ぐのか、説明はありませんが)。
 この伝達手段というのが、何とモールス信号!(モールス符号に「∫」なんてありました?)。で、めでたく人類は絶滅から救われ、人類愛は家族愛を越えられない、という命題が実証され、同時に家族愛は人類を救うという命題が生まれます。

 ブラックホールや相対性理論の好きな人には面白いでしょうが、SF映画としては『オデッセイ』や『ゼロ・グラビティ』の方が、もっと言えばB級の『スノーピアサー』『パンドラム』の方がシンプルで面白いです。もうひとつ言えば、マット・デイモンやケイシー・アフレックがこの配役ではまことに勿体ない。

監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン マット・デイモン ケイシー・アフレック

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映画 64(ロクヨン)(2016日) [日記(2017)]

64-ロクヨン-前編 通常版DVD 64-ロクヨン-後編 通常版DVD  横山秀夫『64(ロクヨン)』の映画化です。小説もすこぶる付きの面白さでしたが、映画の方も前後編4時間を一気に見せてくれます。64(ロクヨン)は、昭和天皇の崩御によりわずか1週間しか存在しなかった昭和64年に発生した少女誘拐殺人事件に関わった人々を描くミステリです。

 ミステリというより、県警の広報官・三上の組織人としての孤独な闘いがテーマです。三上は、実名の発表を要求する記者クラブとの対立し、刑事部長の職を警察庁のキャリア職に置き換えようとする県警本部長、警務部長と対立します。警察組織のなかで、三上は如何にしてアイデンティティを保ったのか?、というところが見所ではないかと思います。
 三上は、誘拐事件の捜査に携わった元刑事。つまり元刑事部に所属し現在は警務部。平成14年、時効まで後1年と迫ったロクヨンの解決のために警察庁長官が県警を視察することとなり、三上は警務部長から誘拐された少女の父親・雨宮(永瀬正敏)と長官の会見をセットするよう命じられます。三上は、14年振りにロクヨンに関わるうちに「幸田メモ」の存在を知らされ、退職した幸田に張り付く刑事に出くわします。さらに、刑事部ではロクヨンがタブーとなていることを知ります。
 警察庁長官の視察は、ロクヨンを口実に警察庁からキャリアの官僚を刑事部長として送り込む策謀であり、「幸田メモ」は、歴代刑事部長が隠し続けてきたロクヨン捜査の失態だったことが明らかになります。
 県警本部長、警務部長に続いて刑事部長の職まで警察庁のキャリア組に乗っ取られては、県警刑事の士気と面子が潰れるわけで、刑事部からは猛反発が起き、三上も身体を張っての抗議となります。
 そうしたなか、ロクヨンをなぞった少女誘拐事件が起き、『64(ロクヨン)』の解決編とも言うべき後編へと突入します。
 この映画の見処は、誘拐殺人に端を発した人間ドラマです。娘を失い事件が風化するなかひとりで犯人追い続ける雨宮、警察の隠蔽体質を内部告発して辞職した幸田(吉岡秀隆)、捜査の失態の重圧から精神を患った日吉。三上もまた職務のため家庭を顧みず、ひとり娘が失踪するという不幸を抱えています。不幸の連鎖のなかで第二のロクヨン事件が起こります。第二の誘拐事件はロクヨンの経過を模倣し、人々を昭和64年1月へと引き戻します。
 原作を読んでいますが、佐藤浩市の熱演で一気に見せてくれます。『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』(こっちはDVD化されたNHKドラマがお薦め)など、単なるミステリに終わらないところが横山秀夫の上手いところです。お薦めの一本。
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市 永瀬正敏 奥田瑛二 瑛太

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映画 パンドラム (2009独米) [日記(2017)]

パンドラム コレクターズ・エディション [DVD]  B級SFですが面白いです。遥か未来、地球は増えすぎた人口を維持できず混乱の只中にあります。折から地球型惑星タニスが発見され、人類は地球を離れタニスへの移住を企てます(何処かで聞いたような設定)。そのタニスに向かう6万人の地球人を乗せた移民宇宙船エリジウム号の物語です。

恒星間飛行ですから、乗客もクルーも人工冬眠に入ります。何かの拍子でクルーのひとりバウアー伍長(ベン・フォスター)が冬眠から目覚めます。クルーは数名でチームを組み交代で宇宙船の管理にあたるわけですが、目覚めたのはヴァウアーひとりで引き継ぎを受ける前任のチームもいません。次いで目覚めるのがペイトン中尉(デニス・クエイド)。人工冬眠は記憶喪失を伴うという前提があり、バウアーはペイトンも”未知”の宇宙船で恐怖と遭遇するというサスペンスが売りです。
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だいたいこんな感じ           ハンター
 宇宙船エリジウムは、原子炉が不安定となりいつ停止してもおかしくない状況。技術者バウアーはペイトンの誘導で再起動のため原子炉を目指します。人口冬眠の6万人の人間を乗せた巨大宇宙船の闇の中をバウワーの冒険が始まります。
 その恐怖というのが”ハンター”と呼ばれる人間を「喰う」怪物。この怪物が宇宙船のクルーを食べてしまったため、バウアーが目覚めた時クルーはひとりもいなかったわけです。
 何処からともなく現れ、素早い動きで人間を襲う怪物 →『エイリアン』そっくりです。『エイリアン』を下敷きに『エイリアン』を越えるSF映画を作ろうというわけです。バウアー、ペイトン以外にも、女性科学者ナディア、農業労働者マン(英語が喋れない)、食人で生き延びていたコックのリーランドが登場し、原子炉を再起動するため暗闇の中を原子炉へ向かう冒険が始まり、ハンターと戦うアクションもあって見せ場はタップリ。『エイリアン』の二番煎じですが、これはこれで面白いです。
 『パンドラム』ではハンターとの戦いは大した意味を持ちません。テーマはタイトルともなっているパンドラムという宇宙旅行に伴う精神病、一種のパニック障害。パンドラムを病んだ乗組員が、5,000の冬眠カプセルを宇宙に放出して乗客を殺したという逸話が紹介されています。宇宙船エリジウムでは、パンドラムを病んだクルーが同僚を殺し、乗客を冷凍睡眠から目覚めさせて神となって権力を振るい、多くの乗客を閉じ込めサバイバルゲームさせて楽しむという惨劇を起こした過去が、リーランドによって語られます。このクルーは、惨劇に飽きて再び冬眠に入ったということですから、宇宙船の何処かに生きていることになります。また、このサバイバルゲームによって、人間を喰うハンターが生まれたことが明かされます。
 ハンターは、共食いの果に生き残った人間の末裔。つまり、パンドラムという精神障害が「パンドラの匣」の蓋を開け、中からパンドラムとなったクルーとハンターが飛び出したというわけです。『パンドラム』は、「パンドラの匣」の中にある人間の本性の話でもあります。これが一番のホラーかもしれません。
 バウアー達は、ハンターと戦いながら原子炉を再起動させ再び宇宙船を発信させます。宇宙船が正常に戻ったことで、123年で到着するはずの宇宙船は1,000年宇宙を漂っていたことことが明らかになります。では宇宙船は現在何処にいるのか?、これがオチになります。
 ひとつ?があります。バウワーが人工冬眠から目覚めた冒頭から、彼の回想に妻と思われる女性が何度も登場します。バウワーは、彼女も宇宙船に乗っていると思っていたのですが、やがて地球で別れたことを思い出し、妻と別れたことが惑星タニスを目指す宇宙船に乗り込む原因だったことが明かされます。回想の中で何度も登場するこの女性が、ストーリーに全く絡んで来ません。思わせぶりな映像はいったい何だったのか?。もうひとつ、ペイトン中尉の妻の冬眠カプセルを発見し、ペイトン中尉の正体を見破るシーンがあります。これも説明不足で謎。バウワーの妻とペイトン中尉の妻は繋がりがあるのか?。この辺りはよく分かりません。
 荒っぽい作りの映画ですが、ゴシック調?の宇宙船内の映像とパンドラムという発想は気に入っています。
監督:クリスチャン・アルヴァート
出演:ベン・フォスター デニス・クエイド

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絵日記 柿 [日記(2017)]

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 久々に柿が採れました。鳥に食べさせるために、一個残すのが礼儀だそうです(笑。
庭に自生した実生の渋柿です。吊し柿にするか、焼酎で渋を抜くか思案中。
【追記】
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 干し柿にしました。30個の皮を剥くのはけっこうタイヘン。
【12/16追記】
DSC_0382.JPG 鳥が食べてくれたようです。

タグ:絵日記
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絵日記 丹波の黒枝豆 [日記(2017)]

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丹波まで黒豆を買いに行ったとかで、頂戴しました。早速茹でてビールのアテに。大粒でふっくらしていて美味しいです。

タグ:絵日記
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映画 キラー・インサイド・ミー(2010米) [日記(2017)]

キラー・インサイド・ミー [DVD]  テキサスの田舎町の保安官助手ルー(ケイシー・アフレックス)29歳を主人公としたクライム・サスペンスです。

 映画のkeyは、背景となる1950年代とテキサス。第二次世界大戦で戦場とならなかったアメリカは、ヨーロッパの復興に伴い未曾有の好況を享受し、住宅、自動車、高速道路、家電製品、ファストフードなどに代表されるアメリカ文化が花開く時代です。もうひとつのテキサス。映画の中で”女性には奥さんと敬意を払い、紳士でなければ男じゃない”という保守色の強い風土。おまけにルーが保安官助手を勤めるのは、”誰もが顔見知りで困る”ほどの小さな町で、治安も良好。ルーは、町で唯一の医者のひとり息子。安定したアメリカ社会の小さな町で、評判のいいな29歳の保安官助手の『内なる殺人者』の話です。50年代のアメリカン・ポップスに乗ってルーの殺人が進行します。

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 ルーは、保安官の指示で売春婦のジョイス(ジェシカ・アルバ)を町から追い出すために、会いに行きます。ルーが警官だと知ったジョイスが殴りかかってきたことで、ルーの内部に火がつきます。ジョイスの尻を剥きベルトで打ち据え、これがジョイスを刺激し、ふたりは保安官助手と売春婦を越えた男女の関係になってしまいます。サドとマゾ?。後に明かされますが、ルーは、少年時代に5歳の少女に同様の悪戯をした前科があり、(義理の)兄が身代わりとなって逮捕されるという過去があります。おまけに、この兄は事故を装って町の有力者に殺されたらしいという因縁まであります。静かな田舎町も一皮めくれば、ということでしょう。ルーには、結婚を約束したエイミー(ケイト・ハドソン)という恋人があり(おまけにエイミーは教師)、所謂「女に不自由はしていない」にも関わらず、ルーはジョイスにのめり込みます。

 息子とジョイスの関係を金で解決してくれという話が、ルーに舞い込みます。頼んだのは、兄を殺したという噂のある町の有力者。ルーはこの話に乗り、駆け落ちを迫るジョイスとの関係を清算し、兄の復讐のために、ジョイスとこの息子を殺します。息子がジョイスに暴力をふるい、ジョイスが息子を射殺するという筋書きの殺人計画。不思議なことに、切羽詰まった挙げ句の殺人という切実さは全くありません。売春婦に駆け落ちを迫られたことが殺人の動機となるとは考えられず、兄が殺されたことも単なる伝聞に過ぎずこれも動機としては不十分。ルーの「内なる殺人者」が突然目覚めたという他はありません。

 ジョイスを素手で殴り殺すのですが、これが凄まじいの一言。もう少しスマートでキレイな?殺し方もあろうと思うのですが、ただただ執拗に殴るだけの撲殺(もっともこの撲殺は結末の伏線)。不思議なことは、ルーがジョイスに謝り、愛しているとさえ言いながら殴り続けることです。ルーにとっては、ジョイスを愛していることとジョイスを殺すことが矛盾なく同居しているようです。想像するに、ルーが愛しているのはジョイスではなく、テキサスの田舎町の安穏な保安官助手の生活ではないかと思われます。これは、恋人のエイミーを撲殺する第三の殺人でも繰り返されます。エイミーもまた、駆け落ちして他所の町で新しい生活を始めようと迫ったためルーに殺されます。ルーにとっては、テキサスの田舎町という「揺りかご」から連れ出そうとする人間を排除しただけのことなのです。これはルーという人間の保守性ではなく、揺りかごにこだわる幼児性に他なりません。要は自己中。
 この幼児性は、殺人計画のズサンさにも現れていいます。ジョイスを殺した後、ジョイスの拳銃で息子を撃ち殺し、指紋を拭き取った拳銃をジョイスに握らせます。これで相討ちとは誰も考えません。ルーは、刑務所ではなく精神病院に収容されます。揺りかごに安住できない絶体絶命のラストで、ルーの幼児性は遺憾なく発揮されます。
 描かれたのは、「内なる殺人者」ではなく、アメリカ文明に存在する「内なる幼児性」だったのだと思われます。アメリカ・ファースト、都民ファーストと世界は幼児性をあらわにしだした、という思いがします。
 評判のいい好人物の保安官助手と残虐な殺人者が同居するルーというキャラクターを、ケイシー・アフレックが見事に演じます。お薦めです。
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:ケイシー・アフレック ジェシカ・アルバ ケイト・ハドソン

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映画 スノーピアサー(2013韓米) [日記(2017)]

スノーピアサー [DVD]  間違いなくB級SFです。B級ですが設定が面白いです。温暖化した地球を冷やすプロジェクトが失敗し、寒冷化した地球では人類が絶滅し、生き残ったのは無限軌道を走り続ける列車の乗客だけという設定です。生産と消費が循環する閉鎖生態系ともいうべき列車の中で生きる、地球最後の人類の物語です。人間が集団で暮らす社会ですから、そこには支配被支配の関係が生まれ階層が生まれます。列車を牽引する先頭車両に集団のトップが君臨し、最後尾の車両へと順番に階層が下がってゆくヒエラルキーの構造です。支配の手段は暴力=軍です。つまり、列車は社会の縮図であるというわけです。

 最後尾車両のしたがって最下層の子供が軍に拉致されたことで、反乱が起きます。反乱を指導するのが若い指導者カーティス(クリス・エヴァンス)とかつてのリーダー、ギリアム(ジョン・ハート)。反乱軍は、軍と戦い先頭車両を目指して一両づつ車両を突破してゆきます。この進軍に協力してシステムを破るナムグン(ソン・ガンホ『グエムル 漢江の怪物』)、立ちはだかるのがメイソン(ティルダ・スウィントン『オルランド』)。B級映画にしては有名俳優が脇を固めています。『リトルダンサー』のジェイミー・ベル、ラストではエド・ハリスまで登場します。度の強い眼鏡をかけたオールドミスのティルダ・スウィントンはまず彼女とは分かりません。

 カーティス達が車両を進むことで、この『スノーピアサー』の世界が次第に明らかとなります。食品工場、水のリサイクル場、農場、魚の養殖場、学校があり、先頭車両に近づくにつれて支配階級の住むコンパートメントや豪華な食堂が現れます。列車の中に社会の縮図が存在することとなります。カーティス達の進攻は、軍に阻まれ激しい戦闘が繰り広げられ双方多くの死者が出ます。
 先頭車両にたどり着いたカーティスは、列車の最高権力者ウィルフォード(エド・ハリス)と対峙することになり、ウィルフォードによって列車の成り立ちが明かされます。先頭車両に君臨するウィルフォードと、最後尾車両のリーダー・ギリアムは裏で繋がっているというもの。列車の人口が増え生態系バランスが崩れだすと、両者合意のうえ革命と戦闘が起こって人口が減りバランスが回復するという仕組みだったのです。何処かで聞いたような話。
 老齢のウィルフォードは、このシステムを維持するために先頭車両のリーダーの地位をカーティスに譲ると言います。カーティスは、支配被支配の階級構造の打破を狙って反乱を起こしたわけです。リーダーの地位につけば乗客の淘汰を行わねばならず、行わないと生態系バランスが崩れて列車社会は崩壊します。また、老朽化した機関の歯車の代わりに、最後尾列車から誘拐した子供を使っていることが明かされます。機械の歯車を生産するといういうことが、最後尾列車の人間の存在意義だったということになります。カーティスは、人間の尊厳と自由と平等を掲げて革命を起こしたわけです。カーティスがウィルフォードに取って代われば、列車のシステムを維持するために、自らが淘汰(住民の抹殺)と歯車として子供を使役しなければなりません。この絶対矛盾をどう解決するのか? 、映画のオチをどうつけるのか?。
 良くも悪くも、まことに映画的解決方法が選択されます。すなわちか、カタストロフィ。テーマの答は巧妙に回避されますが、映画にそこまで求めるのは無理でしょう(笑。あまり評判の良くない映画ですが、個人的にはお薦めのSFです。

監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エヴァンス ソン・ガンホ ジェイミー・ベル ジョン・ハート ティルダ・スウィントン エド・ハリス

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絵日記 運動会 [日記(2017)]

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PA085852.JPG カメラマンはタイヘン!

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映画 続・深夜食堂 [日記(2017)]


映画 続・深夜食堂 DVD通常版


『深夜食堂』の概要はこちらをご参照。映画、TV版に続いて続編です。続編も「深夜食堂」に集まる人々の人生悲喜こもごもを描いた3話のオムニバスです。

第一話 焼肉定食
落ち込むと喪服を着て街をさ迷い、深夜食堂で焼肉定食を食べてリフレシュする女性編集者(河井青葉)の恋愛模様。最後は僧侶と結ばれるというオチ。
第二話 焼きうどん
焼きうどんの好きな蕎麦屋の跡継ぎ息子(池松壮亮)の恋と、子離れできない母親(キムラ緑子)の話。十五も年の離れた女性との恋は成就するのか?。
第三話 豚汁定食
「キテキテ詐欺」に引っ掛かって博多から東京に来た老婆(渡辺美佐子)が、深夜食堂に集う面々の親切で自分を取り戻すお話。第一作で登場したミチル(多部未華子)が活躍します。

 三話とも、深夜食堂のマスター(小林薫)はストーリーには直接係わってきません。焼肉定食、焼きうどん、豚汁定食を作って「お待ち」と言うだけです。第三話の老婆は、過去の出来事で禁忌としていた豚汁定食を食べ、昔の自分と向き合います。料理が人の心に滲みるわけですが、人の心を開かせるのはマスターの人柄ということ。前作で無銭飲食をしたミチル(多部未華子)を店の二階に住まわせ、調理の手解きをして余貴美子の料亭に送り出しました。この逸話が三話で生きてきます。
 マスターの過去は謎ですが、顔に切り傷?があるところから、修羅場をくぐってきた人間かも知れません(居酒屋兆治?)。謎と言えば、マスターと料亭の女将(余貴美子)の関係。前作でではマスターのもとに糠漬を運び常連の注目を浴び”みちる”を引き受けました。『続』では訳ありの関係が匂わされます。第三作が作られれば、そにあたりが描かれるんではないかと楽しみにしています…。

 店の常連客、忠さん、ゲイバーのママ・小寿々、ヤクザの竜、刑事・野口、ストリッパー・マリリン、駐在さんの小暮も健在。

監督:松岡錠司
出演:小林薫 不破万作 綾田俊樹 松重豊 多部未華子 余貴美子  オダギリジョー 光石研 安藤玉恵 

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