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ジョン・フォード 黄色いリボン(1949米) [日記(2018)]

黄色いリボン ニューマスター版 DVD  騎兵隊三部作『アパッチ砦』『黄色いリボン(1949)』『リオ・グランデの砦(1950)』の第二作です。42歳のジョン・ウェインが退役間近の老け役の将校を演じます。

 退役まで後6日に迫った騎兵隊大尉ネイサン・ブリトリス(ジョン・ウェイン)の話です。妻を亡くした独り身ですから、退役すればカリフォルニアにでも行くさとカレンダーに印を入れるカウントダウンの日々。ブリトリスは最後のパトロールに出ます。砦の指揮官から東部に帰る指揮官の妻と姪のオリヴィア(ジョアン・ドルー)を駅馬車に乗せて送ってほしいと頼まれます。騎兵隊の砦がある西部ですから、先住民が出没し治安が悪いわけです。
 この時のオリビアの髪飾りが「黄色いリボン」。黄色いリボンは、想いを寄せる人にyesというサインだそうです。そう言えば「幸せの黄色いハンカチ」というのがありました、関係あるんでしょうか。
 この黄色いリボンは「オレに宛てたものだ」と恋のサヤ当てをするのが、砦のコーヒル少尉(ジョン・エイガー)とペネル少尉のふたり。『アパッチ砦』同様、若い男女の恋模様がサブストーリーとなります。
黄色いリボン.jpg 黄色いリボン1.jpg
 この最後のパトロールで、バッファローの大群、先住民の襲撃、開拓民の虐殺など、西部劇にはお馴染みの事件が起こります。さらに砦を襲うために集結する先住民の大集団と出くわし、ブリストルはコーヒル少尉一隊を残し砦に引き返します。
 ここからジョン・ウェインがカッコよく決めるシーンです。ブリストルは部下を救うために出撃を申し出ますが、指揮官は退役を明日に控えたブリストルにこれを許さず、ペネル少尉を行かせます。いよいよ最後の日、ブリストルは砦から去ると見せかけて残してきた部下の元に駆け戻り、部下一人連れて先住民と話し合いに出かけます。ブリストルが騎兵隊と先住民の衝突回避のため取った手段が、先住民の馬を放ち暴走させるというもの。馬が無ければ戦闘は起こらないわけです。根本的な解決にはならないわけで、ブリストルが退役しても何時かは戦闘が起こることは目に見えています。中途半端な結末というか、ジョン・フォード監督苦肉の策なんでしょうか。

監督:ジョン・フォード
出演:ジョン・ウェイン ジョアン・ドルー ジョン・エイガー ベン・ジョンソン ハリー・ケリー・ジュニア

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映画 サイレントヒル(2006仏加) [日記(2018)]

サイレントヒル [DVD]  『ジェーン・ドウの解剖』『ウィッチ』に続いてのホラー。『サイレントヒル』も少し毛並みの変わったホラーです。
 ローズ(ラダ・ミッチェル)は、娘シャロンが夢の中で呟く「サイレントヒル」という言葉と彼女の描く怪異な絵の謎を解くために、サイレントヒルに向かいます。サイレントヒルは、地下で石炭が燃えるため、雪のように灰の降るゴーストタウン。この煙るような廃墟で、ローズとパトロール警官のベネット(ローリー・ホールデン)が、異形のものと出会い怪奇を体験するうというのが映画のスーリーです。

 ベネット巡査は、ゴーストタウンに向かうローズに不審を抱き停車を命じますがローズをこれを振り切って逃げ、事故を起こします。気がつくと娘のシャロンの姿はなく、ローズは娘を探してサイレントヒルに向かいます。ローズを追ったベネットもまたバイクを転倒させていますが、このふたりの事故がストーリーの重要な伏線です。
 ローズを誘うかのようにシャロンと思われる少女が現れ、ローズは彼女が逃げ込んだ地下で身体の内部が燃える魑魅魍魎と遭遇します。さらにボロをまとった女性に出会い、娘シャロンの写真を見せて行方を尋ねます。不思議なことにこの女性ダリアは、写真を見て自分の娘アレッサだと言い、邪悪な者たちによって殺されたと告げます。このダリアとアレッサも伏線。どうもゴーストタウンには人間がいるらしい!。
 ベネットがローズに追いつき、街から出る道路は塞がれ無線も携帯電話も通じないサイレントヒルでシャロン探索が始まります。ふたりの前に異形の者が現れます。口から酸を吐く両腕のないのっぺらぼう、あんたはエイリアンか!。とマァだんだんホラー色が濃くなってきます。以下ネタバレです。
サイレントヒル.jpg サイレントヒル2.jpg
 こんな雰囲気             怪物
 ベネットとローズは若い女性に導かれ、魑魅魍魎に追われて教会に逃げ込みます。教会には教主クリスタベラが支配する狂信的な教団が住み、ダリアとアレッサとの関係が明らかとなり、サイレントヒルの恐怖世界の謎が解かれます。キーワードは魔女狩り。『ジェーン・ドウの解剖』では、「セイラム魔女裁判」で拷問の末殺された女性の怨念が300年の時を経て現代に蘇るという話でした。サイレントヒルの怪異もまた、この教団の魔女狩りによって焼き殺されたアレッサの恨みが産み出したものでした。さらにアレッサとシャロンの不思議な関係が明かされ、教団の魔女狩りはベネット巡査とシャロンに及び、アレッサによるカタストロフィが始まります。

 『サイレントヒル』の魅力は、石炭が地下で燻り雪のように灰の降るゴーストタウンと、そこに徘徊する魑魅魍魎の世界です。石炭は自然発火するようですから、荒唐無稽というありそう。世界で800万本以上売れたというコナミのゲームに想を得た映画らしいですが、魔女狩りが生み出した怨念世界という設定は新鮮です。『ジェーン・ドウの解剖』もヒントはこの映画かもしれません。結末は明らかに『アザーズ』ですね。
 登場人物は、ローズを夫を除いてほとんど女性。女性は怖い、女性は強い、母はさらに強いという映画です。
監督:クリストフ・ガンズ
出演:ラダ・ミッチェル ショーン・ビーン


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ジョン・フォード アパッチ砦(1948米) [日記(2018)]

アパッチ砦 ニューマスター版 DVD  騎兵隊三部作『アパッチ砦』『黄色いリボン(1949)』『リオ・グランデの砦(1950)』の第一作、カスター中佐率いる第7騎兵連隊211名が全滅した「リトルビッグホーンの戦い」に想を得た西部劇です。
 カスターに相当するサースデイ大佐をヘンリー・フォンダが演じます。ジョン・フォードは、『怒りの葡萄』『荒野の決闘』『モホークの太鼓』でヘンリー・フォンダを起用していますから、名監督、名優のコンビでしょう。ジョン・フォードの西部劇といえばジョン・ウェインですから、ヘンリー・フォンダと衝突するアパッチ砦の古参大尉ヨークを演じます。

 『アパッチ砦』は、権威主義者で手柄を焦る指揮官が、部下の忠告を聞かず自滅してゆく物語です。そうした意味では、ヘンリー・フォンダの主演映画だと思うのですが、クレジットはジョン・ウェインがトップにきています。

 サースデイ大佐というのはなかなか陰影に富んだ人物です。南北戦争当時は将軍だったようで、大佐に降格され(給料は中佐並だとぼやきますが)アパッチ砦に左遷されます。本人は手柄を立てて返り咲きを狙っていますが、アパッチ砦は手柄の立てようのない平和な砦。登場からパッとしません。砦に赴任する少尉の出迎えはあったものの、連絡ミスで大佐の出迎えはなく、娘とふたり寂しい登場となります。大佐を待っていたのは、ヨークとコリングウッドのふたりの大尉。コリングウッド大尉は元同僚のようで、コ大尉に降格されアパッチ砦に埋もれているという境遇。かつての同僚が上司と部下という関係です。
 着任早々、サースデイ大佐は将校の服装に文句をつけ、規律の緩みを叱りつけます。持ちたくない上司の典型です。茫洋としたジョン・ウェイン、神経質で傲岸なヘンリー・フォンダの対比が映画の見ところのひとつ。
 新任のオローク少尉(ジョン・エイガー)とサースデイ大佐の娘フィラデルフィア(シャーリー・テンプル)の恋が映画に花を添えますが、折角ヘンリー・フォンダを持ってきたのですから、恋など無用で、サースデイ大佐vs.ヨークとコリングウッド大尉の人間ドラマにした方が面白かったと思います。当時の騎兵は妻子同伴で砦に住んでいたようで、兵士の妻や若い娘がドラマに参加することで、映画に膨らみが出るのは事実です。

 手柄を焦ったサースデイ大佐は、ヨーク大尉の忠告を聞かずアパッチを攻め大敗して戦死します。カスター将軍の第七騎兵隊です。

 映画は、白人の騎兵隊と先住民の対立の構図で、対立の要因等の描写ほとんどありません。先住民に殺された白人の死体が写され、先住民は絶対の悪です。騎兵隊もすべて白人で、南北戦争で奴隷解放がなされ自由黒人もいたはずですが、黒人はひとりも登場しません。ジョン・フォードの映画で黒人の騎兵隊員が登場するのは『バッファロー大隊(1960)』、先住民が人間として描かれ白人の加害描かれるのは『シャイアン(1964)』に至ってです。『怒りの葡萄』『タバコ・ロード』で虐げられた人々(但し白人)を暖かい視線で描いたジョン・フォードにしてもです。白人の先住民虐殺を描いた映画は、1970年の『ソルジャー・ブルー』まで待たなければなりません。
 面白いかというと1948年の映画ですからそれなりで、西部劇の定番というところです。個人的には、ジョン・ウェインよりヘンリー・フォンダの方が魅力的です。

監督:ジョン・フォード
出演:ジョン・ウェイン ヘンリー・フォンダ シャーリー・テンプル ジョン・エイガー

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ジョン・フォード モホークの太鼓(1939米) [日記(2018)]

モホークの太鼓 [DVD]  原題、Drums Along the Mohawk。モホークとは「モヒカン刈り」の語源となった米先住民モホーク族のことです。ジョン・フォードと言えば西部を舞台に先住民の登場する西部劇というイメージですが、『モフォークの太鼓』は独立戦争を舞台に移民がアメリカを開拓する西部劇前史です。当然、ジョン・フォードの映画には無くてはならないインディアン・先住民も登場しますが、この映画の先住民は少し変わっています。


モホーク1.jpg モホーク2.jpg
 
こんな風俗です、銃はマスケット銃      ジャーマンフラッツ

 1976年ニューヨーク州オールバニーから始まります。開拓農民ギルバート(ギル、ヘンリー・フォンダ)とマグダレナ(ラナ、クローデット・コルベール)は結婚し、モホーク川にありギルの開拓地に向かいます。アメリカ独立戦争は1775年に始まりますから、まさに真っ最中。新居に向かう途中の宿屋で、眼帯をつけた隻眼の男が現れ、ギルの住む地方は王党派(トーリー)かと聞き、ギルは愛国派だと答えます。男は、先住民がイギリスと手を組むと聞いたと言います。イギリスを支持した植民地の住人は王党派と呼ばれ、独立支持派は愛国者と呼ばれていたようです。『モホークの太鼓』は、ギルとラナの夫婦愛を軸に、愛国派vs.王党派+先住民の戦いが描かれることになります。

 独立戦争ですから、愛国派vs.王党派が戦争することに疑問は感じませんが、何故先住民が王党派と組むのか?。
 アメリカ独立戦争には2つ側面、東部のイギリス支配に対する戦争と西部のインディアンとの戦争があり、西部の戦争では先住民がイギリスと同盟して戦ったようです。

 王党派+先住民がギルたちの村を焼き払い、住民はジャーマンフラッツの砦に避難します。王党派+先住民は砦を囲み、独立戦争の縮図が展開されます。シャーマンムラッツを検索すると「ジャーマンフラッツへの攻撃」がヒットし,米国では有名な事件のようです。

1778年9月17日、イギリス軍を支持するロイヤリストとイロコイ連邦インディアンの混成部隊がジャーマンフラッツ前線開拓地(現在のニューヨーク州ハーキマーも含む)を攻撃した戦闘である。攻撃はロイヤリストとイロコイ連邦の混成軍によって行われ、全体の指揮はモホーク族指導者ジョセフ・ブラントが執った。彼ら家屋や納屋を破壊し、作物を傷め、家畜は自分たちで使うために連れ帰った。
 イロコイ連邦とは、
北アメリカ・ニューヨーク州北部のオンタリオ湖南岸とカナダにまたがって保留地を領有する、6つのインディアン部族により構成される部族国家集団」(wikipedia)

 先住民による連合体があったことを初めて知りました。地図で重ねると、ジャーマンフラッツはイロコイ連邦の領域内です。

Iroquois_5_Nation_Map_c1650.jpg

 先住民にすれば、オレの国に白人が勝手に入ってきたということになるのでしょう。イギリスと先住民の同盟に尽力したジョセフ・ブラントなるモホーク族のリーダーも存在するらしいです。

 1939年の映画ですから、この辺りの微妙な関係の描写はなく、ギリス軍と先住民はあくまでも敵役です。ギルが援軍を呼びに行く決死の行動によって砦は救われ、アメリカ合衆国が誕生し13の星の入った星条旗が砦に掲げられて幕となります。「いかにも」と言ったアメリカ映画ですが、「王党派+先住民」が最大の収穫です。『モホークの太鼓』は、先住民が打ち鳴らす太鼓だと思っていたら、独立軍が打つ太鼓だったわけです。

監督:ジョン・フォード
出演:ヘンリー・フォンダ クローデット・コルベール ジョン・キャラダイン

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パスカル・メルシェ リスボンへの夜行列車 [日記(2018)]

リスボンへの夜行列車 リスボンに誘われて [DVD]  映画『リスボンに誘われて』の原作です。
 スイスのギムナジウムの教師ライムント・グレゴリウスが、職を捨てポルトガルのリスボンを目指す話です。社会的な地位もあり分別をわきまえた初老の男が、ある日突然、総てを捨てて旅に出るわけです。
 グレゴリウスは、ラテン語を教え、ギリシア語、ヘブライ語に堪能であり古い書物に耽溺しているところから「パピルス」とあだ名される、57歳の古典文献学者という設定です。

  グレゴリウスは、橋の上で今にも飛び込みそうな若い娘と出会い、彼女のポルトガル語の響きに魅せられます。ポルトガル語の本を探しに入った古書店で『言葉の金細工師』という私家版の随想録に出会い、止みがたい衝動に突き動かされ著者を訪ねてリスボンを目指して夜行列車に乗ります。問題を抱えているわけでもなく、人生に行き詰まったわけでもなく、ポルトガル語の響きと「随想録」を引き金に人生から「脱線」するわけです。グレゴリウスはポルトガル語の教本を買っていますから、この随想録が十分に読めたわけではありません。著者アマデウ・デ・プラドの中に何かを嗅ぎ付け、その人生をたどりたい、「パピルス」と呼ばれる自分の人生ではなくもうひとつ別の人生を生きてみたいという願望が、グレゴリウスをリスボンへ導いたのだと考えられます。

 小説の中に『言葉の金細工師』が組み込まれていますから、グレゴリウスがこれを読むことで読者もアマデウ・デ・プラドの人生を追体験することになります。そして、医師で詩人の他もうひとつの顔を持つアマデウ・デ・プラドの人生が明らかになります。

 リスボンに着いたグレゴリウスは、アマデウが既に死んでいることを知り関係者を探します。妹のアドリアーナとメロディ、元レジスタンスのジョアン、アマデウの教師であった神父と出会い、次第にマデウが姿を現します。

 ポルトガルというと、鉄砲、フランシスコ・ザビエル程度しか思いつきませんが、現代史では「カーネーション革命」があります。軍が独裁政権を倒し民主政府を樹立するという珍しいクーデターです。アマデウは、反体制派に暴行された秘密警察の長官の命を医師として助け、それが負い目となって革命に関わることになります。知識人と政治が主題となりそうですが、美貌のレジシタンス、エステファニア、アマデウの友人でエステテファニアの元恋人ジョルジェが現れ、ストーリーは革命下の恋と青春。

 自分のこの人生ではなく、あったかも知れないもう一つの人生、老境に差し掛かった人間が誰しも抱く慚愧?とも言うべき物語です。
 訳文のリズムに乗れず、読んだというだけです。ドイツ語圏で200万部、世界で400万部売れたそうです。新訳が出ればもう一度読んでみたいものです。

タグ:読書
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映画 ウィッチ(2015米加) [日記(2018)]

ウィッチ [DVD]   舞台は1630年のニューイングランド。メイフラワー号で清教徒たちが新大陸に渡ったのは1620年ですから、その10年後の話です。植民者のウィリアム一家の娘トマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)が魔女となり家族が崩壊する物語です。ホラーのジャンルに分類されそうですが、ホラーだと思って観ると当てが外れます。

 ウィリアムは法と教会を冒涜した罪で植民地を追放され、一家は荒野を開拓し新たな生活を始めます。アダムとイブ同様、ウィリアムはエデンの園を追われたことになります。楽園を追放されたアダムとイブは転落の道を歩み始めますが、『ウィッチ』では植民地という楽園を追放されたウィリアム一家のこれも一種の転落が描かれます。

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 長女のトマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)が末っ子のサムから目を離した隙に、サムが拐われます。異形のものが映りますから、サムの失踪は超自然の現象であることが示唆されます。サムの失踪から始まって、一家は転落の坂を転げ落ちます。ウィリアムは野兎を撃とうして銃の暴発で怪我をし、双子のマーシーとジョナスは、トマシンがサムを魔女に売り渡したと詰り、トマシンは自分は魔女であると双子を脅します。長男ケイレブとトマシンは、仕掛けた罠を見て回るうちに、ケイレブは森に住む女性(魔女?)に呪いをかけられ死にます。作物は枯れ獲物も獲れず、冬を迎える一家に飢餓が迫り、夫婦仲は険悪となって妻は植民地を出たことを悔やみ、新大陸に渡ったことを後悔し始めます。

 打ち続く災難や不幸に襲われた時、人は諦めて耐える(神が与えた試練であると考える)か、要因を他(祟り、悪魔)に求めるか、この2つではないかと思います。そういう意味で神と悪魔は表裏一体かもしれません。敬虔なキリスト教徒であるウィリアムと妻は、神は自分たちを見放す筈はなく、打ち続く災難の元凶を魔女に転嫁します。魔女を生み出すことによって心の均衡を得るわけです。姿の無い魔女は、(ウィリアムは、マーシーがトマシンを魔女だと言った言葉によって)トマシンの姿を借りて現れます。所謂「魔女狩り」は、ウィリアム一家に起こった出来事が、共同体で起こった現象だと思うのですが...。

 ウィリアムは山羊の角に刺されて死に、魔女トマシンに襲いかかった母親は返り討ちに会い、双子は行方不明となって一家は崩壊します。ひとり生き残ったトマシンは山羊=悪魔と契約し真性の魔女となります。契約の見返りが、食べ物や衣服という現世利益であることがこの物語を象徴しています。魔女などは存在せず、共同体を離れて孤立した家族が見た悪夢、たぶんこれが真相なのではないかと思われます。キリスト教に馴染みの薄い私には、分かりにくい映画です。個人的には、アメリカ版『遠野物語』です。

監督:ロバート・エガース
出演:アニャ・テイラー=ジョイ ラルフ・アイネソン ケイト・ディッキー


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絵日記 キーボード丸洗い [日記(2018)]

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 キーボードにビールをビールをぶっかけてしまい、一部のKEYが入力できなくなってしまいました。下のDELLのキーボードです。以前、電子機器の丸洗いという記事を読んだことがあったので、風呂のついでにシャワーをかけ、天日で乾かしたところ見事復活。溜まっていた綿埃もとれてきれいになりました。こういう荒療治もアリなんですね。

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映画 はじまりへの旅(2016米) [日記(2018)]

はじまりへの旅 [DVD]
 原題はCaptain Fantastic。6人の子供を、学校教育を受けさせず独自の方針で育てるベン(ヴィゴ・モーテンセン)一家の話です。その生活たるや、森に住む野生動物を弓矢で殺し、植物を育て、自給自足のサバイバル生活、ワイルド!。

 ベンは、格闘技を教え、ロック・クライミングやトレイルランで子供たちの身体を鍛えます。8歳の娘が読んでいるのがエリオットのゴシック小説。子供たちの読書は、ジャレド・ダイヤモンドの『銃、病原菌、鉄』、最新の宇宙理論、『カラマーゾフの兄弟』『ロリータ』と大人顔負け。おまけにドイツ語、フランス語、中国語など外国語が堪能で、エスペラント語まで話せます。長男は、高校にも行かず、プリンストンやブラウンなどの有名大学の合格通知を受け取っています。
 アメリカでは、義務教育を家庭で済ますことが出来るようです。数ヵ国語が話せ高い知性と教養を身に付けていますがコーラもホットドッグも知らない、これ何かおかしくなですか?。
 長男は偶然知り合った女性に熱くなって、いきなり結婚を申し込む始末。社会生活の基本的なルールが分かっていないわけです。子供は学校で社会性を学びますから、これではコミュニケーション能力を欠いた空気の読めない「伊之助」になってしまうんじゃないかと心配します。

 精神疾患で入院していた母親が自殺し、一家は葬儀のため、自家用バスで母親の実家への「旅」に出ます。途中で獲物を仕留めて食料を調達する計画がくずれ、一家の取った手段は「万引き」。ベンの理想、子供たちの知性と矛盾すると思うのですが、このエピソードを描くこと自体、ベンの教育を是認していない証でしょうね。
 ベンの妹宅に泊まった時のこと。ベンの教育に反対する妹に、ベンは「権利の章典」について妹の息子に質問します。高校生、中学生のふたりは答えられず、ベンの三女8歳のサージは完璧に答え、さらに自分の意見さえ付け加えます。俺の子供は、星をたよりに進み、食用植物、服の作り方、ナイフ一本で生きる術を知っている。心肺機能と筋肉は一流アスリート並みだとベンは見栄をきり、妹は、子供は学校に行き世界を知るべきだと反論します。
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 葬儀に現れた一家です。ベンは赤いジャケット、下のふたりの子供はコスプレ!。この格好でベンはキリスト教批判の演説をぶち、教会からつまみ出されます。母親は(仏教徒であるため)火葬し遺灰はトイレに流してほしいという遺言を残していました。母親の遺言を実行するため、ベンと子供たちは墓を掘り返し遺体を火葬にし遺灰をトイレに流します。

 話としてはこれだけです。森で自給自足の生活を送っている限りベンの理想は成り立ちますが、一旦外に出ると社会と衝突します。タイトルの『はじまりへの旅』とは、この理想と現実が衝突した後の世界への旅立ちだったわけです。この後、ベンは髭を剃り、長男は大学へいかずナムビア(アフリカ)を目指し、子供たちはそれぞれ学校へ行くことになります。ベンの理想は現実の壁の前で崩れ去ったのか?、難しいところです。本当に大事なのは、映画では語られないこの後の話です。

監督:マット・ロス
出演:ヴィゴ・モーテンセン フランク・ランジェラ キャスリン・ハーン

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絵日記 干し柿 [日記(2018)]

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タグ:絵日記
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macbook proのSSD化(2) (リベンジ編) [日記(2018)]

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 ネジ紛失対策             工具はドライバーとペンチ
 続きです。前回のTime MachineによるSSD換装では、Officeが立ち上がらないと不具合が発生しました。リベンジです。OSをHigh Sierraにしても、Time Machineによる復元ではOfficeだけが立ち上がらない。元のHDDでは問題ないわけですから、Time Machineによる復元が失敗しているようです。(Windowsでは上手く行った)とクローンHDDを作ってみました。macではソフトを使わずにこれが実現出来るようです。

以下備忘録
1)とりあえずTime Machineでバックアップ
2)SSDをHDDケースに入れてUSB接続
3)command + Rで立ち上げ →リンゴマークが出るまで押し続ける
4)macOSユーティリティが立ち上がる
5)ディスクユーティリティを選択
6)外部SSDを指定して[消去]
7)外部SSDを指定して[復元]
8)復元元をMacintosh HDを指定して →[復元]
9)復元が開始される
 →けっこう時間がかかる、失敗することもあるが再挑戦で成功する
10)SSDとHDDを入れ替える

 これでクローンSDD入macができました。立ち上げてみると、速い!→ところがまたもofficeが立ち上がらずあえなく敗退。検索すると対処法はあるらしいのですが、慣れないmacにこれ以上かかずり合うのはゴメンなので、持ち主にoffice365を買わせインストール。これで事なきを得ました。

 office2011が古いのかどうかよく分かりませんが、インストールし直しても何故かコケる。私のwindowsPCでは、office2003が元気に動いているのですが...。持ち主は仕事に使うのでマイクロソフトに拘っていましたが、OpenOfficeという手もあります。今回はじめて知ったのですが、macにはNumbersという表計算のソフトが組み込み済みなんですね。

 補足です。
1) officeを除けば、SSD換装は上記の方法で問題ないようです(macは素人なのでよく分かりませんが)。
2) HDD取り外し →SSD換装では、HDD付属の4個のネジを外すため専用のドラバが必要と聞いていたのですが、小型のペンチで十分対応可能です。
3) macbook proの裏フタのネジは2種類あります。↑のように、外した箇所が分かるようにセロハンテープで紙に貼り付けるといいです。紛失防止にもなります。

 もうmacは懲り懲り(笑。 →MacbookAirにwindows10を入れて欲しいという要望が来ました。

タグ:パソコン
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