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呉善花 反目する日本人と韓国人(2021ビジネス社) [日記 (2022)]

反目する日本人と韓国人 両民族が共生できない深いワケ  懲りずに呉善花氏の韓国論(エッセー)です。著者は20代で来日し、その後日本に帰化した韓国人ですから、体験に根差した日韓比較文化論は説得力があります。

 第1章:カルチャーとコミュニケーション行き違い
 第2章:美に対する感性の差異
 第3章:男と女と、家族の在り方
 第4章:韓国独自の歴史感

価値観
 著者は来日した頃に受けたカルチャーショックから書き始めます。

(電話をかけて)「鈴木社長様はいらっしゃいますか」と訊ねたところ、相手の女性が「鈴木は席を外しております」と答えました。「鈴木」と呼び捨てなのです。私は、「この鈴木社長は、社員の女性に舐められているに違いない」と思ってしまいました。

笑ってしまいますが、敬語の使い方が韓国と日本では真逆です。「孝」が優先される儒教の韓国で、身内に敬語を付けるそうです。

 また、日本人と韓国人の違いを端的に表すのが人間関係における「距離取り方」だそうです。

「私にはとても我慢できないことがあります。 仲良くなった韓国人の奥さんが家に遊びにくると、勝手に台所に入って、自分でコーヒーを入れて飲んでいるんです。」
・・・韓国人にしてみると、いつまでもお客様のふりをして居座ることが失礼なことなのです。・・・飲み物も自分で用意する。それができてこそ友達だ、と思っています。とても仲良くしたいと思っているのです。韓国人にしてみれば、んであげるということは強い親しみを表わしていることなのです。

 日本人にとっては、親しくなっても他人の家で勝手にコーヒーをいれて飲むことは礼儀をわきまえない行為です。韓国人は、親しくなったら遠慮しないことが礼儀となるらしい。日本には「親しき仲にも礼儀」という諺があるように、人間関係において「間」をとり、「察する」ことで必用以上に相手の領域に踏み込むこと避けます。韓国には、「間をとる文化」「察する文化」は無く、この辺りが日韓のすれ違いの根本原因だと著者は言います。

「もののあはれ」と「恨」
 日韓では美意識も大きく違います。

韓国人にとっての「美」は、人工的なもの、派手なものを指す傾向が強くあります。左右対象で、華麗で、整っている。磨かれた故にピカピカと輝いていたり、花が満開に咲いていたり、鮮やかな色彩だったり…そういったものを好む

だそうです。チマチョゴリの派手な色彩、金属の食器や箸を見ると、何となく理解できます。一方、日本人は派手なものやピカピカと輝いているものは好まず、左右非対象で整っていないものの中にも美を見出だします。高麗青磁や李朝白磁と「わび茶」の茶器の違いの様なものです。花にも美意識の違いが現れていると言います。日本の国花=桜と韓国の国花=ムクゲです。桜はパッと咲いてパッと散りますが、ムクゲは夏の間咲いては散りまた咲きます。韓国に、桜は散るから美しい感じる情緒はありません。

 まぁ好き嫌いの話ですが、著者はこの日韓の美意識の延長線上に日本の「もののあはれ」の文化と韓国の「恨」の文化を見ます。日本には、明暗、強弱、盛衰の影の部分や負の領域にも美や価値を見出だす心性があり、著者はこれを「もののあはれ」の文化だとします。枕の草子の冒頭「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」の山際の「際」の如きもの?。白黒のハッキリした韓国には、この曖昧領域に価値を見出す心性が無いとのことです。「もののあはれ」と「恨」を比較するのは?ですがナントナク分かります。では「恨」とは何か?。本書の解説より『韓国「反日民族主義」の奈落』にピッタリの文章があります。

「恨」は 、達成したいこと、達成すべきことができない「ダメな自分」の内部に生まれるある種の「くやしさ」に発している。・・・恨があるからこそ強く生きられる、恨をバネに生きることができるというように、本来は未来への希望のために強くもとうとするのが恨である。

この「恨」が伝統的な「侮日」と「侵略史観」と結びついて反日が生まれるというのが第4章「韓国独自の歴史感」です。「ダメな自分」の内部に生まれるある種の「くやしさ」をぶつけられても困るのですが…。

 儒教では何よりも「孝」が尊ばれ、宗族社会である韓国では、孝の第一は血脈が次世代に受け継がれることです。結婚せずに亡くなると、亡くなった人の「恨」がこの世に留まり一族に禍を為すと信じられ、独身のまま亡くなった男女を親族が結婚させるそうです。にわかには信じ難い話ですが、役所はこの婚姻届を受け付けるというのです。という話が第3章「男と女と、家族の在り方」。体験に根ざした韓国論ですから、面白いです。

 ウクライナ戦争で台湾海峡が喫緊の課題となりIPEFもあって、「価値観を共有する国」と云うタームが度々取り上げられます。本書は、異なる文化を持つ民族が価値観を共有できるのか?、という本で、タイトルは『反目する日本人と韓国人 両民族が共生できない深いワケ』です。

当blogの呉善花氏
スカートの風(1997角川文庫)
侮日論 (2014文藝春秋)
韓国を蝕む儒教の怨念 (小学館新書2019)
攘夷の韓国 開国の日本  (1996年文藝春秋)
韓国併合への道 完全版 (2012文春新書)

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