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映画 アウトブレイク(1995米) [日記 (2020)]

アウトブレイク [DVD]  原題”outbreak”。感染症が東アジを席捲しています。映画の世界での”パンデミック”は『バイオハザード』とゾンビものです。小説の方で有名なのはカミュの『ペスト』。目に見えないものが人間の想像力を掻き立てるのが”ホラー”だとすれば、目に見えるゾンビよりウィルスのほうがホラーとしては一枚上手です。ペスト菌は中世ヨーロッパの人口の1/3を殺し、20世紀初頭のスペイン風邪は数千万人の人間を死に追いやったということです。パンデミックを映画や小説にすると、ウィルスと戦う人間、パンデミックの環境で相克する人間のドラマを描くことになります。

 1960年代にアフリカ、ザイールで出血熱が流行し、米軍は村一つを生者ともどもに焼きウィルスの拡散を食い止めます。これがマクラです。時は現在に移り、またもザイールで出血熱が発生、「アメリカ陸軍感染症医学研究所」の大佐サム・ダニエルズはアフリカに飛びます。陸軍が感染症を研究しているのですから生物兵器と紙一重です。このサムが感染源を突き止め、ワクチンを作ってパンデミックを食い止めるというのがストーリーです。サムの上司フォード准将(モーガン・フリーマン)とこの研究所の長マクリントック少将(ドナルド・サザーランド)、「アメリカ疾病予防管理センター」という政府機関のドクター・ロビーが登場します。サムとロビーは離婚調停中?という設定です。

 ペットショップがアフリカから猿を輸入します。この猿が出血熱のウィルスの宿主で、猿に引っかかれた人間から出血熱はアメリカの小さな町に拡散します。SARSの感染源も一時ハクビシンだと言われ、今回のコロナウィルスはコウモリだという話しもありますから、アフリカの可愛い猿というのはリアリティ十分。防護服に身を固めた医師が登場するに至っては、時期が時期だけにこれもリアリティあり。
 町を焼き払ってウィルスの拡散を防ぐ作戦がマクリントック少将とフォード准将によって立案されます。この民間人を皆殺しにしても目的を遂げるという発想はアメリカの通弊かもしれません。映画では大統領の許可もとっている!。(アングロサクソはマズイが)アフリカのネグロイドを爆弾で焼き殺しても、黄色人種の上に原子爆弾を落としても罪の意識を感じないというわけでしょう。
 もうひとがワクチン。陸軍は、アフリカで出血熱が発生した時このウィルスを持ち帰りワクチンまで造っています。「アメリカ陸軍感染症医学研究所」は、防疫とともに生物兵器の研究開発機関でもあったわけです。それを隠蔽するため、マクリントック少将はワクチンを使わず街の殲滅を優先します。今回のコロナウィルスも、武漢市近い生物兵器研究所から漏れたのではないかと、真しやかに報道されています。今回の患者数と死者の数字が信用できないと米政府は懸念していますが、報道管制はウチがやるなら当然オタクもやっているだろう、ということでしょう。

 映画は、サムはがヘリで爆弾を積んだ爆撃機を阻止し、陸軍のワクチンを使って罹患したロビーを救い元のサヤに収まるというハッピーエンドで終わります。街ひとつを爆弾で焼き払うというのは論外ですが、クルーズ船に閉じ込めて拡散を防ぐという今回の出来事はリアリティがあります。きっとハリウッドは放っておかないと思います。パンデミックとクルーズ船に比べると、楽器の箱に入って逃亡したゴーンさんの逃避行などお笑い草と言わざるをえません。 映画を作るなら、ウィルスの漏洩、隠蔽、クルーズ船というところでしょう。豪華客船と映画といえば名作『ポセイドン・アドベンチャー』の伝統があります。その時は、安倍晋三さんも是非出演していただきたいものです。

 監督は、『Uボート』のウォルフガング・ペーターゼンです。ハリウッド映画ですから、『Uボート』に比べるとリアリティが希薄です。

監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ダスティン・ホフマン レネ・ルッソ モーガン・フリーマン ドナルド・サザーランド ケヴィン・スペイシー

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