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映画 オリジナル版 恐怖の報酬(1953仏) [日記 (2020)]

恐怖の報酬 CCP-174 [DVD]
 『恐怖の報酬』は、1953年のフランス映画と、1977年のリメイクのアメリカ映画があります。リメイク→オリジナルと観ました。イヴ・モンタン主演のオリジナルの方です。油田火災を消火するためにニトログリセリンを運ぶ、という大筋では変わりありませんが、フランス映画とアメリカ映画の違いがあって面白いです。オリジナルは、危険な仕事で大金を掴み南米を脱出したいという4人の熱い思いが描かれ、レメイクの方はサスペンスが前面に出ています。

 本国を食い詰めて南米ベネズエラに流れて来たフランス人のマリオ(イヴ・モンタン)、ジョー(シャルル・ヴァネル)とイタリア人のルイージ(フォルコ・ルリ)、ポーランド人のビンバ(ペーター・ファン・アイク)の4人。ビンパは、ナチスにこき使われたと言い、演じる俳優がポーランド人ですからポーランド人としておきます。4人は仕事に就けず、貧しいベネズエラからの脱出を夢見て街の安酒場に入り浸る日々。
 マリオとジョーが出会うシーンです。マリオの”Valentine”(だそうです)の口笛にジョーが口笛でそれに和し、フランス人同士であることを知って意気投合します。ラストでも、瀕死のジョーを励ますためにパリのナントカ通りの角のタバコ屋の話を持ち出します。イタリア人のルイージは国に帰って家を買って結婚したいと言い、ポーランド人のビンバは、ヒゲを剃りながら父親は(ナチスの?)処刑前夜に風呂に入ったという清潔好きな家系だと言います。母親に手紙を書いて自殺するイタリア年のエピソードもあり、異郷に流れて故国を想う望郷サスペンス?のような映画です。

 その4人に、油田の火災を消火するためニトログリセリンを運ぶ仕事が舞い込みます。報酬が一人2000ドルといういう求人に応募者は殺到しますが、ニトロを運ぶと知って、人の命を何だと思っているんだ!と帰る人物も。石油会社はベネズエラにたむろする外国人の命など軽いわけです。この会話は英語ですから、石油会社はアメリカ資本ということになります、なにしろフランス映画ですからw。
 で4人は油田に向い、トラックでニトロを運ぶというスリルがキモであるところに変わりはありません。違っているのは、

リメイク:途中に吊り橋があったり倒木があったりで、まるでジャングルの道を走る荒唐無稽。ジョーは反政府ゲリラとの銃撃戦では死にます。人物設定は、マリオは博打のアガリを強奪したマフィア、ジョーは破綻した銀行家、ルイージはナチスの残党狩りの殺し屋、ビンバはパレスチナ・ゲリラ、と国際色豊かで多彩。

オリジナル:吊り橋も無く普通の国道をトラックで走り、ニトロを使って爆破する倒木もオリジナルでは巨大な落石、と現実味があります。ゲリラは登場せず、ジョーはパイプラインから漏れた原油溜まりから脱出する時にトラックに巻き込まれて命を落します。リアリティという面ではオリジナルに分があります。
人物設定は、フランス、イタリア、ポーランドの食い詰め者。マリオを慕う現地人のリンダが登場するのもオリジナルだけ。リンダの存在は中途半端なのですが、最後には辻褄があってきます。

 マリオはニトロを無事運び終えて、ジョーの分と合わせて4000ドルを手にして帰路につきます。ラストで、リンダはマリオの無事を知った嬉しさでダンスに興じ、そのダンス音楽に合わせるようにマリオはトラックは蛇行を繰り返し、崖から墜落して命を落とし”fin”。

 どちらを取るかです。今となっては古色蒼然たる映画ですが、4人の個性が前面に出るオリジナルの方が好きです。

監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演:イヴ・モンタン、シャルル・ヴァネル、フォルコ・ルリ、ペーター・ファン・アイク

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絵日記 ルリシジミ? [日記 (2020)]

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映画 リメイク 恐怖の報酬(1977米) [日記 (2020)]

恐怖の報酬【オリジナル完全版】≪最終盤≫ [Blu-ray]  原題”Sorcerer”、魔術師。 1953年のイヴ・モンタン主演のフランス映画のリメイクだそうです。元ネタのタイトルが”Le Salaire de la peur”、「恐怖の報酬」ですから、リメイクされてなぜ「魔術師」になったのか?。映画としてはごくシンプルで、多額の報酬に釣られた命知らずの4名が、トラックで”ニトログリセリン”を運ぶサスペンスです。ちょっとした衝撃で爆発するニトロが何時爆発るのか!→ハラハラドキドキ、これに尽きます。

 映画冒頭、フランスの銀行家とマフィアが登場します。銀行家は事業に破綻しマフィアは賭博のアガリの強奪に失敗、ふたりは南米の某国に逃亡します。軍事政権のようですからチリ?。
 油田火災が起き、消火のためには爆破するしかない!ということになり、油田にニトログリセリンを運ぶことになります。ニトロの貯蔵場所から油田迄は500km、ちょっとした衝撃で爆発するニトロを誰がどうやって運ぶか?。冒頭の、食い詰め者の元銀行家セラーノ(ブリュノ・クレメール)とマフィアのドミンゲス(ロイ・シャイダー)が登場し、これもパレスチナから逃れて来た過激派のカッセムとナチス残党狩りの殺し屋ニーロ(フランシスコ・ラバル)は、高額の報酬に釣られ、トラックによるニトロ運搬を請け負います。
 田舎町にまともなトラックは1台もなく、4人は油田までの500km、南米の悪路をニトロに衝撃を与えず運ぶトラックの調達から始めます。ボロトラックを廃品で補強し、ミンゲスとニーロ、セラーノとカッセムの2組が2台のトラックに分譲して油田を目指すことになります。2台用意したのはリスク回避。2台のトラックは南米の大地をひた走るわけです、ここからが本番。

 南米ですから舗装道路を走るようにはいかず、次々と障害が立ちはだかります。

 1)まず吊り橋が登場しまします。雨のなか半分朽ちかけた橋をひとりが誘導、ひとりが運転、タイヤが橋の板を踏み割りあわや川に転落!とスリル満点。2台目はウィンチを使い、渡りきったところで綱がきれて吊り橋は川に落ちという定番のシーンです。実写ですからなかなかワイルドです。2)次に現れるのが道を塞ぐ巨大な倒木。ここはパレスチナ過激派のカッセムの出番。カッセムは、手製の時限装置を考案しニトロを使って倒木を爆破。吊り橋もそうですが、改造トラックに手製の爆弾と、限られた条件を逆手に取って生き抜く男達の逞しさです。3)さらにミンゲスとニーロの前に障害が現れます。反政府ゲリラがトラックを止め積荷を奪おうとします。ここは銃器のプロ殺し屋ニーロの出番。ゲリラを皆殺しにしますが、ニーロも撃たれて落命。油田までは後少しというところでセラーノとカッセムのトラックは道路を踏み外して谷に墜ちて爆発炎上。ひとり残ったミンゲスが油田を目指すことになります…。

 現在であればCGで処理できますが、1977年の映画ですからすべて実写。この辺りを楽しむ映画です。実写だと思えば、映像もストーリーもはかなか迫力があって楽しめます。wikiによると、スティーブ・マックイーンの起用も検討されたようですが、(ロイ・シャイダーも悪くないですが)マックイーンとなれば伝説の映画となったことでしょう。こうなるとイブ・モンタンのオリジナルも観たいですね。

監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ロイ・シャイダー、ブリュノ・クレメール

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木守柿 (2) [日記 (2020)]

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 柿の木もすっかり葉が落ちて、木守柿に毎日のように鳥がやってきます。臆病なメジロもだんだん大胆になって、カメラを向けても逃げません。

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三島由紀夫 金閣寺 ② 柏木 (1960新潮文庫) [日記 (2020)]

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 今日11月25日は憂国忌です。 『金閣寺』の主人公は何故金閣に放火したのか?という、「倒叙ミステリ」の続きです。

柏木
 大谷大学に進学した溝口は、「内翻足」の障害を持つ柏木と出会います。柏木は吃音症の溝口の分身ともいえます。柏木は、吃音症を自分と外界を遮る障碍と考え内向する溝口の対し、内翻足を己の中で思想化し、内翻足を武器に外界をねじ伏せようとします。

 柏木の語る「童貞喪失の物語」は面白いです。柏木に愛を告白する美しい娘が登場します。内翻足こそが自分の個別性(個性)であり「存在理由」と考える柏木は、

彼女がもし他人をでなくこの俺を愛しているのだとすれば、俺を他人から分つ個別的なものがなければならない。それこそは内飜足に他ならない。
 だから彼女は口に出さぬながら俺の内飜足を愛していることになり、そういう愛は俺の思考に於て不可能である。もし、俺の個別性が内飜足以外にあるとすれば、愛は可能かもしれない。

 娘が他の誰でもなく柏木を愛しているとすれば、他人にない柏木の何かを愛している筈だ。柏木にとって他人と自分を分かつ個性とは内翻足ですから、娘は内翻足を愛しているのだと考えます。内翻足を愛することは、柏木を愛したことにはならないということです。もし、内翻足ではなく別の個性を愛しているとすれば、娘の愛を認めざるを得ない。

だが、俺が内飜足以外に俺の個別性を、他の存在理由を認めるならば、俺はそういうものを補足的に認めたことになり、次いで、相互補足的に他人の存在理由をも認めたことになり、ひいては世界の中に包まれた自分を認めたことになるのだ。愛はありえない。俺はくりかえし言った。「愛していない」と。

  もし娘が内翻足以外の別の何かを愛しているとすれば、その何かとは世間一般の常識的な「世界」に他ならず、そんな世界を認めることは自己の「存在理由」を放棄することになる、と柏木は考えます。
 面白いのは、柏木は、娘の愛はその「並外れた自尊心」であることを見抜いていることです。つまりありきたりの男性には飽き足らず、殊さらに「不具」の柏木を愛することで自尊心を満足させているというのです。娘は内翻足を愛していると言ってもいいですし、自尊心を愛していると言ってもいいわけです。娘は柏木の同類かも知れません。で、俺はくりかえし言った。「愛していない」、ということになります。

 柏木の欲望が頭をもたげ、柏木は身体を投げ出した娘の前で不能となります。内翻足が娘の美しい脚に触れると考えただけで不能となったのです。柏木は言います、欲望の遂行、つまり娘を抱くことによって「愛の不可能を実証しようとした」が、肉体がこれを裏切ったのだと。

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カリンシロップに挑戦 [日記 (2020)]

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 アクを取りながらコトコト      濾すとこんな色に
 カリン酒を作って残ったカリンをシロップにしてみました。webを見るとカリンシロップは、a)カリン酒のアルコール抜きと、b)煮出し、のふたつの方法があるようです。a)は2~3ヶ月かかるようなので、すぐ飲めるb)をやってみました。いろんなwebを参照すると、

 1)4つ切りにして種とワタを除き、皮をむいてイチョウ切り。
  →実が硬いので、怪我防止に軍手必須です。
 2)ナベに皮と種を入れて煮る。
 3)これを濾して、イチョウ切りにした実を入れ、ひたひたに水を入れ煮る。
  →水の量と煮る時間はテキトー w。『檀流クッキング』を読むと、すべてaboutでokです。
 4)アクが出るので、こまめに取る →とてもいい香りとは言えません。
 5)実をザルに上げ、このエキスに砂糖を入れて煮詰める →ここでもアク取り。
 6)瓶詰めして冷蔵庫に保管、完成。
  →茹でた実を味見してみましたが、渋味があって酸っぱくて不味い!。シロップはかなり酸っぱいです。
 @どうせ皮も種も煮るのですから、皮付きのままイチョウ切りでいいと思います。

 実験台は、喉の弱い家族、効くかどうかは?。熱を加えるとビタミン等が壊れると思うので、a)の氷砂糖による抽出の方が良さそうに思います

【追記】
 シロップを渡した娘からメールが来ました、紅茶に入れると美味しいそうです。

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岸和田 大威徳寺の紅葉 [日記 (2020)]

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 自宅から車で30分ほどの大威徳寺に紅葉見に行ってきました。このお寺のいいところは、拝観料が無料。室町時代の多宝塔は重文です。三連休は京都・嵐山が”密”だったそうですが、ローカルなお寺なのでわりと空いてました。
 久々に行楽地へ行ったのですが、アチコチでカメラを構える人。大半がスマホで、高級?デジカメを構えるマニアはチラホラ、コンデジは皆無です。これではデジカメ業界は衰退する筈です。家にはデジカメがころがっているのですがこの日は持参せず、↑の画像もスマホ。

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高木徹 ドキュメント 戦争広告代理店 (2005講談社文庫) [日記 (2020)]

ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫) ユーゴスラビア紛争.jpg
 国家をクライアントに、国際世論を動かす「ロビー活動」のドキュメントです。「広告代理店」が国際世論を左右することができるのか?。広告が人の消費行動を一定の方向に導くものなら、広告によって世論を一定の方向に導くことができるはずです。
 「広告代理店」は、ボスニア・ヘルツェゴビナをクライアントに、広告代理店がセルビアを悪者に仕立て上げ、ユーゴスラビアを国連から追放するという離れ業をやってのけます。ロビー活動を描いた『 女神の見えざる手』という映画がありますが(この映画も面白いですが)、映画より数倍面白い、事実は映画よりもドラマチックです(講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメン賞W受賞)。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争
 「ユーゴスラビア連邦」は、もともとチトーに率いられた社会主義国です。マケドニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、スロベニア、モンテネグロの6つの民族からなる連邦国家は、チトーの死とそれに続く冷戦構造の崩壊によって民族独立へと向かいます。まず1991年にスロベニアが独立、次にクロアチアが独立します。

これに対し連邦政府と連邦軍は、軍事力で独立を阻止しようとし、連邦軍と各共和国軍との間で戦闘が始まった。そのころの連邦政府は、実態としては各民族共同の政府ではなく、連邦首都ベオグラードがあるセルビア共和国の大統領こロシェビッチらセルビア人によって牛耳られていた。したがって、この紛争は、セルビア人中心で運営される「ユーゴスラビア」の版図を維持したいセルビア人と、そこからの脱却をはかる各民族との戦い、という構図になっていた。

 スロベニア共和国はその人口のほとんどがスロベニア人で占められ、クロアチア共和国もクロアチア人が人口の90%を占めています。ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(以下ボスニア)は、

 全人口の4割強を占めるモスレム人(イスラム教徒)、3割強セルビア人、2割のクロアチア人

という多民族国家です。4割を占めるモスレム人が国民投票でボスニア・ヘルツェゴビナの独立を決め、これにセルビア人とクロアチア人が反発し、セルビア人は同じ民族の隣国セルビア共和国の軍隊の支援を受け、モスレム人に対抗します。モスレム人vs.セルビア人というのが「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」の構図です。ボスニアの内乱にセルビアが加担し、20万人の市民が犠牲になったという民族紛争です。

マーケティング
 ボスニアは、セルビアの非を訴えるために外相ハリス・シライジッチを先進国に派遣し、シライジッチが広告代理店(PR会社)ルーダー・フィン社のジョン・ハーフと出会ったことで、『ドキュメント 戦争広告代理店』が始まります。
 ルーダー・フィン社は、スイス政府、ヨルダン政府、ハンブルグ市、ブラジルの飛行機メーカーなどのPRを引き受ける企業で、普通の「広告代理店」とは少し異なります。 ハーフは、言います、

私たちの仕事は、一言で言えばメッセージのマーケティング"です。マクドナルドはハンバーガーを世界にマーケティングしています、それと同じように私たちはメッセージをマーケティングしているんです。ボスニア・ヘルツェゴビナ政府との仕事では、セルビアのミロシェビッチ大統領がいかに残虐な行為に及んでいるのか、それがマーケティングすべきメッセージでした。

ルーダー・フィン社は、ボスニアをクライアントとしてセルビアを侵略国に仕立て上げ、国際世論をボスニアへと誘導します。これは、ボスニアという国を国際マーケット売り出すという”マーケティング”にほかならないと言うのです。
 ハーフは、メディア集めてシライジッチの記者会見をセットし、有力議員、国務省の官僚に働きかけ、「ボスニアFAX通信」を発刊します。圧巻は、

マーケティングには、効果的なキャッチコピーがつきものだ。それが「民族浄化」だ。

今では誰でも知っているこの「民族浄化」という言葉は、ボスニア紛争の象徴としてハーフとシライジッチによってを世界に発信されたのです。セルビア人のボスニア人虐殺は、ナチスの「ホロコースト」とも言えますが、ハーフは、ユダヤ人に配慮してホロコーストという言葉を避けバルカン半島で使われる民族浄化という言葉を選択します。民族浄化は容易にホロコーストを連想させ、ハーフとボスニア政府は、あらゆるメディアで民族浄化のキャンペーンを行い拡散させます。

民族浄化、というこの一つの言葉で、人々はボスニア・ヘルツェゴビナで何が起きていたかを理解することができるのです。『セルビア人がどこどこの村にやってきて、銃を突きつけ、三十分以内に家を出て行けとモスレム人に命令し、彼らをトラックに乗せて……』と延々説明するかわりに、一言“ethnic cleansing(民族浄化)”と言えば全部伝わるんですよ。

まさにマーケティング。このキャッチコピーはメディアに露出し遂には国務省までも使うようになります。これによってセルビアはホロコーストを行うナチスの如き悪者となり、ボスニアに同情が集まります。
 追い打ちをかけたのが、アメリカのメデアによる「強制収容所」報道です。強制収容所はアウシュビッツなどの「ユダヤ人絶滅収容所」をストレートに連想させます。ハーフは、すかさずこの記事を「ボスニアFAX通信」に載せ、メディアは「強制収容所」を再生産し世界に拡散します。

 セルビア排除のためには国連軍(実質アメリカ軍)の駐留が必要です。石油という資源のある湾岸戦争に米軍が介入することはアメリカの国益沿ったものですが、バルカン半島の紛争に米軍が介入するためには大義名分が必要です。このためにハーフが採ったマーケティング戦略が、ボスニア紛争は「民主主義のための戦い」であるという脚色が施されます。民主主義という言葉は、アメリカ国民を納得させる大義名分としてこれ以上のもはありません。民族浄化、強制収容所、民主主義が揃いますから、国連、アメリカが介入しボスニアはPR作戦に勝利します。セルビア大統領のミロシェヴィッチは、2000年に失脚し戦争犯罪の嫌疑で、ハーグの「旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷」に引き渡されます。

国務省の官僚が言うように、

ボスニア紛争の本質は(セルビア人勢力が一方的にボスニア・ヘルツェゴビナを侵略したのではなく)一つの国の中でおきた内戦だったのです。

セルビアによるモスレム人の強制収容所の存在は実証されず、ボスニアにもセルビア人の捕虜収容所があり、モスレム人によるセルビア人殺戮はあったのですから、内戦と言えます。内戦が「セルビアによるボスニア・ヘルツェゴビナ侵略」となったのは、広告代理店のマーケティングです。セルビアにはルーダー・フィン社のハーフのような人物がいなかっただけです。セルビアはボスニアのPR作戦で負けたことになります。

 久々にノンフィクションを読みました。映画や小説より面白いです。 →オススメ。

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メタセコイアの紅葉 [日記 (2020)]

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メタセコイアには雌雄があるようです、左がたぶん♂。

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映画 これが私の人生設計(2014伊) [日記 (2020)]

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 原題” Scusate se esisto!”、は「生きていてすみません」だそうです。たまにはこういうドタバタ・コメディーもいいです。「生きていてすみません」が何故「人生の設計図」になるのかというと、ヒロインが建築士だからでしょうね。

 セレーナ・ブルーノ(パオラ・コルテッレージ)は建築士としてイギリス、アメリカ、中国で修行して母国イタリアに帰ってきます。建築士として就活しますが、男の職場の建築士は女性にとって狭き門。泣く泣くインテリアデザイナーのアルバイトやレストランのウェイトレスをし、節約のため屋根裏に住んで就職活動中。イタリアでは、就業規則に「妊娠したらクビ」という一項が入り、職業で女性は差別されているようです(ホントかどうかは?ですが)。建築士セレーナの就活孤軍奮闘の物語です。

 セレーナがアルバイトをするレストランのオーナーのフランチェスコ(ラウル・ボヴァ)が、イケメンでバツイチと絵に描いたよなイタリヤの「ちょい悪オヤジ」。フランチェスコもセレーナの語学力と接客が気に入り、何かと親切。セレーナも魅力的なちょい悪オヤジにゾッコンとなりモーションをかけますが、一向になびいてきません。ここまでは普通の映画ですが、フランチェスコがゲイであったことが分かりストーリーは「破調」となります。

 やっぱり建築士だ!とセレーナは集合住宅の共用スペースのコンペティションに応募します。女性では落とされる!と考えたセレーナは、建築家「ブルーノ・セレーナ」(姓名を逆にした)と男性名の秘書だと偽って応募します →セレーナの企画が選ばれ、著名な設計事務所に所属することになります。

 設計事務所と「ブルーノ・セレーナ」がTV会議をすることになり、困ったセレーナはフランチェスコを建築士に仕立て上げます。フランチェスコは建築なんぞはチンプンカンプン、セレーナがリモートで裏で操ります。設計事務所の代表を影で操るのも女性秘書。男尊女卑のイタリアで、いくら男性が威張っても裏で糸を引くのは女性だ!というわけです。
 フランチェスコは、ナンボなんでも屋根裏の生活では仕事はできないだろうと彼女を自宅に引き取り「同棲」が始まります。フランチェスコの住居には次々とゲイの男性が現れ、うら若き女性とゲイの珍妙な同棲生活、このあたりのクスグリがコメディの中心。
 イタリアではヒットしたようです。けっこう笑えるオススメです。

監督:リッカルド・ミラーニ
出演:パオラ・コルテッレージ、ラウル・ボヴァ

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