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東亜日報も面白い [日記 (2021)]

 韓国の三大紙は朝鮮、中央、東亜日報です。朝鮮日報中央日報は「面白い」とblogに書いたのですが、東亜は面白い記事が見つかりません。やっと見つけました、これで3紙揃った...。

 産経が東亜の記事を引用して「韓国軍「日本が竹島侵攻」シナリオ」という記事を書いています。東亜の日本語サイトには無く、ハングルのサイトに(隠して)ありました。中身は、

韓国軍が島根県・竹島(韓国名・独島)に自衛隊が「侵攻」するシナリオと、対応する韓国側の戦力などを明示した内部文書を作成し、昨年12月に国会に報告していた(産経2/11)

というものです。東亜によると、韓国軍が日本の兵器研究家が書いたシナリオを利用して予算獲得のために作った文書だそうです。自衛隊の竹島侵攻は、1)韓国に通知して先遣部隊を竹島の東島に上陸させ、2)イージス艦1隻と潜水艦2~4隻、F-15などの戦闘機と早期警報統制機などを動員して制海権を確保、3)輸送艦と輸送ヘリで2個小隊を上陸させるというものです。韓国軍はF-15Kなどの戦闘機とイージス艦、ミサイルなど陸海空軍の主力兵器で対抗する、らしい。

軍が事実かどうかが不明確なシナリオに基づいて、最新の戦略資産の導入の必要性を国会に報告したことを自ら認めたわけだ。・・・軍はこの文書に「自衛隊独島奪還作戦シナリオ」というタイトルを付けた。まるで独島が日本の地であるかのように「独島奪還」という表現を使ったのは不適切だという指摘が出ている。

前段はその通りなんでしょうが、後段はいかにもという書き振りで、取ってつけたような。

 早速防衛大臣が抗議していますが、青瓦台はダンマリ。これ意図的なリークじゃないかと思います。朝鮮日報、中央日報にリークすれば叩かれる、ハンギョレではミエミエ、保守だが幾分穏健な東亜日報というあたりが面白いw。
 韓国は国防白書で、日本をパートナーから隣国に格下げ、今回の自衛隊の竹島侵攻シナリオをリーク、北朝鮮が日本の竹島領有権主張を非難、と連携がとれてます。日本は仮想敵国だということでしょうね。一方で、外交白書では隣国→「我々の一番近い隣国」と格上げしています。揺さぶったり微笑んだり、忙しいことです。

 件の記事は東亜のスクープですから、朝鮮、中央は沈黙を護っています。日本のメディアはnetを含め読売、毎日、時事と反応していますが朝日はダンマリ。共同通信の配信ですから記事にしてもよさそうなもののですが、朝日はこと韓国に関しては(慰安婦の誤報もあって)ナーバスになっているんでしょうか?。

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赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録(2019岩波書店) ④ [日記 (2021)]

ナウシカ考 風の谷の黙示録続きです。
シュワの墓所
 ナウシカは蟲使いを伴って墓所に向かい、巨神兵オーマの火を使って墓の扉を開けます。墓所から現れたのは墓の主に使える神官たち(ヒドラ)。神官は墓の主が記す文書を解読し、外部(土鬼の神聖皇帝)に伝えるのが仕事。墓の主とはこの文字、生きて脈動する「文字」だったのです。(余談ですが、ジェフ・ヴァンダミア のSF『全滅領域』にもこの生きた文字が登場します)
 墓所の主 主に仕えその言葉を伝える神官(教団)→神が選んだ神聖皇帝という支配という構図は、神→キリスト教会→皇帝という構図そのもの。生きた文字とは聖書に相当します。

 著者はレヴィ=ストロースを援用し、文字とは、搾取と支配の源泉だといいます。

文字が権力を分泌する、文字による歴史叙述が、王権の正統性を保証する拠りどころとなる。そんな文字と歴史のよじれた関係が浮き彫りになる。それが、ほかならぬシュワの王都の中枢の、死のにおい垂れこめる墓所に秘め隠されていたのだ。
・・・かれらは、いつだって、誇らしげに、わが身に顕われる文字を読み、その秘められた意味を探りほどき、その技を伝えることを、それゆえに、自発的な隷従を要求する。そうして聖なる文字は、解放の時の訪れを約束しながら、ひそかに搾取と支配と虚偽を社会の隅々にまで導き入れるにちがいない。マンガ版『風の谷のナウシカ』の射程は、十分にそこに届いていたと、あらためて思う。p223

 著者によると、ナウシカと墓所の主との対話は、三幕から成り立っているといいます。この長い物語のクライマックスです。

【第一幕】
墓所の主は言います、
 永い浄化の時にそなた達はいる
 やがて腐海の尽きる日が来るであろう、青き清浄の地がよみがえるのだ
 浄化のための大いなる苦しみを罪への償いとして、やがて再建への輝かしいが来よう
 子等よ 私達はこの墓を絶頂と混乱の時代に英知を集めて建設した、
 その朝が来た時、世界の再建に力になるようにと
 わが身体に現われる文字を読みその技を伝えるがよい すべての文字が現われた時その日が来る、苦しみがおわる日が…(コミック7巻-195)

ナウシカは答えます、
 私達の身体が人工で作り変えられていても、私達の生命は 私達のものだ。生命は生命の力で生きている
 その朝が来るなら 私達はその朝に向かって生きよう
 私達は血を吐きつつくり返しくり返しその朝をこえて飛ぶ鳥だ!
 生きることは変わることだ。王蟲も粘菌も 草木も人間も 変わっていくだろう、腐海も共に生きるだろう
 お前は変われない、組みこまれた予定があるだけだ
 私達はお前を必要としない(7-198)

オマエの支配は受けないオレたちはオレたちでやっていくと、被創物(人間)が生命を弄んだ(遺伝子操作をした)創造主(神)に反旗を翻します。

【第二幕】
墓所の主:清浄な世界が回復した時 汚染に適応した人間を元にもどす技術もここに記されてある
 交代はゆるやかに行われるはずだ 永い浄化の時はすぎ去り
 人類はおだやかな種族として新たな世界の一部となるだろう
 私達の知性も技術も役目をおえて、人間にもっとも大切なものは音楽と詩になろう
ナウシカ:神というわけだ お前は千年の昔 (旧人類に)沢山つくられた神の中のひとつなんだ
 そして 千年の間に肉腫と汚物だらけになってしまった
 絶望の時代に理想と使命感からお前がつくられたことは疑わない
 その人達はなぜ気づかなかったのだろう 清浄と汚濁こそ生命だということに
 苦しみや悲劇やおろかさは 清浄な世界でもなくなりはしない それは人間の一部だから……
 だからこそ 苦界にあっても 喜びやかがやきもまたある(7-199)

 ナウシカたち新人類は、汚染された地球で生きらるように改造されています。浄化された地球では生きられず、再改造する必要があります。汚染に適応した人間を元にもどすとはこのことを指します。人間は「火の七日間」によって地球を滅ぼしました。人間の愚かさ知る墓所の主は、人間をおだやかな種族として再生しようとします。著者の言葉を借りれば、これは「人類去勢計画」。去勢された人間には戻らない!清浄と汚濁にまみれてこそ人間だ、命だ!とナウシカは言うのです。

【第三幕】
墓所の主:おまえにはみだらな闇のにおいがする・・・わたしは暗黒の中の唯一残された光だ
 娘よ、お前は再生への努力を放棄して人類を亡びるにまかせるというのか?
ナウシカ:その問は滑稽だ、私達は腐海と共に生きて来たのだ 滅びは私達の暮らしの一部になっている
墓所の主:生まれる子はますます少なく石化の業病からも 逃れられぬお前達に未来はない
 人類はわたしなしには亡びる、お前達はその朝を こえることはできない
ナウシカ:それはこの星がきめること…
墓所の主虚無だ! それは虚無だ! お前は危険な闇だ生命は光だ!
ナウシカちがう いのちは闇の中のまたたく光だ!、すべては闇から生まれ闇に帰る、
 お前達も闇に帰るが良い!
(7-202)

著者は、「二元論をめぐる戦い」が演じられているといいます。まるでドフトエフスキーのような対話です。

墓所の主は、世界をあきらかな境界線で分かち隔てて、みずからを光や希望の側に置き、自身の提示する未来へのプログラムに自発的に隷従することをもとめる。
そうした世界を分断する境界のラインを、ナウシカは認めない。みずからの内なる闇や穢れや虚無を、生存の避けがたい条件として認めるからこそ、ささやかな生への希望を耕し、受け入れることを学んでゆく。
二元論の廃棄こそがくりかえし試みられている。どこかに絶対的な中心や神の座を設定したうえで、組み立てられる透明な二元論のなかに、ほかならぬ虚無や闇は潜んでいる(p272)

墓所の主は「おまえは希望の敵だ!」とナウシカの自我を破壊しようとし、ナウシカは「オマエは闇に帰れ!」と巨神兵オーマに命じ創造主を闇に葬ります。長い物語は幕を閉じます。
 ナウシカと巨神兵、『ナウシカ』と黙示録など考えることは未だいろいろありますが、宮崎駿にならって「語り残した事は多いがひとまずここで、物語を終ることにする」、します。

赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録 ①   (2019岩波書店)

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赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録(2019岩波書店) ③ [日記 (2021)]

ナウシカ考 風の谷の黙示録 シュワの庭
 第7巻、シュワの庭から墓所に至る辺りが、本書のハイライトです。
 庭の主は、ナウシカと森の人セルムに「この世界の成り立ち」、腐海と王蟲の秘密を教えます。
「火の7日間」の後、生き残った一群の人々が残された知と技術をかき集めて、腐海や王蟲を主役とする世界の浄化システム、人間を含む新たな生態系を構築したといいます。天地創造の物語です。汚染された世界で生きてゆけるように(遺伝子操作で?)人間や動植物を作り変えた、それがナウシカ、アンタだといいます。「創造主」がいると。世界は、「火の7日間」を境にそれ以前の旧世界と以後の新世界に分かれ、人類も旧人類とナウシカたち新人類に分かれているというのです。
 ナウシカの物語を読んできた読者は、ここに来て見事に大逆転を喰らうことになります。今さらナウシカの世界を作った創造主がいると言われても、です。

 さらに腐海が大地を清浄化した時、汚染された土地で生きてゆけるように改造された人間(新人類)は、浄化された大地では腐海と共に滅びる運命にあるのだといいます。その創造主(旧人類)は土鬼の首都シュワの墓所にいるといいます。

 シュワの庭とは、大地が浄化された後に地上で再び繁栄すべき旧世界の動植物を集めたノアの方舟だと。さらに人類が旧文明で築いた文学や音楽など芸術のアーカイブだと。一方の墓所は、旧文明の科学技術を詰め込んだアーカイブであり、墓所に両アーカイブを作った旧人類の末裔、それは人間を汚染された地上で生きるように改造した旧人類ですが、未だ彼らが生き長らえているといいます。シュワの庭と墓所は、地球再生計画の拠点ともいえる施設で、こうなるともうSFの世界です。シュワの庭の主は旧人類かというと、実は旧人類が作った地球再生計画に奉仕する人造人間ヒドラ。
 旧人類は、アーカイブと方舟を作り人間を改造して、破壊された自然と文明の再興を計画していたのです。墓所の主によるこの地球の再生、文明の再興が、『ナウシカ』の隠されたテーマです。で、ナウシカは、

ナウシカ:たとえどんなきっかけで生まれようと生命は同じです おそらくヒドラでさえ...
 精神の偉大さは苦悩の深さによって決まるんです
 粘菌の変異体にすら 心があります
 生命はどんなに小さくとも 外なる宇宙を内なる宇宙に持つのです

セルム:この世界に仕組まれた秘密がシュワの墓所の中にあると・・・

ナウシカ:この庭は墓所の貯蔵庫です 中心ではありません。セルム、私は行きます。扉をとざしにではなくこじあけてでも真実を見極めるために…(7-132)

 新人類ナウシカは、真実を見極めるためシュワの墓所に向かい、墓所の主である旧人類と対決します。

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赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録 ② (2019岩波書店) [日記 (2021)]

ナウシカ考 風の谷の黙示録 続きです。
蟲使い
 「蟲使い」は冒頭から最終巻まで登場しますから、重要なキャラクターだと考えられます。トルメキア軍の傭兵で、蟲を操り探索や占領地の警備を担当し、敗残兵の死体から金品を漁る特権を与えられ、「屍をこのんでまさぐる忌まわしきやつら」と蔑まれています。傭兵ですからトルメキア軍だけではなく土鬼軍にも雇われ、王蟲のクローン培養に手を貸しています。「森の人」と祖を同じくする表裏一体の存在で、清浄と穢の二元論を構成する重要なキャラクターです。
 「火の七日間」で文明が滅び、生き残った人類は旧世界の科学技術を継承したエフタル王国を建てます。エフタル王国に内乱が起こり 、人々は武器を求め、王蟲の甲皮から武具を作る武器商人が現れます。武器商人は組織的に王蟲を狩り、多くの王蟲が殺され、王蟲の暴走である「大海嘯」が起きてエフタルは滅びます。この後、エフタル人の一部が火を捨て腐海に入った森の人と蟲使い分岐したようです。

いまも腐海をさまよう蟲使いは、帰るべき国を自ら滅ぼした、呪われた武器商人の末裔

だといいます。森の人セルムはナウシカにこう語っているます。

蟲使いを 忌み嫌わな い で下さい 彼等は私達のカゲなのです。いや私達がカゲかもしれない、私の祖父と母は 蟲使いの出です。(コミック版6-98)

民俗学者である著者は、

もっともわかりやすい モデルは、日本中世に見られた天皇/非農業民のよじれた関係であろうか、鋳物師・木地師から遊女や非人にいたるまで、「職人」の名のもとにくくられ、土地に拠らず非農業的ななりわいに生きた人々が、しばしば天皇や皇子・皇女を祖と仰ぎ、みずからの職掌の特権的な由緒を説いたことを想い起こしてみたい。
アニメ映画『もののけ姫』には、まるで種明かしがなされるように、そうした中世的な聖/賤が織りなす世界が大切な道具立てとして摂りこまれていた。(p144)

 『ナウシカ』には日本的土俗が織り込まれているのかも知れません。トルメキア王国、土鬼諸候国、辺境国のベジテ市、風の谷の戦乱物語は、日本の戦国時代が下敷きになっていると想像します。「風の谷」は農業部族ですが、隣国のペジテ市は旧文明の科学技術を発掘する工業都市で、鉄砲を生産した堺を連想します。神聖皇帝と僧侶を戴き宗教的権威で成り立つ土鬼諸候国は、さしずめ石山本願寺を拠点とする浄土宗。神聖皇帝は蓮如?。爆弾を背負い敵に向かう自爆兵が登場します。著者は大東亜戦争の「特攻」を連想していますが、どちらかというと「南無阿弥陀仏」と唱えて信長陣営に斬り込んだ一向一揆の農民です。

 王蟲の皮革から武具を作る武器商人(蟲使いの祖)は、

われわれの中世から近世にかけて、動物の皮革が武具や防寒具として使われ、そのために特定の家畜や野生動物が狙われ、殺されてきた歴史がある。そこには、動物の屠畜にまつわる職掌ゆえに、厳しい差別を蒙ってきたエタと呼ばれる被差別の民が存在したことを忘れるわけにはいかない。蟲使いという穢れの民のイメージの造形にたいして、それがまったく無縁であったとは思えない。
やはり、『もののけ姫』のなかに、差別を蒙った非人やハンセン病の人々が生き生きと暮らす、アジール(聖域)のようなタタラ場が描かれていたことを想い起こさねばならない。そして、白い覆面の人々が製作していたのが、石火矢という、まさしく火を使う武器であったことも、偶然であったはずはない。(p145)

 土鬼のバイオ兵器・粘菌によって腐海は拡大し土鬼の領土と支配は後退します。腐海の拡大は蟲使いの活動領域を広げ、かつての支配者・土鬼に公然と反旗を翻します。蟲使いの集団の前に、ナウシカが上空(天)から現れたことで、蟲使いたちは、

化外の民と蔑まれたわが部族に光が届いた
神を持たぬ苦しみの日々に終わりがきた

ナウシカは解放の象徴、女神と映るわけです。宮崎駿の頭にはジャンヌ・ダルクのイメージがあったかも知れません。『ナウシカ』における蟲使いは「聖」「清浄」に対する「穢」の象徴。ナウシカは、ガンシップに乗り戦乱に加わって人を殺し、巨神兵も使います。セルムとの会話にもあるように、「こちらの世界」穢の住人です。そのナウシカが蟲使いの解放者になることは、自らの開放へと繋がります。
 シュワの墓所の主との対話(コミック版7-201)、

おまえにはみだらな闇のにおいがする、わたしは暗黒の中の唯一残された光だ(墓所の主)

清浄と汚濁こそ生命だ
ちがう、いのちは闇の中のまたたく光だ(ナウシカ)

この謂わば「神」とナウシカの対話は、

清浄/汚濁、それゆえ聖なるもの/穢れしものをともに、一身において引き受けるとき、人ははじめて穢れの呪縛を超えてゆくための、たしかな一歩を踏みだしているのではないか。ナウシカはただ、みずからの内に堆積する穢れに気づくことによって、  二元論の罠 からの脱出を果たすための戦いへと参入してゆくのである。
だから、宮崎駿はマンガ版『風の谷のナウシカ』の完結後に、『もののけ姫』を作らねばならなかったのである。(p157)

 『ナウシカ』では、火と水、清浄と汚濁など対立する概念が数多く語られます。物事をアッチとコッチに分ける二元論では何も解決しない、相反するものを壊すこと統合することが前に進む唯一の道だとナウシカは言います。清浄と汚濁こそ生命だというわけです。続きます。

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朝鮮日報は面白い (2) [日記 (2021)]

 朝鮮日報は日本の新聞よりはるかに面白いですね。

【萬物相】「お月様にささげる歌」
 文大統領の姓のアルファベット表記が「Moon」で、月は文大統領を意味する隠語だそうです。

青瓦台秘書官になった元議員は、ベートーベンのピアノソナタ『月光』を演奏しながら次の通り歌った。「穏やかな湖に映るほのかな月の光 文大統領の心根に似ていました」。「ささげる歌」としては選曲ミスだ。この曲を作った時のベートーベンは非常にうつの状態にあった。聴覚障害が始まり、恋愛も難航していた。ベートーベンの不幸が『月光』の所々にうかがえる。だから、ホラー映画のBGMとしてよく使われる。

 支持者たちは「月光騎士団」と称し、秋美愛前法務部長官は自分自身を「お星様」と呼んでほしいと言ったそうです。野党は文大統領が記者会見せず青瓦台の奥に隠れることを「お月が隠れてしまった」という表現するそうです。

ある評論家は「北には人民の太陽、南には国民のお月様がいらっしゃる」と皮肉った。

拍手!、権力をユーモアで批判するのは在野の特権です。

【コラム】お月様に向かって鳴き声を上げるフクロウはいない
 前項を受けての記事です。青瓦台には民情室というのがあって(タマネギ男で有名なチョ・グク元法務長官も在籍、文在寅大統領も盧武鉉政権の民情主席秘書官)、大統領の親族・側近管理もしているそうです。この民情室というのがフクロウです。なぜそんな管理が必要かというと、一族から権力者が出ると親族・側近が寄ってタカッテその権力を利用する、そこに不正が生まれるからだそうです。中韓の伝統、風土だそうです。同紙は、「大統領の家族の周辺には常に権力にたかる虫たちが渦を巻いている」と表現しています。
 金大中、盧武鉉、金泳三、李明博と歴代大統領は退任後に親族が逮捕され、朴槿恵は側近でつまずき罷免され、李明博と朴槿恵は現在塀の中です。政権を守るために大統領の親族・側近の管理が如何に大切かということなんですが、どうも過去のフクロウは失敗しているようです。
 で文在寅大統領はというと、息子には特別待遇疑惑があり、娘婿はタイで韓国系企業の要職に、李洛淵前首相の弟は韓国系企業の要職にあり、夫人と親しい実業家は公共用地買収で特別待遇を受けているといいます。

青瓦台はこの4年間、親族・側近の不正を監視する特別監察官の任命も先送りしてきた。そうしておきながら、「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)さえ設立すればすべて解決できる」と固執してきた。
・・・韓国の大統領の権力は5年間だ。今は権力機関を掌握し、無事であるかのように見えるが、いつまでも続く保護膜はない。歴代の大統領たちは全員、親族・側近の不正で退任前後に無事ではいられなかった。文大統領だけは例外だろうか。あらかじめ防がなければ悲劇は避けられない。

 朝鮮日報は青瓦台にも届いている筈ですから、文在寅大統領は当然を読んでいるでしょう。「言論改革法案」=讒謗律で対抗ですね。明治初期の日本の新聞で読んでいる既視感があります。日本の新聞もこれくらい書いてほしいものです。

 考えてみれば、朝鮮日報や中央日報が面白いのではなく、韓国が面白いのです。

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赤坂憲雄 ナウシカ考 風の谷の黙示録① (2019岩波書店) [日記 (2021)]

ナウシカ考 風の谷の黙示録  宮崎駿のアニメは、最初に観たのが『トトロ』で、ジブリはトトロから始まると誤解していました。公開順に並べると、風の谷のナウシカ(1984)、→天空の城ラピュタ(1986)→トトロ(1988)→魔女の宅急便(1989)→紅の豚(1992)→もののけ姫(1997)→千と千尋の神隠し(2001)となり、『ナウシカ』が最初です。
 『ナウシカ』はアニメ版(1984)とコミック版(1994)があり、コミックを読んで驚いたのですがアニメとは全くの別物です。処女作に作家のすべてがあるという伝でゆけば、コミック版『ナウシカ』に宮崎アニメのエッセンスが詰まっているのかもし知れません。ナウシカは巨神兵にオーマ(エフタル語で無垢)という「名前」を与えナウシカは巨神兵の母となります。『千と千尋』で、千尋は湯ババから名前を取り上げられ「千」という名前を与えられて湯ババの支配下に入ります。『もののけ姫』で、ものけ姫の対抗軸「エボシ御前」は火の象徴「たたら場」で製造した石火矢を使います。

 1982~1994年と書き継がれたコミック版『ナウシカ』を読んでその構造はだいたい分かったのですが、前々から気になっていた解説本?『ナウシカ考 風の谷の黙示録』を読んでみました。著者は、東北学を提唱したこ民俗学者のようです。
 本書は、第一章:西域幻想、第二章:風の谷、第三章:腐海、第四章:黙示録、終章:宮崎駿の詩学へ、から成り立っています。壮大な「黙示録」ナウシカ世界が語られるのは第三、第四章です。
 マンガの書評というのは、『ナウシカ』の「絵」がイメージ出来ないとけっこう読み辛いです、この辺りが文字の本の書評と違うところです。

森の人
 人類はプロメテウスの火を獲得し使いこなすことで文明を築きます。ナウシカの世界は、「火の七日間」と呼ばれる最終戦争で文明が滅んだ後の世界です。『ナウシカ』は、この火の両義性で成り立っています。たとえば、

水と火をめぐる、呼びかけの決まり文句が三つの場面に姿を見せている。たとえば、土鬼の兵士たちに向かって、アスベルが右手を挙げながら、「火と水に調和を敵意はな い 」と呼びかけている。

 森の人は、「蟲使い」とともにアニメは登場しないキャラクターで、瘴気でマスク無しでは5分と生きられない腐海で暮らす種族です。 火を捨て人界をきらい、蟲の腸をまとい卵を食し体液を泡として腐海の奥深くに住む不思議な人々。最も高貴な血の一族であり蟲使いの祖だと言います。高貴な森の人、穢の民・蟲使いが表裏であるところが面白いです。蟲使いは、自分達穢の民の解放者としてナウシカに付き従いますが、森の人もナウシカを同類、この終末世界の救済者と見なして深く関わってきます。

セルム:ナウシカ 私と一緒に森へ来てくれませんか
 私達は森と共に生きる道を選んだ一族です
 あなたは私達と心を同じくする人だ
 私と共に生きて下さい

ナウシカ:ありがとう とてもうれしい
 でも あなたは生命の流れの中に身をおいておられます
 私はひとつひとつの生命とかかわってしまう…
 私はこちらの世界の人達を愛しすぎているのです
 人間の汚した たそがれの世界で 私は生きていきます(コミック6-97)

森の人セルムの恋の告白です。ナウシカは、私は森の人の同類ではない「こちらの世界」の住人だと申し出を拒絶します。『ナウシカ』で唯一の「恋」のシーンです。
 ナウシカは、ガンシップに乗って爆弾を投下し、火を吐く最終兵器・巨神兵を使い、土鬼の皇兄に、「結局はお前も火を使うのか」と皮肉られています。森の人は、祖を同じくするという「蟲使い」とセットで捉えたほうがよさそうです。では蟲使いとは何者か?、続きます

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図書郵送サービス(有料) [日記 (2021)]

 利用している堺市図書館で、予約した本を自宅で受け取る宅配サービスが始まりました。これも新型コロナウィルス対応でしょうね。ゆうパックとゆうメールが利用でき、料金は、150g~250gまでの文庫本1冊が215円、250g~500gまでの新書1冊が236円、500gまでの単行本1冊331円(いずれも着払い手数料21円含む)。
 netで予約して図書郵送サービスを利用すれば、図書館に行かなくても本を借りることができます。南海バスの運賃が220円ですからビミョーな料金です。図書館まで歩けばいいわけで、ソッチのほうが健康にもよさそうw。
 もうひとつ、無料公衆無線LANサービスが開始されたそうです。
市役所や報道機関、医療機関から発信される最新情報を、図書館の所蔵資料とあわせて活用いただけるよう、市民の通信環境整備・向上の一環として、無料公衆無線LAN(Osaka Free Wi-Fi)の設置を開始しました。
と謳っていますが、何のことはないwifiが使えるようになったということ。無料ですが1時間の制限があります。使いみちあるかなぁ?。

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中央日報も面白い [日記 (2021)]

 「朝鮮日報が面白い」ですが、中央日報も面白いです。何処が面白いかというと、「韓日関係」という項目があり、記事にコメントが付くことです。日本語の記事ですから、コメントを付けるのは日本人。例えば、「ソウル明洞に続き釜山でもユニクロ閉店」、どうということもない記事ですが、

近々、日本大使館も閉鎖するから、よろしく!(笑)

といったコメントが付き、このコメントにniceが付けられるます。記事よりコメントの方がよっぽど面白いです。

 中には自作自演、自縄自縛、1人で炎上する記事もあります。「慰安婦、性奴隷でなく売春」 ハーバード教授の論文が波紋…日本「意義が大きい」(2/2、7:22)です。記事自体は産経新聞の受け売りです。これはヤバイと感じた同紙は、「慰安婦は売春婦」論文を発表した教授は日本の旭日中綬章を受章した人物(2/2、10:42)と、同教授は、日本から勲章まで貰っている親日家だ!と言い訳し、これでは心もとないのか、韓国歌手ハ・リス、「慰安婦売春」米国教授に「表現の自由に対して責任取るべき」(2/2、14:58)と、女性歌手が「吐き気がする」という談話まで載せます。この歌手が韓国でどういう位置にあるか知りませんが、ハーバート大教授に歌手を噛ませてもねぇ。やはり教授には教授だろうということで、保坂祐二教授、「慰安婦は売春」主張の米国教授に「親日派として知られている」(2/2、17:20)と、世宗大学の教授(竹島韓国領土説の権威?)の談話を載せます。曰く、「ラムザイヤー教授は親日派として知られている」、「確実な証拠がないのに端緒だけ挙げて推測するものだ・・・云々」。何しろハーバード大学教授の論文ですから、慌てますねぇ。
 論文は3月に発表されるもので、詳細は不明(産経は本人から抄訳を貰って記事にした)。世宗大学の教授も論文の中身が分からないから「親日」で片付けています。2/2当日に4回も取り上げ、さらに2/3には、「慰安婦は売春」と主張の米ハーバード大教授、公式肩書きに「三菱」含むと。火消しにヤッキになっています。青瓦台から叱られたんでしょうか?。中央日報は3月にフォロー記事を掲載するんでしょうか、たぶんやらない?。産経新聞はきっちりフォローするでしょう。

追記
世宗大学の教授ではインパクトが無いと思ったのか、今度はハーバード大学教授です。韓国のロビー活動ですね。キムチ論争がアメリカに飛び火していますが、慰安婦問題もそのレベルなのでしょうか?。

『帝国の慰安婦』著者、米教授の「慰安婦は売春婦」主張に「歴史的ディテールは間違ってないかも」 (2/9)
『帝国の慰安婦』の朴裕河世宗大学教授のコメントです。

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シンビジューム咲いた [日記 (2021)]

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 やっと咲きました、今年は蕾が沢山ついて、これからが愉しみ。

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カズオ・イシグロ わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫) [日記 (2021)]

わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)  カズオ・イシグロは本書で4冊目。共同体の幻想をテーマとしたファンタジー『忘れられた巨人』、クローン人間を通して人間存在を描いたSF『わたしを離さないで』、イギリスの伝統と凋落を執事が語る『日の名残り』の3冊は、テーマとストーリーが明確で面白かったのですが、この『わたしたちが孤児だったころ』はなかなか厄介。
  1937年、イギリスの「私立探偵」クリストファー・バンクスが、上海で生き別れとなった両親を探す、ミステリー仕立のビルドゥングス・ロマン?です。1937年の現在とクリストファーが少年時代を過ごした1920年代が上海でが交差します。

 クリストファーは、上海で暮らしていた10歳の時、父親と母親が行方不明となり孤児となります。イギリスに帰り、伯母の資力でパブリックスクール、ケンブリッジへと進学し「私立探偵」となり、難事件を解決して名を成します。
 クリストファーの両親というのが、父親はアヘンを扱う上海の商社に勤め、母親はイギリスのアヘン輸出を止めようとする社会活動家、という変則的な夫婦。この父親がある日突然行方不明となります。アヘン絡みなんだろうとは思いますが、何の背景もなく蒸発、行方不明となりまから読者としては???。クリストファーは、父親はアヘンを扱う自分の会社に反旗を翻したため拉致されたと想像します。この事件以上に、クリストファーと隣家の日本人少年アキラとの探偵ごっこ、誘拐犯から父親を救出する探偵ごっこが語られます。続いて、クリストファーが「フィリップおじさん」に家から連れ出されている間に、母親が何者かに拉致され行方不明となます。このフィリップは母親の友人で、彼がが一枚噛んでいるいるようです。これが本書を貫く謎なのですが、読者に推理の手がかりは何も与えられませんから、これでは「探偵小説」にはなりません。

 ストーリーは1937年に飛び、クリストファーは、失踪して20~30年経っているにもかかわらず両親が生きていると信じ(これも不自然)、上海に戻って両親を探します。この両親探しが「探偵小説」かというとそうでもなく、両親探しは一向に始まらず、ロンドン時代の友人との交流が延々と記されます。偶然に両親が監禁されているらしい家が見つかって、やっと始まります。ところが「第二次上海事変」の戦乱の中で探し当てたのは、両親ではなく日本兵となったアキラ。アキラがストーリーに絡んでくるのかいうと、クリストファーを両親失踪の鍵を握る「フィリップおじさん」に引き渡すと消えてしまいます。「フィリップおじさん」によって両親失踪の謎が明かされますが、父親は、クリストファーが想像したのと違って愛人と駆け落ち、母親は軍閥に拉致され妾となっているという、唖然とする結末。おまけに、裕福な叔母の援助でケンブリッジを卒業した筈が、母親が妾となる代償にこの軍閥に金を出させていた事実が明らかとなります。ドラマを期待してのに、あっけなく裏切られます。
 作者の裏切りはこの結末だけではなく、再会したアキラも物語に絡まず退場し(クリストファーが出会った日本兵はそもそもアキラだったのかどうか?)、駆け落ち一歩手前まで行ったサラも消えてしまい、養女の孤児ジェニファーも上海の戦火の中で出会う中国人の少女も、これといった見せ場を与えられず舞台から退場します。

 1958年、クリストファーは香港の施設に保護された母親と再会しますが、老いた母親は彼を我が子とは認識できず、母子再会のドラマは無し。クリストファー自身もイギリスに帰り、大英博物館の閲覧室で、かつて解決事件を報じる古い新聞を読んで過去を懐かしむ余生を送ります。まるで、人の一生とは完結しない物語の集積であり、クリストファーの人生に登場する人々もそれぞれの人生を生きている、それが人生の実相なのだ、と言っているようです。

 タイトルは「わたしが孤児だったころ」ではなく『わたしたちが孤児だったころ 』と複数。本書に登場する孤児は、クリストファー、長じてクリストファーが養女とするジェニファー、上海の戦火の中で出会う中国人の少女の3人。ジェニファーも少女もストーリーに絡んできませんから、「わたしたち」とは(この3人を含む)「わたしとあなたたち読者」とも考えられます。では孤児とは何を意味するのか?。親の保護を期待できない非力な子供ですから、人とは本来孤児なんだということでしょうか?。
 作者は、コナン・ドイルとチャールズ・ディケンズ(『大いなる遺産』、『オリバー・ツィスト』の主人公は孤児)という英文学の伝統の上に何かを重ねたらしいのですが、老化した頭ではこの物語は上手く理解できないというお粗末。

タグ:読書
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